概要
『異種族レビュアーズ』や『貞操逆転世界』で知られる天原先生の新作。
『貞操逆転世界』や『33歳独身女騎士隊長。』と同じく本人のTwitterに投稿するようなネタを連載作へと発展させた作品だが、本作は天原初の小説連載となっている。
「小説なんて人生で一回も書いたことねえので小説処女卒業」と述べる初めての試みになるが、小説家になろうで連日ランキング一位を取るなどかなりの好評。
登場人物
ダンジョンマスター
現実世界で不治の病に侵されていた際にダンジョンコアから契約を持ちかけられたことで転生してダンジョンマスターとなった男。死ぬまでの間ひたすら空想にふけていたことで温泉ダンジョンを考案し、多くの者を自分のダンジョンに呼び込んでいく。
転生したことで人間ではなくダンジョンマスターとしての精神や肉体となっている(人の死や不幸にも大きく心が動かず三大欲求を満たす必要もない)が人間としての記憶を持っているため食事や自慰などもやろうと思えば出来る(その際魂が共有されてるダンジョンコアにも影響を与える)
ペタちゃん
ギョロギョロした感じの三白眼のツリ目やつるっぺたの貧乳が特徴のダンジョンコア。ダンジョンの構造を決めるためのダンジョンの意思が形になった存在でより大きなダンジョンをつくるためダンジョンマスターを呼び込んだ。ペタちゃんという名前はダンジョンマスターの命名。
ダンジョンをひたすら大きくしたいという原初の欲望を持ちながら人間について理解できず何がダンジョンに必要か分からなかったことからダンジョンマスターを呼び込んだ。最初はその方針に懐疑的だったもののみるみるうちにダンジョンが大きくなっていくと興奮を見せる。
アウフ・ナウサ・オトロウリュ
セバンス王国ナウサ家公爵令嬢3女。美しい少女であった頃に全身におびただしい水疱が出来る病にかかってしまい、一命こそとりとめたものの痛ましいまでの強い跡が残ってしまって心を閉ざして10年以上部屋に引きこもり続けた。しかし、閉じこもっていた中でも勉強を続けてとりわけダンジョンについては造詣が深くなる。
そんな中、国に出来た温泉ダンジョンの効用により一般的レベルまで肌が回復して部屋から出られるようになり、勉強を続けて得た推察力や洞察力によりダンジョン攻略に一役買う。聡明なためダンジョンの人を惹きつける魔力を危険視しつつも誰よりその効能を実感してもいるためそれを更に味わいたいという欲望は捨てきれない。
ユーザ・メッシニークィ・センシツ
セバンス王国女王陛下。美容にうるさいタイプで温泉ダンジョンにも情熱を向けるがその探索で国を傾かせるほど愚かではなく普段の彼女は賢君寄り。婿養子の旦那をしっかり抑えて政を自分で行い、戦場に赴くと司令官を務めあげるほど行動力も武勇も持ち合わせている。
とてつもない広さの9階層が発見された際にはローラー作戦を強行したりはせず賞金を出して冒険者に探索させたほか誰でも見つかる位置に出来た10階層への階段を見つけた者にもしっかり賞金を出した。
ダンジョン
特徴
深い層に行くほど瘴気が濃くなり、その瘴気とダンジョンポイントによりダンジョンはあらゆる奇跡を起こせる。その力を使ってそれぞれのダンジョンコアたちはダンジョンに人を呼び込もうとするが人のことが理解できていないため人間からしたら大味すぎる作りのダンジョンも多い。
異世界から人間を呼び寄せたダンジョンは人間の視点からダンジョンを経営できるため一般的に発展することが多く、温泉ダンジョン以外にも近年魅力的なダンジョンがいくつも生まれている。
ダンジョンポイント
長くダンジョンに留まる者が出たりダンジョン内で争いが起きたり(血を流したり死体が出来たり)することで得られるポイント。拡張や維持には逆にコストがかかってしまうためその収支を考えながらダンジョンを経営していくことになる。
またダンジョンには外から入ってきた不純物を何でもかんでも飲み込んでポイントに変える性質がある(人間が溶かされるようなことはないが何か物を持ってきて放置していたら溶かされたりする)
ダンジョン設計
本来は巻物や書物を具現化してダンジョンの詳細を確認するのが基本だが主人公である異世界から来たダンジョンマスターは経営ゲームのステータス画面をイメージしていたため、それを具現化してスムーズにダンジョンの詳細を確認することが出来る(いわゆるステータスオーブン)
またそこからの操作もまるでゲームのように自由自在で22時間というダンジョンの変形時間を含めても主人公は一日足らずでダンジョンの1階層を完成させた(ダンジョンコアが1階層を設計するのには数ヶ月はかかったという)
温泉ダンジョン
その名の通り温泉で人を惹きつけるダンジョン。セバンス王国の女性たちが強く惹かれており、とりわけ貴族や女騎士が求めてやまない。
肌艶があきらかによくなる1階、2階、6階の湯が人気があるが次いで効能が明らかにされていない5階の湯が想像を掻き立てて人気となっている。
1階層
肌美容に特化した温泉。あせも、軽い手荒れ程度ならすぐ治ってニキビも薄くなる。一週間ほどの連続使用で強い乾燥や水虫、あばたなどにもある程度の効能を発揮する。美肌の湯。
地上から近い1階層の湯のみ魔力が抜けず持ち帰ることが可能で、引きこもっていたアウフやダンジョンに潜ることを禁止された男たちはその湯で効果を実感していた。また美容液として各国に販売し、セバンス王国の新たな財源になっている。
2階層
1階層を更にパワーアップした美肌の湯に髪まで綺麗になるという効果が追加された髪艶の湯。
3階層
シミ消えの湯。
4階層
実年齢から3歳くらい若返る湯。効果は一度きり。
5階層
効能不明と思われてその効果を期待しながら入れる点で人気を博していたが実際はダンジョンマスターによる罠。この湯に入れば入った回数だけ入った者の情報を奪われる。
1度入れば名前や年齢、2度入れば職業や家族構成、3度入れば大体の強さや軽い生い立ちなどが判明し、20回も入れば最近いつどこで何をおかずに自慰を行ったかなどの恥ずかしい情報まで開示できるという。
6階層
潤いの湯。
7階層
小じわ消えの湯。
8階層
傷あと消えの湯。歴戦の女騎士や強行策を敢行して傷を負ってしまった女貴族に再びダンジョンに潜らせる強い意思を芽生えさせた。
9階層
地平線いっぱいに広がるだだっ広い草原。目印なんてものは何もなく見渡す限りひたすら草が広がっている。高さもほとんど無尽蔵にあり、遠くの壁も天井も見えないあまりに途方もない空間。
ペタちゃんの要望を聞いて作られて彼女自身は喜んでいたものの2隊に別れた女騎士たちが入り口の両側から壁沿いに3日かけて歩いても合流することが出来ず、当然温泉もすぐには見つからない広さはダンジョンマスターも人間も辟易した。結果、ダンジョンマスターは10階層の階段をすぐ分かる位置に作って9階層をとりあえずスルーしてもらう方策を取る。
だが9階層に風も天井もないことに目をつけたアウフが気球を持ち込んで観測するという案を立案。これまで多くの者がどれだけ時間をかけても見つからない中でたった6名の探索チームが9階層到着からわずか数時間で温泉を見つけ出した。
彼女は未だダンジョンに潜ったことのない深窓の令嬢で人聞きだけの情報で今回の問題解決法を提示して見せたという。
ちなみに9階層の温泉の効能は長年の戦いや職業病で病んだ骨や身体が治るという湯。明らかに一部の骨格や肉が歪んでしまっている身体をした騎士が多くいたためそれらが矯正されるような湯を準備した。
ちなみに攻撃力や機動性は肉体修復によっても下がらないように設定できたとのこと。
10階層
効果不明。ダンジョンマスター曰く、今は効果不明でもしっかり入っておかないといつか後悔する湯とのこと。