実在創作
じつざいそうさく
AO3などの海外創作界では、Real Person Fiction(通称RPF)が数多く作られており、そのReal Person Fictionという言葉を翻訳したもの。
ちなみに直訳すると、実在人物を対象とした創作、となる。
ナマモノがあくまで隠語なのに対し、実在創作は実在するけど創作という、もっとオープンにしていこう、という単語。
そのため、同人作品だけでなく、アイドルや芸能人、スポーツ選手を題材にした商業作品にも当てはまることがある。
他に、
NHK大河や朝ドラ(近現代ものの場合は存命中の人物も登場する)
ノンフィクション作品の映画化・コミカライズなど
歴史創作で実在人物を扱う場合
新聞雑誌テレビなどの政治風刺漫画
エッセイなど体験談もの
など多岐にわたる。
「ナマモノ」という言葉に対しても、
・生きてる生身の人間に使っていい言葉なのか?
・隠語とはいえ(アンチならともかく)自他共に推しに対する侮辱じゃないのか?
(代わりに「本尊」などを使う場合もあるが基本生きてる人間に使う言葉としては共に不適当)
・隠語を使って隠れる必要のない活動も「ナマモノ」扱いされ誤解されるため迷惑
・言葉に差別的・侮辱的ニュアンスが感じられるため令和コンプラに合わず、創作活動としての自己肯定感が目減りする
などの問題があり、まっとうなジャンル呼称として推奨される。
参考:著作権法(e-GOV法令検索より)
参考:アドビ公式サイト
二次創作ではないので、一次創作と同等の配慮で製作すれば著作権的な訴訟のリスクはない。
(※一次創作であっても作中に写真、素材、商標など無許可コンテンツを使えば一次二次問わず問題となることもあるが、商業ならともかく一次創作同人で問題視されることは少ないと思われる。「一次創作だから違法ではないので安心」というわけでは必ずしもない。著作権以外にも商標や差別表現など問題となる表現方法は多々ある。実在人物の扱いに限った話ではなく、二次創作以外でもあらゆる作品に訴訟リスクは存在する。)
「法的に問題がある」とする過剰な注意喚起という名のお気持ち自粛警察は表現の萎縮を招き、ジャンルの衰退につながる。
実際、過剰なお気持ち界隈ルールが横行した結果、18禁ですらない健全非エロ作品にも「ナマモノ」のレッテルが貼られてしまっている現状がある。こういった活動の背景には本人不在のファン同士の小競り合いや、他人の創作活動が気に入らないだけのアンチによるマイルールの押し付けも関与しているため注意が必要である。
おかしいな、厳しすぎないか?と思った時には思い込みや先入観の強い根拠不明の界隈ルール、捏造マナーやネットの風聞ではなく、きちんと上記参考サイトなどの「法律」の原典文章にあたることが肝要である。
法的リスクがあるにしても判例の多く存在する二次創作と比べても、同人で実際に裁判になった実例も聞かれず風評である可能性が高い。
大抵の作品は普通にファン活動の範疇で問題のないものが大半ではないだろうか。過激な表現の方が注目を集めやすく人口に膾炙される傾向があるためそういう作品しかないように見えるのかもしれない。
肖像権で問題となるのは基本的に写真である。
もしくは写真と見紛うレベルのリアリズム作品なのでデフォルメされた絵柄の漫画やイラストには関係がない。
※ちなみにpixivでは規約により写真の投稿はもともと禁止されているが、ハイパーリアリズム作品は禁止されておらず、投稿可能であると公式アナウンスされている。
デフォルメされたイラストでも芸能人の似顔絵などでグッズを作って売ることは財産権やパブリシティ権の侵害となるが、似顔絵イラストをネットに投稿すること自体は合法であるし、漫画や小説などはイラストと違い競合商品ではないため対象外である。
営利目的ならともかく実際に趣味の同人で芸能人などと裁判となったという事例は聞かれない。
すべての作品に表現の自由があるし、一次二次問わず、いかなる作品にも作者の責任はある。
・二次創作だとする誤解
2024年4月現在において本記事含めネット各所にて実在人物を取り扱った創作は二次創作であるというデマが横行している。
大前提として、生身の生きてる人間は「著作物」「創作物」ではないため二次創作になりようがない。
芸能人や著名人は私人と違い社会的に責任のある一種の公人であり、批判も含めてある程度の論評の対象であり許されている面がある。
公表されてる事実や史実などの記載された本などそのものは著作物である以上、著作権で保護されるが、そこに記載された史実や事実などの客観的事実自体は誰の所有物でもない。
そうでなければニュース報道やワイドショーなどの事実の伝達や伝聞も不可能となってしまう。
一次資料などからの引用も資料元から引用したことを明記すれば、著作権で保護された著書の文章などの引用も可能である。(ただし引用に必要性があり、引用部分が自作品のメインとならない場合)
例外として新撰組や三国志などのようにその人物を扱った既存の創作作品(三国志演義や新撰組血風録など)がある場合に、事実や史実の一次資料に取材せずその先行作品の独自設定などを模倣する形で創作した場合、その既存作品の二次創作となりうる。
が、それらが一次創作か二次創作かの境界は曖昧であり既存作に似た作風だとしても大元作品の著作権が消滅していたり、三次創作、四次創作されて誰のオリジナルか不明な場合もあるため作者本人の判断に委ねられる側面もある。
※例えば「銀魂」は一次創作で実在創作でもあるが同時に翻案された新撰組ものの二次創作でもあるとも言える。だとすれば銀魂二次創作は新撰組三次創作でもある。
※なお新撰組関連では2015年に、新撰組活躍当時に屯所の隣に住居し実際の新撰組を目の当たりにしていた女性の手による土方歳三と沖田総司の男性同士の官能小説(土方歳三と彼女の夢小説もあったらしい)が彼女のひ孫によって発見され話題となった。また、従来よりの既知の資料によれば当時の新撰組内部では男色が流行していたという証言もあった。つまり当時のリアルな事実も材料にしていた可能性のある実在創作=ナマモノだったわけである。(※土方と沖田が実際にそのような関係だったかは不明。)
また作画上、自分で撮影した写真ではない、カメラマンなどによる他者の撮影した写真をそのまま模写やアレンジした場合において著作権侵害になる可能性がある。
その場合の写真の著作者は契約上の著作権譲渡の取り決めがない限り、被写体の芸能人ではなくカメラマンである。
写真を参考資料程度にとどめて描き手の絵柄や技術で表現される作品はそれを描いた創作者の一次創作物となる。
例外として、pixivの人物名タグでよく投稿されている作品の中には雑誌やネットの画像をそのまま模写したと思しき人物画もあるがそれらの場合はオリジナルや一次創作ではなく単なる写真模写となる。
・似顔絵
・漫画
・イラスト
・写実的であっても写真を模倣したものではない作品 など
写真模写や写真などからの二次創作でなければ上記表現方法は著作権的には問題ない。
推測ではあるが下記の要因が考えられる。
1,ハンナマとRPSの混同
ドラマや映画の俳優などのハンナマ二次創作派生のRPSもあるせいで作中登場人物や作品の二次創作も多く、俳優個人なのか作中登場人物なのか容易に判別つかず、作品と絡めて表現される場合もあり、混同されている可能性がある。
2,実在人物の人生などを描いたオリジナル作品があり、それの二次創作も存在する場合
歴史物に多いが存命中の人物の場合もある。史実や事実を題材とした有名な先駆け的な作品(新撰組血風録や三国志演義など)があり、それらの模倣ではなく資料などから直接に発想して創作していても実質的にその二次創作と思われてしまう土壌がある。
3,史実や事実を創作物や著作物だと誤解してる場合
歴史書や事実を書いた記事やニュースなどは研究者や新聞社などの著作物であり著作権の保護対象だが、そこに書かれた客観的事実自体には著作権は発生しない。
4,「ファンアート」と誤解
日本では有名人の写真模写や似顔絵を「ファンアート」と称する風潮があるがファンアートとは「二次創作」という意味で人物画という意味はない。海外ドラマなどは二次創作になるので間違いではないがその俳優個人を描いた場合「ファンアート(二次創作)」ではない。そのため混乱の元となっている。二次創作ではない実在創作作品に使うのは間違いだが多くの人が誤用している背景がある。本来の意味では似顔絵は「カリカチュア」であり、単なる人物模写は「ポートレイト」である。
5,ネットのデマ記事
ピクシブ百科事典を始めとして辞典系のサイトにナマモノは二次創作であるとする記述が散見される。が、他の辞書サイトからのコピペのような似たり寄ったりの記事でピクシブ百科事典もその傾向がありデマの発信元となっていると思われる。なお確認した限りではwikipediaやニコニコ大百科ではそのような傾向はないようである。
6,
風評被害
お気持ちナマモノ自粛警察による「ナマモノ=違法」という誤った喧伝がなされた結果、「違法といえば=二次創作」というぼんやりとした思い込みと無知により風評被害が広まった可能性。
・pixiv
規約によると以前は全てオリジナルとして扱われていたが、途中からなぜか小説だけはオリジナルから排除されている。大人の事情による苦肉の策であると思われる。イラストや漫画は従来通りオリジナル扱いである。
・ニコニコ静画
似顔絵の投稿はファンアート(二次創作)部門ではなくオリジナルと同じ創作部門に投稿可能。創作ランキングも対象となる。
・コミティア
従来より一次創作として歴史や芸能、評論、RPSなどの参加が可能となっている。
・J・GARDEN
コミティア同様に実在人物の創作は一次創作扱いとなっている。
・コミックマーケット
特に規約に明記はされていないが、独自の厳格なジャンル分けが存在するためかサークルカットを見る限りではそれぞれ関連度の高い各ジャンルに散っているように見受けられる。芸能やスポーツだけでなく歴史、評論、デジタル、創作などの雑多なジャンルに実在創作とおぼしきサークルが確認できる。声優関連は芸能ではなくアニメジャンルとなっている。