武装ヘリコプター
ぶそうへりこぷたー
先述の通り、輸送ヘリや汎用ヘリに(ドアガンを除く)機関銃、砲、ロケット弾やミサイル等の武装を施したものであり、ガンシップと呼称されることもある。
理論的にはどんなヘリコプターも武装ヘリコプターにすることが可能であり、過去にはCH-47輸送ヘリコプターの装甲と火力を強化した『ACH-47』等大型の機体もあったが、現在では小回りが利く中型・小型機が主流。
この武装ヘリコプターのコンセプトを基に、より戦闘に特化する形で誕生したのが攻撃ヘリコプターになる。
最初期の利用は1960年代に発生したポルトガルの植民地戦争と言われていて、この際の機体はフランス製のSA 316 アルエットIIIであり、機関銃やロケット弾を搭載し、空挺強襲作戦において輸送ヘリの護衛に使われた。
ほぼ同時期、ベトナム戦争でもUH-1を原型とした武装ヘリコプターが運用されたのだが、性能不足もまた露呈し、この経験が攻撃ヘリコプターの開発につながった。
機体を専用設計した攻撃ヘリと違い、ほとんど機体やエンジンには手を加えないまま武装を搭載している(UH-60のように最初から武装の搭載を想定した輸送ヘリは稀)。攻撃ヘリのように回転銃架が搭載されることはほとんどなく、機銃使用時は固定翼機のように上空を通過しながらの掃射となる。
ベース機の性能にもよるが、機体がほぼそのままなので防御力・搭載量・火力は攻撃ヘリに比べて劣る。外部搭載物が空力特性に悪影響を与えるため、ベース機より飛行性能が低下することも。
しかしながら既製品を流用できる分「安価かつ整備・運用の方法も変わらない」「武装を外せば通常の輸送任務にも使用できる」「市街地戦では火力の低さが二次被害を出しにくい点で有利」という点は軍事的には見逃せないメリットであり、攻撃ヘリが普及して以降も脅威度の低い目標への攻撃や特殊作戦に用いられたり、懐事情が厳しい中小国で攻撃ヘリの代わりとして運用されたりしている。
デジタル化が進んだ近年は単に武装を追加するのみに留まらず、攻撃ヘリと同等の電子機器や防御手段を追加装備する事で「小さな攻撃ヘリ」と言える戦闘能力を持つようになってきている。さまざまな機能を詰め込んで高価になった割に撃たれ弱い攻撃ヘリの有用性を疑問視する声が多い昨今ではコストパフォーマンスの良さが再評価されており、特にドイツはティーガー攻撃ヘリを手放して武装ヘリへ移行する方針を打ち出している。