新幹線の三景
しんかんせんのさんけい
暮れの新幹線。相当の混雑なので指定車両に移ってみた。ここも満席だったが、ふと見ると、座席に小さなバスケットが置いてあり中に小犬。隣に若い女性が座っていた。早速「ここ空いてますか」と尋ねてみた。すると、その女性は、「指定席券を買ってあります」と答えた。私は虚を突かれた思いがした。
改めて車内を見渡すと、多くの立っている大人の中、母親の隣で3歳ぐらいの男の子が座っている座席もある。あれも指定切符を買ってあるのだろう。
仕方なくいっぱいの自由席に戻ると、ここにも学童前と思われる子が親の隣に座っていた。懲りもせずにまた「ここ空いてますか」と尋ねると、母親は仕方なさそうに子どもをひざの上に乗せ、席を空けた。私はその座席で居心地の悪さを感じながら、この新幹線の中での三景をどう考えたらいいのか自問した。
指定席券を買っていないのに指定席に座ろうとする、子供が席に座っているのがおかしいような書き方、そして最終的に(半ば強引に)席を譲ってもらえたのに感謝もせず、更に新聞に投書することで不満を拡散しようとするなど、非常識極まりない行動にネットでは炎上。
当時からまとめサイトで頻繁に取り上げられ、現在も老害のテンプレートとして度々話題に上がる。
一点だけ擁護できるのは、指定席に犬を置いていた女性の件であろう。
実はJRの規約ではペットは手回り品扱いであり、指定席を取ることが出来ないため、この点は女性の規約違反という非が確認できる。
ただし、そもそも論としてこの男性は指定席券を買っていないので、ペットが居なくても席に座る権利は無い。
また、人によっては「学童前の子供は運賃が無料なのだから膝の上に座らせるのがマナー」と考えるが、そのような規約は存在せず、あくまで個々の主観による話なので、結論を出すことは不可能である。
仮にそうだとしても、座っている子供が見えているのに「ここ空いてますか」という尊大な聞き方はあまりに失礼である。
バカッターやインスタ蝿といった言葉があるように、若者世代がインターネットへの軽率な投稿で炎上することは度々起こるが、本件はそのアナログ媒体版と言える。