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概要
1978年6月2日に公開された、アメリカとイギリスの合作による映画。監督・脚本はピーター・ハイアムズ。
日本では先行して1977年12月17日に公開された。
同時上映のORCAと共に東宝東和創立50周年記念作品と銘打たれている。
未だ人類が成し得ていない火星の有人探査を題材としているためSF映画としても語られるが、
当時からまことしやかに囁かれていたアポロ計画に対する陰謀論を元ネタとした国家ぐるみのやらせ・嘘およびそれに翻弄される人々というサスペンス・政治ドラマこそが本作の主軸である。
内容が内容なだけに、当初製作協力を行っていたNASAが途中から協力を拒否したことは一部では有名。
日本での知名度はあまり無いが、宇宙飛行士側とジャーナリスト側の二つの視点を切り替えながら謎に迫っていく緊張感や、後半の恐怖感溢れる逃走パートや、CG一切なしの迫力あるチェイスパートは評価が高い。
あらすじ
人類初の有人火星探査宇宙船「カプリコン・1」の打ち上げを控え、全世界が固唾を飲んで見守っていた。
しかし、カウントダウンの数分前、3人の宇宙飛行士ブルーベイカー、ウィリス、ウォーカーはこっそりと船内から連れ出され、辺境の砂漠にある謎の撮影スタジオへ連れて行かれてしまい、ロケットは無人で発射されてしまった。
プロジェクトの責任者であるケラウェイ博士は3人に、カプリコン・1の生命維持システムに欠陥があり有人探査が不可能であることや、計画の中止が予算の都合上不可能であることを説明する。
このため3人は撮影スタジオで再現された偽りの火星に降り立つ芝居に協力するよう要請される。
全世界の人々を騙すことに抵抗を覚える宇宙飛行士たちだったが、家族を人質にとられたことでしぶしぶ承知する。
こうして世紀の大芝居が幕を開けたのであった。
一方、新聞記者のコールフィールドやNASAに勤める友人は本計画に奇妙な点があることに気づき始める。
しかし、深掘りする前にその友人は存在を消されてしまい、コールフィールドにも命の危機が迫り始めていた。
数か月後、カプリコン・1は地球への帰還に差し掛かるが、大気圏への再突入時に外装の熱遮蔽板に欠陥があることが発覚。そのまま燃え尽きて大破してしまう。
宇宙飛行士たちはこの事実を知ると、自分たちは消されると察知。意を決して砂漠からの大脱出を図るのだが…。
登場人物
- チャールズ・ブルーベーカー(演:ジェームズ・ブローリン)
宇宙飛行士側の主人公で、船長。家族の期待を背負って宇宙に飛び立とうとしていた。
砂漠の逃避行ではヘビの血を啜って生き延びるなど過酷な道のりとなるが、終盤ついにコールフィールドと合流し、奇跡の大脱出を図る。
- ピーター・ウィリス(演:サム・ウォーターストン)
宇宙飛行士のひとり。砂漠の逃避行の際に追手に捕まり、恐らく抹殺される。
- ジョン・ウォーカー(演:O・J・シンプソン)
宇宙飛行士のひとり。直接的な描写はないがウィリス同様抹殺されたと思われる。
- ジェームズ・ケラウェイ博士(演:ハル・ホルブルック)
本プロジェクトの責任者で本作の黒幕とも言うべき人物。砂漠の基地に設置したスタジオで、全世界を騙すための芝居を3人に強要する。
- ロバート・コールフィールド(演:エリオット・グールド)
もう一人の主人公とも言うべき人物で、崖っぷちのジャーナリスト。
友人の疑念をきっかけに、カプリコン・1について独自に調査を開始する。
しかし、それゆえに国家権力によって何度も命を奪われそうになり…。
- エリオット・ウィッター(演:ロバート・ウォーデン)
コールフィールドの友人で、NASAの職員(管制塔職員)。衛星電波が火星ではなく地球上から発射されていることに気づき、上司に訴えるも単なる故障だと一蹴される。
その後自身の疑念をコールフィールドに伝えるが、コールフィールドが少し目を離した隙に姿を消し、住んでいたアパートにもいつの間にか別人が住んでいるなど完全に存在を抹消されてしまった。
- ブルーベーカー夫人(演:ブレンダ・ヴァッカロ)
ブルーベーカーの妻。
- アルバイン(演:テリー・サバラス)
農薬散布会社の社長。気難しいが豪快で、緊張感漂う展開におけるムードメーカー的な役割を担う。
終盤、コールフィールドと共に軽飛行機でブルーベイカーを救出し、NASAの追手との壮絶な空中チェイスを繰り広げる。