概要
市村ハナのかつての同級生にして、いじめグループの一人。
受け身ながら、ハナを陥れるための悪質な手紙を用意するなど陰湿ないじめを行っていた(ただし、いじめに積極的かつ暴力や刀傷も厭わなかった内海敏恵や奥田スミ子とは異なり、そこまで積極的というわけではなく、二人のいじめ方が過剰になった時は流石に制止していた)。
引き揚げ後、別海町にある祖父母の農場で働いていたが、都会っ子の彼女には不慣れな農作業が苦痛で仕方なかった。そんな中、両親と祖父母から縁談の話が舞い込み、「結婚すれば、こんな苦痛な生活から抜け出して楽な生活ができる」と希望を見出すが、その相手が脂ぎった醜男の上に好色な長谷川熊造であり、その縁談も所謂政略結婚(百子の両親や祖父母曰く、「百子が熊蔵と結婚して何人か子供を産んで、そのいずれかの子を将来の小倉家の跡取りとして引き取る」とのこと)であったため、熊造を受け入れられない百子は自分の人生に絶望していた。
いつもの畑仕事に出ていたある日、百子は道に迷っていた杏一郎と名乗る美男子と知り合い、物腰の柔らかさと上品な振る舞いにすっかりのぼせ上がる。
お礼の名目で杏一郎とデートに向かった百子は釧路の街でレストランやカフェを回り、お洒落な服も贈られて夢見心地に。親の決めた結婚に悩み、自由に生きたいと語る杏一郎に共感した百子は、杏一郎の駆け落ちの誘いを承諾。
本当の夫婦になろうとプロポーズされ、百子は遂に杏一郎に身を許す。こうして二人は永遠の愛を誓い合う…。
筈だった。
真相
実際はハナの2人目のターゲットであり、杏一郎の正体もハナの協力者である菊乃が男装した姿だった。そしてハナに嵌められてこれまでのデート代を借金として背負わされ、そのカタとして売春宿に売り飛ばされてしまい、買春趣味のあった熊造を初めとする男達に陵辱され、薬漬けになった挙句、精神が崩壊してしまう。
その後、(借金を完済したのか、精神の崩壊によって解雇されたのかは不明だが)実家に戻ってきたが、既に廃人同然となり、両親から介護を受ける生活を送っている。
尚、熊蔵は百子が売春宿で精神に異常をきたし、実家に戻されてからは登場しておらず、彼のその後については一切触れられていない(百子の精神崩壊によって先方が彼女の嫁入りを拒否したのか、或いは小倉家の人々が熊造の卑猥な本性を知って本来の縁談も破談にしたというのが順当だろう)。
祖母も心身ともに変わり果てた百子のことを不憫に思い、孫娘を売春宿に売り飛ばした杏一郎(実際、百子を売り飛ばした張本人はハナだが)を強く恨んでいるが、当の百子は未だに杏一郎のことを求めており、彼が自分を売春宿に売り飛ばした張本人であることも忘れ、若い男性を見るなり杏一郎だと思い込んで一方的に迫ってくる(そもそも彼女の家族が勝手に結婚相手を決めて政略結婚させようとしたことが、百子が転落した一因なのだが…)。
しかしひょんなことから祖母と綿貫の通話を漏れ聞いた百子は、杏一郎の所在が札幌(かも知れない)と知ることに。杏一郎会いたさに家を抜け出した百子は街角で客を取る街娼となり、家から持ち出した農薬で相手の男を殺しては金品を奪う行きずりの殺人鬼に変貌。
同時に痩せ衰えていた外見も、男たちと寝ていくうちに精気を搾り取ったかの如く、元の可憐な容姿へ戻っていった。
杏一郎に再会して本懐を果たすべく、徐々に札幌へ近づいていく百子。しかしある日取った客の一人が偶然にも池内辰雄(川上町編の旅館の若旦那。内海敏恵の夫だった)であり、彼女が級友の元夫と知ると、憧れていた敏恵から男を奪った事実に陶酔。この優越感に浸りたいと池内の殺害を延期する。池内との逢瀬で彼がした薄っぺらい愛の告白に、思わずときめく百子だったが、ハナの罠から脱出し、最早怪物そのものの姿で彷徨っていた敏恵が池内に報復。二人は思いがけない形での再会を果たす。見る影もない敏恵の醜貌に慄く百子だったが、彼女に協力を持ちかけられると「最早過去の関係とは違う」と高らかにせせら笑った。
激昂した敏恵と争いになるも、場数?を踏んだ敏恵の気迫に押され、返り討ちに遭い死亡した。
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宮ノ内マコト…売春宿に身を落とす末路を迎えたキャラ繋がり。こちらは主人公の活躍で悪事を暴かれて逃亡生活をしていた後、逃げ込んだ先の売春宿で浮浪者達に陵辱されてしまう。