「宇宙の連邦捜査官」とは、イギリスの出版社「ペンギン・ブックス」から出版されていたゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズの第15弾「THE RINGS OF KETHER」の日本語版タイトルである。出版社は社会思想社。
作品解説
銀河連邦は、数百の文明世界から構成されている。そして、それぞれの世界では、連邦法に調印し、それに従い行政がなされていた。
ある時連邦警察は、銀河の果てにあるちっぽけな辺境の惑星系……アレフ・シグニ星系から、不法な麻薬「セントフィル・D」が大量に流出している事に気付いた。
そしてアレフ・シグニ星系の行政はうまくいっておらず、連邦法の違反の処理に、明らかに失敗していた。かくして連邦犯罪局は、この麻薬の流出元をつきとめ、組織の発見と壊滅のために、上級捜査官=君を派遣する事に。
別星系の果物の行商人を装い、君はアレフ・シグニ星系に赴いた。
宇宙船がワープアウトし、君は黄色い恒星アレフ・シグニ、そのたった一つの惑星ケサールに辿り着いた。
ケサールの唯一存在する都市へと降下し、君は捜査を開始する。
シリーズ15弾。
今回のジャンルはSF、しかし「宇宙の暗殺者」と異なり、「辺境地での麻薬組織の捜査と撲滅」というストーリーになっている。
しかしその内容は、「SF」というより、「SF風味の、シティクライムアクションもの」といった方が近い。異星人なども登場はするものの、過去のSFジャンルの二作品に比べ、かなり作風が異なる。
一応、ジャンルはSFという事になっているが、税関職員や都市のバーなどで、麻薬組織に関する事を調べ、手掛かりをつかんでいき、それらから犯罪組織の場所を突き止めていく……と、SFというジャンルを用いずとも、「麻薬捜査官が地方都市に赴き、その地方を牛耳る麻薬組織を調査し壊滅させる」という内容にしても成り立ってしまう作品なのだ。
誤った情報を渡され、僧院の小惑星に向かい、そこで怪物めいた存在と相対する、というシチュもあるが、全体的に非常に地味であり、やや中途半端さも感じられる。
しかし、これはこれで独自の魅力がある事も事実である。ファイティングファンタジーシリーズの、異色作の一つとしてあげられる一作と言える。
戦闘システムは、素手の格闘戦の他、熱線銃による銃撃戦、そして宇宙船同士による戦闘の三種類。これは「フリーウェイの戦士」を彷彿とさせる。
主な登場人物・アイテム
主人公=君
銀河連邦中央部の犯罪局に属する、上級麻薬捜査官。
任務遂行の為なら、銃を突き付けて脅したり、賄賂を掴ませて情報を得る事も厭わない。
ブラスター・バベット
アレフ・シグニ星系の麻薬組織のボス。大型ブラスターを武器としている。ある小惑星に麻薬の精製工場を作っている。
ゼラ・グロス
アレフ・シグニ星系の麻薬組織に協力している、輸入会社の社長。肥満体で醜い顔、下品かつ傲慢な性格の女性。ブラスター・バベットと協力し、星間輸入品の売買を行う会社に見せかけ、麻薬を輸出し儲けている。
セントフィル・D
本作で主人公が追っている麻薬。アレフ・シグニ星系からの流出が明らかになったため、主人公が派遣された。