概要
社会人、主婦の女性をターゲットとしたレディースコミックの低年齢版。
ティーンズという名称はターゲットに10代を含むところから来ている。略称は「TL」。
主人公は必ず女性で、相手役は必ず男性(含むトランスジェンダー)である。
作風
絵柄は少女漫画に近いが、少女漫画とは違い、明確な恋愛関係や恋愛感情がないまま性行為を行うストーリーが大半。
10代の登場人物は18歳以上という設定が多い。
多くの場合は、主人公の女性は様々な境遇、言葉遣いがいて巨乳も多いが、決まりきった容姿、性格をしている。
相手役の男性は(10代から中高年から人外まで幅広いものの)必ずと言っていいほどイケメンで、やたらと床上手で、押しが強く、社会的地位も高い場合が多い。
内容は性描写を重視したものが多く、ほとんどの作品は最終的にハッピーエンドを迎える(所謂ワンパターン)。
年齢制限は設けられていないが必ず成年漫画のような具体的なセックス描写が入っている。
男性向けのエロ漫画は「はいおっぱい! 挿入中の陰部! 淫語ラップ! 断面図! 1頁丸々使ったフィニッシュ描写! 男の顔? 描かなくていいっしょ! 最悪透明人間でもいいや!」みたいなノリが多いが、女性向けエロ漫画は絡みを重視するため、濡れ場では男女両方の顔が描かれ、真っ最中でも遠景から二人が映るようになっているアングルが多い(この傾向は女性向けAV、女性向けアダルトゲームなどでも強い)。
具体的には男女両方の顔とからだが描ける背面座位や側位、後背位が多く、正常位の場合は横から見たアングルが多く、男性向けで良くあるM字開脚した女性がドーンと描かれる構図が使われる事は余り無い。
その絵柄から「少女漫画のノーカット版」と勘違いされやすいが、実際には心理描写や人間関係をメインとする少女漫画とはほぼ別ものである。
この現象は、女性漫画とレディースコミックが混同されやすいのに似ている。
このジャンルの作品は1990年代半ば頃から見られるようになり、現在では電子書籍や携帯コミックの配信で人気を博している。
ティーンズラブを手掛ける作家は、ボーイズラブと掛け持ちで作品を描いているケースが多く、商業ではティーンズラブ、同人誌ではボーイズラブを描いていることが多い。
商業BL(女体化シチュも含む)の中には、受けが男か女かの違いだけで、絵柄がTLと同じである作品も多数存在し、男性向けの男女エロ作品にも「女性側が無個性で、相手役の男性が社会的地位の高いイケメン」という設定があるかないかの違いだけで、内容がTLと同じである作品も多数存在する(男性向けにも地味ヒロインなどの属性が存在する為、混乱する人も少なくない)。その為、各ジャンルの区別が付かずに読んでいる読者も多い。
ゾーニングに詳しくない人で、絵柄と作家だけでエロ作品を選んでいる人も多いとか。男性読者であっても「あーエロ漫画読みてぇなー、でもブサイクが竿役だと萎えるのよね、ただHしてるだけだと面白くないから恋愛描写もある方がいいな」というタイプの人にはお勧めである。
pixivでは「TL」および「ティーンズラブ」タグは、商業宣伝用の投稿が過半数を占めている。オリジナルの男女の恋愛や性愛を描いた作品の閲覧や投稿する際は、「創作男女」などのタグの方が利用しやすい場合もある。
漫画の他に小説も存在している。傾向としては漫画と大差ない。
同人ティーンズラブ
上記の記述は商業ティーンズラブの話で、同人ティーンズラブは少し事情が異なっている。
商業ティーンズラブは一部を除いて全年齢指定だが同人ティーンズラブは18禁指定されていることが多くそれに伴って差異がある。
具体的には
- 性描写の過激化
- 当然だが18禁化した以上それに伴って性描写が過激になっており、子宮断面図や顔射など男性向けエロ漫画で好まれるような過激な性描写が導入されている。特に子宮断面図の採用率はかなり高い。(実際、商業では男性向けエロ漫画を描いているという作家も参入している)
- 内容も純愛とは言えない、実質的な鬼畜凌辱物や監禁調教物といったダークな作風の物もある。
- それに伴い、必ずしもハッピーエンドとは言えない終わりかたをする物もある。具体的にはストーカー男に拉致監禁されて調教の末に快楽堕ちし性奴隷になってしまうなどバッドエンド、メリーバッドエンドを迎える物もある。
- 登場人物の多様化
- 18禁化に伴って登場人物の年齢制限も無くなり、ツルペタのロリキャラやショタキャラが登場するようになった。中には18才未満であることを明言してしまっている作品さえある。
- 人外キャラについても、商業でもよく見るケモ耳やケモ尻尾がある、程度に留まらず完全な触手モンスターなどが竿役を勤めるものもある。
一方で商業ティーンズラブとの共通点もある。
- 竿役は触手など一部を除けばイケメンである。
- 竿役は主人公を深く愛しており、鬼畜凌辱物であってもあくまでも愛が高じての行い。
- 行為に至るまでの過程も重視しているため、エロシーンはせいぜい総ページの50%程度。(男性向けエロ漫画、エロ同人誌だと8割がたエロシーンというのもザラ)
- それゆえに1冊当りの総ページ数が40~70ページと多めで100ページを超える物さえある。男性向けの同人誌は総集編でもない限り24~32ページというのが主流である。
など
なお、売れ行きに関して言えばトップ層は10万部20万部売れていることが確認されており、そこまで行かなくとも5000~1万部程度売れているティーンズラブ同人誌はザラにある(といっても全体から見れば一部の上澄みではあるが)
同人誌は作家の取り分が60%前後と多いため、例えば700円の同人誌が1万冊売れれば400万円が収入となり、年3冊出せば年収1200万円となる計算である。
これは電子書籍の普及によって同人誌もコミケなどの同人誌即売会に行かずとも買えるようになり、同人誌の総売上が爆発的に伸びているためである。紙の同人誌が主体だった時期はこうはいかなかった。
これは下手に商業デビューするよりも遥かに実入りが良い。
- 商業作家は原稿料が発生するが、例え比較的楽な月刊誌であってもアシスタント無しで連載するのは困難であり、アシスタントへの支払いが発生するためそれだけで原稿料の大半が失くなってしまうので収入は単行本頼みである。
- その単行本が出た際の印税は5~10%と同人誌よりもずっと少なく、同人誌の5倍10倍売れて漸く同人誌と同等の収入となる。
- 更に同人誌なら1冊当りは40~70ページで年3冊出しても総執筆ページは120~210ページで、これは週刊作家(600~800ページ)はもちろん月刊作家(400~600ページ)よりもずっと少なく楽である。
そのためにバイトのつもりで出した同人誌が思いの外売れて『無理にプロデビューしなくても良い』となってしまい、プロを目指さなくなった漫画家志望者も増えているそうである。
類似した創作ジャンル
男女の恋愛を描いた、女性向け恋愛小説。
ほぼすべての物語が「社会人の女性が、社会的地位が高い魅力的な男性とすったもんだの末に結婚し成功する」という筋書きである。ティーンズラブやレディースコミックと比べ性的描写は少ない。
男性同士の性愛を描いた、女性向けの漫画や小説。
ゲイ向け作品とは内容が異なり、少女漫画やハーレクインのような要素が多い。
関連イラスト
表記揺れ
関連タグ
ティアラ文庫∶小説における本分野の代表的存在。
R-17.9/R-17.99/R-17.999...:本来は18禁のはずだが、簡単に購入可能。
Sho-Comi:ティーンズラブ的な作品が多数あった時期があり、性コミという俗称が付いた事がある。
デザート:創刊初期にはティーンズラブ路線をとっていた