国籍を持たないこと
二重国籍と同様に、「生地主義」と「血統主義」によるシステムの穴をつく形で発生する。単純な理論では、生地主義の国出身の夫婦が血統主義の国に移住して、そこで生まれた子供は無国籍となってしまう。現実的には救済策も用意されていることもあるが、何らかの理由で救済策がとれない場合もありうる。
どこの国の人とも認められないということなので大問題となる。
なお、日本においては「戸籍が無い」と「日本国籍が無い」は事実上同義であり、視点を変えると、通常であれば日本国籍を自動的に取得出来るような人物であっても、出生時に何かの理由で出生届を出せなかったり、出生届の際に何かのアクシデントが有り、出生届が受理されなかった、などの理由で無戸籍となった子供は、同時に無国籍者または国籍不明者扱いとなり、事後的に日本国籍を取得する事も可能だが、その手続は極めてややこしくなる(あくまで「可能」な場合も有るの意味であって、このようなケースにおける日本国籍取得がほぼ100%成功する訳ではないし、手続の途中で心が折れて日本国籍取得を諦める人まで居る)ので注意が必要である。
その他の意味
組織や芸術においては、“国家という枠に囚われない”という意味で積極的に「無国籍」を名乗る事もある。(この場合、ある意味では「多国籍」とも言える。)
また、両親などの保護者が国の行政機関(市役所、区役所等)に出生届を出さない場合、法的には「無国籍」ということになる。この場合、義務教育、保健医療などの国による行政サービスは当然ながら受けることができない。
作品のモチーフとしての無国籍
フィクション作品では例えば製作された国やテーマによって自然とその国の特徴が織り込まれるが、物語に出てくる舞台が特定の国ともいえないものは無国籍(風)として扱われる事が多い。
無国籍の特徴
- 現実世界の通貨単位があまり出てこない
- 現実の国名としていない
- ややファンタジーか子供でもわかりやすい記号化もしく簡略化されたようなキャラクター造形や建物等。
- レトロフューチャー作品
- 海外翻訳されてもその翻訳先で違和感が少ない描写
- 「国」単位ではなく「ヨーロッパ」「アジア」といった大きく見た総称的なイメージ
・・・などなど。
無国籍的な作品(一例)
- 渡り鳥シリーズ - 日本映画における無国籍映画の代表的作品。
- へーい!ブンブー - 一応、世界を旅する為無国籍でありながら多国籍なアニメ作品。
- ポケットモンスターシリーズ - シリーズ初期は日本(関東・近畿・九州・北海道)をモチーフにしていたが海外もモチーフにしている為多国籍要素がある。
- MOTHER2 - アメリカをモチーフにしているが現代社会をテーマにしている為、無国籍と多国籍の要素がある。
- MOTHER3 - 時代がいつなのかすらわからない上にそれまでのシリーズよりも無国籍要素が強い。
- 妖怪人間ベム - 物語の舞台がやや西洋系だが無国籍要素が強い。