概要
「氷風のクルッカ」とは、日本の作家柳内たくみによるライトノベル作品。同じ作者である「GATE 自衛隊、彼の地にてかく戦えり」と違い、現実世界の実在した戦争を舞台としている。
ストーリー
舞台は1939年、ソビエト連邦(以下「ヴェナヤ」)は小国フィンランド(以下「スオミ」)に侵略し、歴史的侵略戦争、冬戦争が幕を開いた。
猟師の祖父を持つ少女、クルッカ・サムライネンは祖国を守るため、性別と年齢を偽ってスオミ軍に入隊する。
持ち前の射撃の腕で、狙撃手として戦果を挙げるクルッカに対し、ヴェナヤ軍最凶の女狙撃兵が立ちふさがるのであった・・・・。
主な登場人物
スオミ共和国国防軍(フィンランド/スオミ軍)
クルッカ・サムライネン(従軍時はクルック・サムライネン)
サーミ人の少女。猟師である祖父とともに猟で培った狙撃の腕を持つ。
父を幼いころに亡くし、母は「父を探しに行く」と言って行方不明となったため、祖父の男手一つで育てられた。
常人には見えず、聞こえないものを見聞きできる「ノアイデ」の素質を持ち、様々なものが聞こえてしまう。
愛銃は序盤がスオミ国内で製造されたスコープなしのモシン・ナガンM28/30。中盤以降は倒したヴェナヤの狙撃兵から鹵獲したスコープ付きのモシン・ナガンを使用する。
二つ名は「雪の妖精」。
シモ・ヘイヘ
実在の人物。
クルッカと同じ部隊に所属する狙撃兵。大量の敵を狙撃で屠った通称「白い死神」。
作中ではたびたびクルッカと行動を共にし、クルッカは彼の行動を見ることや、彼の教えを受けることによって、狙撃兵として成長していった。
愛銃は序盤はスオミ国内で製造されたスコープなしのモシン・ナガン『ピュステュコルヴァ』。中盤以降は賞詞とともに隣国から贈られた専用のモシン・ナガンを使用している。
アールネ・エドヴァルド・ユーティライネン
実在の人物。
クルッカの所属する中隊の中隊長。階級は予備役中尉。
その風貌と予備役であることから、クルッカは最初、彼の本職はパン屋であると思い込んでいた。
実態は、フランス外国人部隊で武功を上げた人物であり、ピクニック感覚で戦車を撃破し、対戦車砲を鹵獲してくるような人物である。
二つ名は「モロッコの恐怖」。
弟も負けず劣らずの武人であった(劇中では名前が言及されるのみだが)。
セッポ
クルッカと同期で入隊した少年。序盤ではユーティライネンの従卒、クルッカが単独行動を開始したのちは重石役としてクルッカと行動を共にするようになる。
ヴェナヤ軍(ニューヴォリスト連邦/ルッシャ)
※この場合、「狙撃兵連隊」とは通常の歩兵連隊のことである。
ロザノフ・セルゲイ・ヴェルシーニン
ヴェナヤ軍第213狙撃兵連隊戦車中隊第2小隊長。
ヴェナヤではよく行われる粛清を恐れ、目立たないように生きてきた。
その後、偶然が積み重なって起きた出来事により、ニューヴォリスト連邦英雄の称号を授けられ、中尉に昇進した。
イーゴリ
ヴェルシーニンの所属する部隊の政治委員。
とても無慈悲な性格で、撤退しようとする見方兵士を平気で射殺する。
中盤でクルッカを目にし、銃を突きつけられて以降、ヘイヘとクルッカを討ち取るための策略を練るようになる。
ナタリア
イーゴリらの要請を受け、第75狙撃兵師団からヘイヘとクルッカを倒すために派遣された女狙撃兵。普通の兵であれば少しは気にする政治委員に対しても臆さずに意見をぶつけるなど、大胆不敵な人物である。
見た目は20代後半であるが、書類の年齢欄は何者かに塗りつぶされており、正確な年齢は不明。
ヴェナヤの内乱期に突如現れた女戦士として有名になり、「紅のカスパール」という二つ名を持つ。
物語後半、とても重要なことが明かされる。
ミーシャ
ナタリアと同じく、ヘイヘとクルッカを倒すために派遣された女狙撃兵。ナタリアの娘であり、16・17歳ごろの年齢である。
性格はかなり悪く、敵兵をいたぶり殺すことに快感を覚える。
書籍
アルファポリスより通常版と文庫版が発売されている。
初版発行は2012年6月6日。