概要
初期正式名称「英雄伝説III もうひとつの英雄たちの物語 白き魔女」。
後に「ガガーブトリロジー」シリーズとして再編されるに当たり、「英雄伝説III 白き魔女」と改題された。
PC-9801向けとして発表され、Windowsにも移植された。
当時としては珍しいAI戦闘が導入されており、バージョンによってプレイヤーが介入できる範囲は違うが、基本オートのみとなっていた。
ゲームとしては「初心者向け」の色を初期から強く発しており、ゲームの難易度はきわめて低く抑えられている(再調整版である「Renewal」に至っては攻略本が付属している)。
その分リソースを物語の描写に費やしており、sound team jdkによる良質なBGMも相まって、物語を楽しむ作品としてシリーズでも特に人気の高い一作である。
もっとも、そのコンセプトに反し、実際にはAI戦闘というシステム上戦闘にプレイヤーが介入できる要素が少ないために運任せの要素が強く、結果コマンド式RPGに比べて難易度が高くなっており、初期のPC-98版にいたっては酷いAI設定もあって激辛ゲームバランスとなっており、PC98リニューアルでの再調整やWindows版の戦闘システムが多少改善されてようやく初心者向けといえるバランスとなっていた。
なおこのためか、他機種移植版では根本的に戦闘システムが一新されていることが殆どである。
ガガーブトリロジーシリーズの最初の作品であるが、作中時代としては最も後の時代を描いた作品でもある。従って他作と異なり、ジュリオ達のその後についてはほとんど描かれていない(辛うじてCDドラマ「わかたれた湖」にて、僅かに後日談が出てくるが、これも物語のメインは作中シナリオであり、特筆すべき情報は何も出てこない)。
1998年にセガサターン版「白き魔女-もうひとつの英雄伝説-」が発売されたが、こちらは移植を行ったハドソンによってゲームシステムやキャラデザインが一新され、別作品となっている。
あらすじ
ラグピック村の習わしで14歳になる子供は、成人の儀式として「銀の短剣」を携え、世界各地に安置されている魔法の鏡「シャリネ」を巡礼する巡礼の旅に出ることになる。14歳になったジュリオと、病気で1年延期したクリスチーナは巡礼の旅に出発したが、その先々で「白き魔女」と呼ばれた魔女が残したという様々な予言を聞く…
主な登場人物
以下、声の出演は原則としてCDドラマ版である。主に家庭用移植版で、これとは異なるキャスティングが行われているケースが多々存在する。
ジュリオ
主人公1。14歳。フォルティア国の高原の村ラグピックの狩人の子。村の風習に従い、クリスと共に巡礼の旅に出ることになる。CV:緒方恵美。
クリス
主人公2。15歳。ラグピック村のチャッペル(作中の魔法体系で、白魔法に相当。同時に習得施設の名前でもある)の子。本来なら一年前に旅に出るはずだったが、体調を崩して旅に出ることができなかったため、年下のジュリオと共に巡礼の旅に出ることになる。CV:國府田マリ子。
シャーラ
22歳。街道荒らしの盗賊であり、グースとコンビで活動している。盗賊ではあるが(主にグースのヘマのせいで)未遂が殆ど。気風の良い姉御肌の美女である。CV: 折笠愛。出身地は不明であるが、フュエンテ国の地理に明るい描写があり、同国と関連があるものと思われる。
グース
(左側)
23歳。街道荒らしの盗賊であり、シャーラとコンビで活動している。盗賊としてはツメが甘い部分が多分に見受けられ、盗みは未遂が殆ど。一方で投擲攻撃の腕は確かである。CV: 子安武人。出身地不明。
アルフ
(右側)
41歳。アンビッシュ国出身。ジュリオとクリスが、巡礼の旅の道すがら立ち寄ったメナート国のチッタ村にて出会った男性。一見すると世間と何かがズレた奇妙な旅人に過ぎないが、実はある秘密を持っている。CV: 梅津秀行。
ローディ
(左手前)
20歳。メナート国の宝石産地・ネガル島出身の剣士。両親の仇である大海獣ガルガを追っている。活動的なハーフパンツ姿が印象的な青年。CV: 中村大樹。
フィリー
14歳。フュエンテ国の薬師リズの娘。作中ある理由から、秘薬の調合のためにジュリオ達と行動を共にする。清楚な容姿にお淑やかで礼儀正しい性格の少女であり、フュエンテではかなりの有名人の模様。CV: 白鳥由里。
ラップ
本名ミッシェル・ド・ラップ・ヘブン。続編である「朱紅い雫」「海の檻歌」に登場したミッシェルの老後の姿。ある理由から当時の魔力はほぼ全て失っており、作中ではラグピック村の村はずれで隠棲生活を送っている。CV: 西川畿雄。
ハック
32歳。クリスの伯父。白き魔女についての伝承を研究する学者である。知識と熱意は確かであるが多分にお調子者であり、身内からは変わり者扱いされている模様。「避けられない運命の悪戯」という言葉を好む。借金取りに追われながら方々を放浪し、巡礼の旅の道々、妙な所でジュリオ達と遭遇、結果としてこれが何度も彼らの旅路を手助けすることになる。CV: 菅原淳一。
ゲルド
当時18歳。その容姿から「白き魔女」との異名を持つ魔女。20年前にティラスイール全土を旅し、その道々に様々な予言を残した。現在は行方不明であり、その物語は半ば民間伝承と化している。CV: 井上喜久子。