概要
男女の恋愛とセックスをテーマにした、大人の女性向けの商業ポルノ漫画の総称。略称はレディコミ。
1980年代に、「少女漫画」を卒業した高めの年齢層の女性をターゲットとして次々と雑誌が創刊され、同じく年齢層の高い女性をターゲットとしたポルノ小説であるハーレクインロマンスと並び人気を博した。
殆どが少女漫画出身の女性漫画家によって執筆されているため、絵柄や設定などは少女漫画にほぼ準じるが、中身はセックス描写を必須とする完全な成年漫画である。
男性向けの「ふたりエッチ」をそのまま女性向けに直したようなマイルドなポルノコミックが最も多く、よく想像されがちな、登場人物の体型が日本人離れした華美過ぎる絵柄のもの、女主人公の自己陶酔の描写が過激なものはかなりニッチである。
現在は下火となっているジャンルだが、1990年代になると、より低年齢層の女性(主に10代)をメインターゲットとした同傾向のジャンルとして「ティーンズラブ」が派生した。
「女性漫画」は同義語とは限らず、性描写のない漫画、もしくは主眼としていない漫画(恋愛要素はあり)も含んでいる。これは、少女漫画とティーンズラブ、青年漫画と成年コミックが同義語ではないのに似ている。
一見すると男性向け成年漫画とあまり変わらないように見えるが、描写に差異がある為、男性が読むと「何か違和感がある」と感じやすい。
その理由は、
- 男性側が被写体として描かれているため、女体目的の読者が読むと物足りない
- 心理描写が中心で肉感描写が控えめ(肉感描写が全くない訳ではなく、唇の肉感描写はむしろ強い)
- 男性読者が脇役女性のほうがいいと思っても、女主人公が一方的に一人称で話を進めていき、作品によっては女主人公の一人称語りが過剰過ぎる(男性向け成年漫画で竿役が嫌われる現象に似ている)
- 男性キャラが女主人公の理想のシチュエーションの体現者に過ぎない
- 男性読者が納得の行かないシチュでもハッピーエンドで丸め込まれてしまう
- 稀にあるバッドエンドものも精神世界が中心
- 男性向け成年漫画と比較して、異性作家がいないのも男性受けが悪い一因と考えられるが、編集者は男性だらけなので、おおむね条件は似ている
- 上記の毒にも薬にもならないマイルドなレディコミ以外は、BL好きの女性読者からも疎まれがちなため、男性の好みには更に合わない
- 男性読者はおばさん主人公に落ち着きや包容力を求めているため、ティーンズラブの小娘主人公以上に厳しい目で見られやすい
- ロマンスを描いているため、下ネタや特殊嗜好だと割り切っている男性向け成年漫画と同じシチュエーションだと「気持ち悪い」と感じられやすい
- 「主人公の視点ではなく第三者の視点でカップルを見せる」「主人公が攻めでもリバでもなく受け」「主人公を汚い没個性のおばさんではなくある程度整った容姿に描く」「ヒーローもヒロインも百合漫画のヒロインたち(攻めも受けも男性ファンが多い)には似ていない」という特色から、ミラーリング的な読み方をしづらく、女体の描写も中途半端なため、男性読者には虻蜂取らずに感じられる
- 作者や読者が見た目の綺麗な世界観や漫画を描くことそのものに酔っているように感じられ、内容の良し悪しに関係なく登場人物や話に集中できないことがある(男性向けの画力が高いものは登場人物の外見にはこだわらず、夢を見せるのが主旨の萌え系・乙女系、百合・BLはこれに限らない)
マイルドなレディコミの性描写ではなくストーリーが受けてネットミームになることは稀にある。
名称を巡る混乱
現在では「レディースコミック=女性向けポルノ漫画(隠語)」というイメージが定着してしまい、ポルノ漫画以外の成人女性向け漫画を呼ぶ時は「女性漫画」と呼ぶのが無難とされる。
だが、性描写がないor少ない女性漫画をレディースコミックと記述している記事も存在している。
レディースコミックの特徴(主に恋愛、愛憎描写)を「少女漫画的」と記述する風評被害も多い。
(少女漫画は、女子ばかり集まる場所の描写、高貴なものや衛生的なものの描写、心理描写全般、ギャグ描写のほうが特徴があったりする)
関連タグ
TL / ティーンズラブ BL / ボーイズラブ ハーレクイン
R-17.9/R-17.99/R-17.999.../アウフ/セウト:なぜか18禁になっていない。