『碧海のAiON』は影崎由那の漫画作品。
富士見書房のメディアミックス系漫画雑誌である『月刊ドラゴンエイジ』に2008年から2012年まで連載された。単行本は全11巻。
概要
海と人魚をモチーフに、人間の愛憎をテーマとした、学園伝奇ダークファンタジー。
死んでは蘇る少女「宮崎星音」を軸に、彼女を支えたいと奮闘する孤独な少年「津川達哉」の精神的成長を描いている物語。
作者の前作である『かりん』とは、同一世界の別土地・別時期の物語とされており、一部に共通する設定がある。
というか、前作のネタ出しの際に影崎が提案したのは本作であり『かりん』は、そのスピンオフだったのだが、紆余曲折(当時の担当のワガママとも言う)の末に本作の発表が後になった。というか本作が発表できたのは『かりん』執筆中に富士見書房の異動によって担当が代替わりしたため。
あらすじ
潮見ヶ浜の洋館に住む少年、津川達哉は日本有数の複合企業連合・津川グループの会長の息子。だが、ある日、交通事故で両親を失い、イトコの一家と暮らす事となった。
イトコらの支えで両親を失った悲しみから何とか頭をもたげた達哉は学校に復学する。だがそこで目にしたのは、校内でいじめに遭っている宮崎星音という少女の姿だった。
慌てて星音を助けようとする達哉だったが、なぜか星音はそれを拒絶する。それどころか、彼女はいじめを行う者たちを煽り、自分を殺させようとするかのような振る舞いを続けていた。
生来の人の良さから、それを見過ごせない達哉に対して星音は「器の小さい男」だと非難する。生前の父から「器のデカい男になれ」と言われて育った達哉は、その言葉にショックを受けて、さらに星音に関わろうとする。
だが、そんな彼を待ち受けていたのは、達哉の父の遺産を目当てに豹変してしまったイトコら親戚たちの姿。そして親戚たちの前に身を投げ出して達哉をかばい殺される星音の存在だった。
驚く達哉の目の前で星音は蘇り、発狂する親戚たちから「蟲」と呼ばれる異形の存在を取り出す。彼らの豹変は、それが取りつき理性を奪ったためだと説明を受ける。それを聞いた達哉は豹変した親戚たちの態度こそが自分に対する本音だったのだと思い当たり、彼らを家から追い出してしまう。
結果、独りになってしまったと泣く達哉に、星音は彼が落ち着くまで一緒にいる事を決める。
実は「蟲」は星音を狙い、その一方で星音が仇敵と憎む「人魚」たちが放った「使い魔」であった。星音は人魚を滅ぼすため、蟲の出現する潮見ヶ浜に一時、落ち着くことにする。
かくて、達哉は星音の宿命と人魚の謎に関わっていく事となってしまう。
おもな登場人物
- 宮崎星音 / セーネ
- 津川達哉
- シーラ
- シズキ
- ユズキ