疎開留置
そかいりゅうち
何らかの事情で本来置いておける場所に留置できない場合に鉄道車両を一時的に別の場所に疎開させること。
車両の疎開には主に転属車や新車の投入に伴う疎開、廃車の疎開、災害の疎開のパターンが存在する。
転属車の疎開
車両そのものは既にあるが、転入先の車両区のスペースがないことから一時的に空いているスペースへ留置することを意味する。
疎開留置は数週間から数か月で実施され、その間は何もされることなく留置される。
主な例としては、大垣車両区から静岡車両区へ転属した313系300番台と1300番台が富士へ疎開したことが挙げられる。
新車の疎開
車両メーカーから到着し、試運転中の新車も疎開が行われることがある。これは投入予定の路線の車両基地の容量が一杯で新規の収容が不可能な場合や災害などで投入予定の路線の車両基地に入線できない場合に行われる。問題がないことが確認され、試運転が完了すると投入予定の路線まで回送される。
主な例としては、鶴見線に投入されたE131系1000番台が国府津車両センターへ疎開した。
旧車の疎開
旧車を置き換えるために新車を導入し、試運転も終わって営業運転が開始された後に行われることが多いパターン。
本来の車両基地から普段は使用されない駅の側線や遠方の余裕のある車両基地まで車両を回送し、廃車・譲渡・転用が決まるまで留置する。
主な例としては、鎌倉車両センター所属のE217系が後継車両のE235系1000番台の投入に伴い国府津車両センターや幕張車両センターへ疎開した。さらに時代を遡れば国鉄時代の末期、ダイヤ減量化で余剰化するなど今後の使用見込みがなくなったが償却の関係で直ちに廃車にできない、または廃車の処理が追い付かないなど大量の余剰車両が、各地の駅構内や操車場跡に放置されていた。(それらの殆どは民営化後に処分された)
波動輸送用車両の疎開
かつて年末年始やお盆前後などの多客時に臨時列車、また大口の団体輸送列車が多数設定されていた時代は、各地の車両基地に多数の波動輸送用の車両(主に客車)が配置されていた。
当然それらの列車の設定が少ないオフシーズンはこうした車両も遊休化してしまうが、基本的に車両基地は留置スペースが少ないため、当面使用予定のない車両を近辺の留置線に余裕がある駅構内などに疎開させる例が多々見られた。