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概要編集

『悪人』は、吉田修一による小説。


本作は、2006年3月24日から2007年1月29日まで『朝日新聞』にて連載され、2007年に朝日新聞社より出版された。2010年11月時点で朝日文庫版が210万部を突破している。

第61回毎日出版文化賞と第34回大佛次郎賞をダブル受賞。2008年度本屋大賞第4位。


2010年に映画化。主演は、妻夫木聡。ロケは、長崎県佐賀県福岡県の北部九州3県で行われた。

モントリオール世界映画祭ワールド・コンベンション部門に正式出品され、ヒロインを演じた深津絵里が最優秀女優賞を受賞するなど日本だけでなく世界各国でも高評価を受けている。


2018年には舞台化された。


あらすじ編集

保険外交員女性・石橋佳乃が土木作業員・清水祐一に殺された。清水は別の女性・馬込光代を連れ、逃避行をする。


なぜ、事件が起きたのか?事件当初、容疑者は裕福な大学生・増尾圭吾だったが、拘束された増尾の供述と新たな証言者から、容疑の焦点は清水に絞られる事になる。


登場人物編集

金髪の解体作業員。長崎県の海からほど近い田舎街に住んでいる。暗い性格で話下手で、佳乃から「話が面白くなく一緒にいてもあまり楽しくないが、車の運転とセックスだけは上手い」と評されている。自宅では自分のことは後回しで祖父母の日々の頼まれごとを淡々とこなしているが、子供の頃に両親がいなくなったことに闇を抱えている。子供の頃に初めて見た灯台という物を印象的に感じている。唯一の趣味は車を運転することでリアウイングのついた白い車に乗り、スピード狂でドリフト走行をしている。出会い系で知り合った佳乃と福岡で会った直後事件を起こし、その後出会った光代と逃亡する。


紳士服店の販売員。佐賀県在住。真面目で大人しい性格なため、恋愛に憧れているがこれまで異性と付き合ったことはほとんどない。本気の出会いを求めて10月頃に出会い系を利用して、祐一とメールだけのやり取りを数回した。本人は、生きることに不器用なタイプの人間なことや、人生の生活圏内が狭いことについて「祐一と似たような所がある」と評している。自転車で通勤している。祐一と同じく灯台が好き。祐一と関係を持ち、彼から事件のことを打ち明けられた後2人で逃亡する。


増尾に好意を寄せる、恋人気取りな女性。博多で保険外交員として働き、寮で一人暮らししている。祐一とは秋頃に出会った直後に男女の関係を持ち、金を要求する。性格に裏表があり、話す相手によって見せる顔や態度がかなり変わる。加藤ミリヤの「Aitai」という曲がお気に入り。金をもらう条件で祐一と会う約束をしていたが、その後遺体となって発見される。


福岡の大学生。実家は由布院で老舗旅館を経営。裕福で自由気ままだが基本的に性格が悪く、親しい人以外には悪口を言ったり露骨に嫌な態度を見せたり、時には手荒い行動を取ることもある。軽い気持ちで佳乃をナンパして一晩の遊びで関係を持ったが、それ以降親しげにメールを送ってくる彼女を疎ましく思っている。愛車は赤い車。


佳乃の父。久留米市に住んでいる。親として一人娘の佳乃のことをいつも気にかけているが、娘があまり実家に帰ってこないことを寂しく思っている。刑事から事件の経緯を聞いた後哀しみと怒りの感情を携えて、佳乃の遺体発見現場である三瀬峠、娘を峠で強引に降ろした増尾に会いに久留米から訪れる。


祐一の祖母。長崎の田舎町の魚市場で働いている。家族を棄てた依子を良く思っておらず、祐一の母親代わりに小さい頃から育ててきたため「祐一は私の息子」と認識している。矢島の会社で働き始めて間もない頃の祐一に買ってもらった、オレンジ色のスカーフを大事にしている。平凡な日常を送っていたが悪徳業者に騙されたり、事件後からは自宅前に群がるマスコミから容疑者の家族としてマイクを向けられ始める。


関連タグ編集

小説 吉田修一

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