奥田スミ子
おくだすみこ
市村ハナのかつての同級生にして、いじめグループの一人。
衆目を集める美貌を誇るが、その性格は傲慢かつ冷酷。
『美しい者は天に選ばれた存在である』という自尊心を持つ反面、醜い容姿の者を残酷に扱うなど敏恵に負けず劣らずの性悪な女である。
ハナを虐めていた頃はハナの髪をハサミで切ろうとして顔に傷を負わせるなど、最早傷害罪レベルのをしており(彼女に限った話じゃないが)醜い見た目のハナに向かって「そんな顔でよく生きていられるわね」と冷酷な言葉を放つ。
引き揚げ後は伯父の家に身を寄せていたが、貧乏な生活に嫌気が差し、華を求めてウェイトレスの職に就く。その美貌故に男性客から人気が高く、多くの贈り物を貰っていた。
その矢先、復讐のために素性を隠して接近してきたハナ(菜穂子)が現れ、同じ美人だからか仲間意識を抱くようになる。
菜穂子と共に店の看板娘として人気を得るが、常連客の中川という男からは取り分け好かれていた。
醜男の中川にスミ子が好意を持つ筈も無く、寧ろ同じ空気も吸いたくないと語る程嫌悪感を抱く。
更には家にも出所不明のストーカー染みた手紙が届くようになり、中川の仕業ではないかと考えたスミ子は菜穂子に泣きながら相談。彼女の助言で取り巻きの男達をボディーガードにし、プレゼントを持って現れた中川を袋叩きにさせ、徹底的に侮辱した。明くる日、後日談を菜穂子に語って聞かせるスミ子は、嘗てハナにかけたのと同じ言葉を言い放つのだった。
それ以来中川が店に来ることは無くなり、一安心するスミ子だったが、突然現れた中川から顔に硫酸をかけられ溶かされるという復讐を受ける。
これにより医師も元に戻らないと匙を投げるほど顔が爛れ、スミ子は絶望の底に落とされた。
実は彼女に手紙を送っていたのは中川ではなくハナであり、中川に無実の罪を着せ中川の復讐心を煽るというハナの策謀であった。病院で入院している際に窓の外にかつての醜いハナを見つけ、ハナによる復讐と気づき追いかけようとするが飛び出した勢いで車に撥ねられ死亡する。
自業自得ともいえるが、物語の最初の方で悲惨な最期を遂げ、ハナに罪の意識を抱かせるきっかけとなる。