概要
監獄都市バルドゥークで噂になっている異形の者たち。
それぞれが動物に因んだ名前や特徴を持っており、異能の力「異能アクション」を使う。
バルドゥークにおいて、人と魔の境界が曖昧になる空間「グリムワルドの夜」に不定期に呼び出され、そこに出現する邪魔(ラルヴァ)と呼ばれる魔物を倒す事が使命として課せられる。
彼らは謎の女性アプリリスが所有する「魔弾」によって怪人に変身したが、それと引き替えにバルドゥークの各所に張られた障壁のせいで外に出られなくなってしまっている。
彼らはそれを「呪い」と呼んでいる。
それぞれのパーソナルカラーが決まっており、さながら戦隊ヒーローだが、「怪人の力で邪悪なものと戦う」という構図は、どちらかと言うとそれと並び立つ別のヒーローに近いかもしれない
怪人一覧
赤の王
変身前 | アドル・クリスティン |
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異能アクション | クリムゾンライン~王者の道~ |
赤い髪を持つ6人目の怪人。
白猫
変身前 | キリシャ・ペンドルトン |
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異能アクション | ヘヴンズラン~天空散歩~ |
白い猫に似た姿の怪人。
鷹
変身前 | クレド・アイブリンガー |
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異能アクション | ハンターグライド~猛禽の翼~ |
鷹のような速さを持つ怪人。
人形
変身前 | アネモナ・ラインドール |
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異能アクション | ザ・サードアイ~第三の瞳~ |
美しい人形の姿をした怪人。
背教者
変身前 | ジュール・ノア |
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異能アクション | シャドウダイブ~影の門~ |
ボロボロの法衣を身にまとっている怪人。
猛牛
変身前 | ユファ・ガンベルク |
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異能アクション | ヴァルキリーハンマー~戦乙女の救済~ |
猛牛のような怪力の持ち主である怪人。
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ここから先は物語の核心に関するネタバレがあります!
※詳細を知りたくない方は下にスクロールしないで下さい
「怪人」の異能及び呪いの仕組みを作り上げたのは、嘗て百年戦争で活躍した聖女ロスヴィータの副官を務めた錬金術師である。
誕生の経緯は500年前まで遡る。
500年前に発生した百年戦争は、グリア王国とブリタイ王国の戦いのみならず、嘗てグリアで盛んに信仰されていた宗教「ノース教」における二柱の神、主神「グリムニル」と閉ざす者「ル・キ」の代理戦争でもあった。この時グリアはグリムニルの、ブリタイはル・キの加護を受けていた。
しかし、人間側の戦いの戦火は神々の世界にも拡大。代理戦争で大きな影響はなかったはずの神々の世界はグリムニル陣営とル・キ陣営の直接の戦いにより激震が起こる。
最終的に人間側の戦いはグリアの勝利で終わったものの、神々側の戦いはグリムニルがル・キと刺し違えた事により両陣営相打ちとなり、この戦争でノース教で信仰されていたグリア土着の神々は滅び去ってしまった。
その後、戦後処理にあたっていたグリアは大きな問題に直面した。
―――「グリムワルドの夜」である。
グリムワルドの夜とは、グリムニルがバルドゥークに降り立った際、そこに安寧を齎す為に作り出した世界を浄化する仕組みの事。その内容は
「神器「ドラウプニルの卵」を作り、その神器によって、人間の営みによって生まれた世界の認識を歪める穢れ―――憎悪、悲哀、欲望、悔恨等の負の感情の中でも、蓄積しやすく浄化されにくい強さを持つものが淀んで溢れる前に邪霊(ラルヴァ)と呼ばれる魔物に変換。負の感情のよどみから発生した邪霊を浄化する為の異次元空間を設け、そこに自身の配下である半人半神の戦士や精霊を送り込み、邪霊と戦わせて倒す事で負の感情を浄化する」というものである。
ところが、百年戦争でそのグリムニルをはじめとする神々が滅び去った事で、グリムワルドの夜を戦う戦士達がいなくなってしまい、後に残されたグリアの人々自身がそれに対応しなければならなくなってしまった。だが、勝利はしたものの、戦争が長期に及んだ事でグリアの人心は大きく荒れ果て、そこから生じた負の感情は加速度的に蓄積、大量の邪霊が生み出され、並の人間の手に負えるものではなかった。
八方塞がりの状態にあったグリア王家に対し、一つの提案を与えた者がいた。それこそがかの錬金術師である。彼はロスヴィータの処刑後、軍を辞して故郷に戻っていたが、ロスヴィータへの想いを胸に、貴族としての領土と資産を投げ打って錬金術の研究に勤しむ。同じ百年戦争の英雄であり、戦死した「聖剣使い」の魂を利用した実験をはじめとする数々の実験で得られた知見を基に、まずロスヴィータが大事にしていた人形「アネモナ」に錬金術で魂と自我を与える事に成功。更にアネモナの記憶とロスヴィータの遺髪から、ロスヴィータのホムンクルス(複製人間)「アプリリス」を生み出す。錬金術師として大きな成果を出した彼は王家に謁見。
そんな彼が提案したのは「グリムワルドの夜に対抗できるだけの高い「武」と「智」を持つ者達のホムンクルスを作り、彼らを戦士としてグリムワルドの夜に送り込む」という案であった。
万策尽きかけていたグリア王家はこの案を即座に受け入れ、ホムンクルスの作成元となる優秀な能力を持つ人間を募集。
それに応じたのが百年戦争をロスヴィータと共に戦い抜いた兵站長、切り込み隊長、参謀、看護兵長の4人の英雄であった。彼らのホムンクルスがグリムワルドの夜の戦士として生み出され、歴史の裏で戦い続けた事により、グリアの平和は守られたのである。
現在において、ロスヴィータの戦友であった彼らの最期をはじめとする詳細や名前が伝わっていないのは、彼ら本人はホムンクルスの材料として保管され、厳密には死亡していないのと、この事実を隠蔽する為である。
その後、戦士達が斃れれば新たなホムンクルスが後継の戦士として生み出され、アプリリスと錬金術師も自身のホムンクルスを作り、定期的に肉体を替えながら彼らを養育し、活動を支援した。
錬金術師はその中でも研究を更に進め、「戦士の異能を発現させると同時に逃走防止の為にバルドゥークの地から出られなくする結界を設置する仕組み」の作成に成功。これこそが「怪人」の仕組みである。
現在の怪人については、兵站長のホムンクルスが「白猫」、切り込み隊長のホムンクルスが「鷹」、参謀のホムンクルスが「背教者」、看護兵長のホムンクルスが「猛牛」となっている。
だが、15年前に錬金術師が「新たな発見を得た」と残して突如失踪。アプリリス一人では当代の怪人となるホムンクルス達を育てられなかった。そこで、彼らを一般家庭や孤児院に引き取らせ、そこで育ててもらい、然るべき段階まで成長した際に魔弾を放って怪人「白猫」「鷹」「背教者」「猛牛」とした。
その後、長い眠りを経て自我が再び蘇り、しばらくしてラインドール骨董店にわたったアネモナをアプリリスが見つけた事を契機に、アネモナが怪人「人形」として覚醒。
一方で錬金術師は「過去と現在の優秀な能力を持つ人間及び人知を超えた存在や事象の齎す叡智全てをかき集めて、神を超える存在を錬成し、グリムワルドの夜をその者に支配させてアプリリスや怪人達が傷つかないようにする」事を目指しており、研究の果てに冒険を通じて様々な人知を超えた存在や事象に遭遇しているアドルに目をつける。
そして、アドルがバルドゥークに立ち寄った際に協力者であった騎士団長の手を借りてアドルを監獄に閉じ込め、ホムンクルスを生み出す事に成功。
ホムンクルスの方は脱獄したが、その際アプリリスに出会い、彼女の魔弾を受けた事で怪人「赤の王」となり、6人の怪人が揃ったのである。
終章では体に限界が来たアドルのホムンクルスと本体が融合を果たし、アドルは真に赤の王となる。最終決戦で、錬金術師が生み出した「神を超える存在」を倒した後、アドルが彼の記憶から錬成された、これまでに出会った人知を超える存在6人の魂の導きにより、グリムワルドの夜を生み出す神器「ドラウプニルの卵」を破壊した事で、グリムワルドの夜は消滅。グリムワルドの夜に連動していた怪人の異能及び呪いも消滅し、彼らは魂を本体(人形はアプリリスのスペアの一体)に移し替え、普通の人間として生きる事になったのである。
錬金術師:ゾラ
怪人と呪いのシステムを生み出した黒幕。物語に於ける諸悪の根源でありながら、同時にバルドゥークの街をアプリリスとともに数百年間守り続けた守護神でもある。
かつて聖女ロスヴィータの副官として側に仕えていた青年貴族であったが、ロスヴィータが百年戦争終結後に王より疎まれて謀殺されてしまったことで人生が一変。ロスヴィータを復活させるべく私財をなげうって錬金術を修得し、グリムワルドの夜に悩まされていた国王に解決策として上記の怪人システムを提案。王国の平和を守りつつも国の援助を得たことでますます錬金術の研究にのめり込むようになった。
性格は良くも悪くも純粋であり、優しさと残虐さが同居している難物。目的のためには手段を選ばない合理性を見せるが、ロスヴィータを死に追いやった王族達に後年おぞましい復讐を果たすなど粘着質な陰険さを根に宿している。一方で彼が研究を続けるのはあくまでもグリムワルドの夜を解決するためであり、愛するロスヴィータやかつての戦友たちを戦いの運命から解放したいという思いをずっと抱いていた。
最終章にて、アドルから得られた知見を元にグリムワルドの夜を管理する新たなる力として「神を超える存在」を生み出すも、まるで制御することが出来なかったので慌てて消去しようとした際に「神を超える存在」に切って捨てられてしまった。
アドル達の活躍によって「神を超える存在」が倒され、グリムワルドの夜も消滅したことに
思うところがあったのか、怪人達の魂をオリジナルの肉体に移し替えることに協力し、彼等の余生を後押しした。
自分の魂も年老いた元の肉体に戻したようで、長年連れ添ったアプリリスと共に余生を過ごすことになった。