概要
「烏賊川市シリーズ」とは東川篤哉によるミステリ小説のシリーズの1つ。千葉の東・神奈川の西にある、かつて烏賊漁で栄えた烏賊川市を中心に話が展開される。複数の人間の視点を混ぜて、最終的な結論を導いてゆく形式。ギャグやユーモアを多く混ぜた作風が特徴。
第一作は「密室の鍵貸します」。
登場人物
鵜飼杜夫
主要人物の一人。烏賊川市のビルの一室に「Welcome trouble!」という看板を掲げた探偵事務所を構える男。スーツ姿で痩せた目立たない風貌の持ち主。依頼主には非情に愛想が良いが、口が軽く、周囲には粗忽で無神経で図々しいと言われている。軽口で人をからかうのが趣味。生活能力が欠如しており、ただでさえ少ない依頼を更に選り好みする質であるため、事務所は常に貧乏。そのくせ車はルノーを乗り回している。家賃滞納の常習犯であり、オーナーの朱美には頭が上がらない。ただし、探偵としての能力自体は非情に優秀で、ごく少数ではあるが、彼を名探偵と見なす者もいる。流平の姉と離婚歴あり。
戸村流平
ホームシアターでの殺人事件に巻き込まれたところを元義兄の鵜飼に頼って助けられ、以降弟子として事務所で働いている青年。タイガースファン。探偵サイドでは主に彼の視点で語られる。単純かつ短気であり激怒、もしくは泥酔すると癇癪を起して所構わず罵詈雑言を放ち大暴れをする悪癖を持つ。記憶力にも乏しく1週間前のこともすぐ忘れる。泥酔時のこともまたしかり。
二宮朱美
鵜飼の事務所がある黎明ビルのオーナー。気の強い妙齢の美女。鵜飼の軽口や家賃滞納に悩まされている。依頼を選り好みする鵜飼に、家賃を盾に強引に仕事をさせ、時には助手として事件調査を手伝うこともある。鵜飼のことは、まがりなりにも名探偵として認めている。
砂川警部
主要人物の一人。烏賊川市署の警部。かなりマイペースな性格。警官としては非常に優秀なのだがやる気がなく、よくクラゲの観察をして時間をつぶしている。鵜飼や流平とは事件でなにかと因縁があり、かなり煙たがっている。特に鵜飼とは相性が悪いが、時には協力して事件を解決することもある。
志木刑事
砂川の部下兼相方の警察官。安定を求めて警察官となった若者。刑事としてはまだまだ未熟で、砂川の足を引っ張る場面も多い。また、砂川から面倒な雑用を押し付けられることも。形にこだわるタイプで、逮捕状や拳銃にたいしてはかなり意欲がある。普段はあまり職務意欲が無く、前には出ないタイプだが、実は結構短気で、ハンドルを握ると性格が変わる。