サスペリアPART2/紅い深淵
さすぺりあぱーとつーあかいしんえん
ホラー映画やサスペンス映画の巨匠として知られる、イタリアのダリオ・アルジェント監督が製作したサスペンス映画。
日本では同じくダリオが監督を務めたオカルトホラー映画「サスペリア」がヒットしたために、興行上の理由から勝手に「サスペリアPART2」という邦題がつけられたが、元々こちらの方が先に製作されており、サスペリアとはジャンルもストーリーも全くの別物である。なお、ダリオ本人は後でそれを聞いて苦笑したそうな。
本来のタイトルは「深紅」という意味の「プロフォンド・ロッソ(Profondo Rosso)」、英題は「ディープレッド(Deep Red)」。DVD化の際に、こちらにちなんだ邦題「紅い深淵」が付け加えられるようになった。
日本では前述のようにサスペリアで一躍ホラー映画の監督として知られるようになったダリオだが、本来ダリオはジャッロ(ジャーロ)というイタリア風サスペンス映画の監督として知られており、本国イタリアでは本作がアルジェントの最高傑作と評されている。
本作はアルジェント独自のカメラワークや演出、そしてやたら惨くしつこい殺人シーンが特徴。また、主人公が重要なものを見ているのにもかかわらず見過ごしているという監督の他作品にもみられる演出がある。音楽は後にアルジェント作品の常連となるバンドグループ・ゴブリンが初めて手掛けた。
なおイタリアではサスペンスやホラーは真面目に受け取られず、主人公がいかに事件に挑むのか?ではなく、登場人物がいかにむごたらしく死んでいくか?が売りなのが普通で、本作も普通の推理物として見ないこと!
あと、オカルトホラーでもないから。
いつとも何処とも知れぬ、クリスマスの飾りつけがされた室内から物語は始まる。
レコードから童謡が流れる中、何度も刃物を振り下ろすシルエットが壁に映る。直後に床に投げ捨てられた肉切り包丁は血でべったり濡れており、小柄な人物の足が映ったところで場面は変換する。
それから時は流れ……。
「欧州超心霊学会」なる催しで、テレパシーを持つ超能力者・ヘルガの講演が行われていた。彼女は聴衆の一人を差し、彼の名前やポケットに入っている鍵、その本数までもを正確に言い当て、会場は驚きのざわめきで包まれる。
ところがヘルガは急に悲鳴を上げて苦しみ出し、「ここにかつて人を殺した邪悪な者がいるのを感じたわ!そして再び人を殺す!」と叫び出す。講演が中止となる中、混乱する会場から一人の観客が去っていったのを見た者はいなかった。
その夜、ヘルガはアパートに戻って自分が見たものについてメモを書いていた。
そこに呼び鈴が鳴り、ドアの向こうから異様な気配を察知したヘルガだったが、直後にドアが開くと、大きな包丁が彼女の肩に振り下ろされる。
一方その頃、作曲家のマークは友人のカルロと出会い、路上で他愛もないお喋りに花を咲かせていた。突如としてヘルガの悲鳴が聞こえ、彼女が何者かによって頭をガラス窓に突っ込まれ、無残な死を遂げる瞬間を目撃してしまう。
現場に駆けつけたマークは警察に連絡をするが、その時壁にかかった「奇妙な絵」を見る。しかし警察が到着した時、その絵は何処にも見当たらなかった。
第一発見者となったマークは、女性新聞記者のジャンナによって写真を撮られる。更に翌日の朝刊で「犯人を目撃した重要参考人」とされてしまい、今後犯人に狙われるかも知れない事に激怒。が、結局は成り行きでジャンナとコンビを組む事となり、2人は殺人事件を追いかける事に。
繰り返される残酷な殺人。壁に塗りこめられた不気味な絵。そしてあの時確かに見た「奇妙な絵」の正体。
それらが行き着く終点に流れる「深紅」とは……。
ファミコン探偵倶楽部:いわゆる「探偵もの」である、任天堂のテキストアドベンチャーゲームシリーズ。原作者の坂本賀勇はインタビューにおいて好きな映画として本作を挙げており、本作のオマージュとしてシリーズ2作目『ファミコン探偵倶楽部PartⅡ うしろに立つ少女』を制作したと語っている。
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