概要
漫画『蟲師』の登場人物。
タグとしては、淡幽の方が使われている。
狩房家の四代目筆記者である若い女性。筆記者の証として、右足に墨色の痣を生まれ持っている。
「筆記者」とは、全ての生命に死をもたらす強力な「禁種の蟲」を体内に封じている者のことであり、狩房家にて数世代に一人生まれる。蟲を屠った話を書物に書き記すことで少しずつ「禁種の蟲」を封じる力を持ち、代々、その役目に一生を費やす。
痣のある部位は自由に動かすことが出来ない上、筆記の際に痣から生じる激痛に耐えなければならないが、蟲を封じるたびにほんの少しずつではあるが痣は消えている。また、こうして代々筆記されてきた書物は「狩房文庫」と呼ばれ、蟲師たちにとって貴重な「蟲退治」の指南書となっている。
一話完結の形を取っている『蟲師』の登場人物の内、数少ないギンコの知人。
その役目より、幼い頃より薬袋たまを助手として過ごし、また、たまを初めとした他の蟲師らから蟲にまつわる話を聞き集めては書物に記してきた。
しかし、聞く話諸々が、蟲を殺す「殺生」の話であると気付いてからは、たとえ異形であっても同じ命を持つ生き物であるはずの蟲を屠る話ばかりに嫌気が差し始め、役目を続けつつも塞ぎこむようになる。その先で、歴代の筆記者によって書かれてきた膨大な数の狩房文庫を保管している狩房家に、書を閲覧するためにきたギンコと知り合い、「人と蟲の共存」を信条とする蟲師である彼とは似た考えを持つ者同士、気が合うようになる。
生まれ持った使命ゆえに自由が無く細やかな「蟲」の命を愛でる淡幽と、生い立ちゆえに定住出来ず「蟲」とともに生きるギンコ。自分の生涯に時に望み薄く思う淡幽にギンコは「足が治ったら何がしたい?」と夢を問いかけ、また、明日にも蟲に取り殺されるかもしれないギンコに生きることを望む言葉を気負わずに返す淡幽の姿から、二人の仲の深さが窺える。
書の紙を食う「紙魚」と呼ばれる蟲を愛玩しており、その卵を敢えて狩房文庫の中に忍ばせるという「かなり危険な遊び」(ギンコ談)をしている(紙はいずれ劣化するため、たびたび新しい紙に転写し直す必要があるから本人曰く問題無いらしい)。