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概要編集

『競争の番人』は、新川帆立による日本の小説。

公正取引委員会(公取委)を舞台に、叩き上げの女性審査官とキャリア組の男性審査官の凸凹バディが市場を支配する巨悪に挑むミステリー。『小説現代』(講談社)にて2021年12月号から2022年3月号にかけて連載され、加筆修正を経て刊行された。『競争の番人』シリーズ第1弾。

2022年7月~9月にフジテレビ系列の月9ドラマ枠でドラマ化された。主演は坂口健太郎。同年4月期に同枠にて放送された『元彼の遺言状』に続く新川帆立による原作で、同一原作者の小説を2クール連続でドラマ化するのはフジテレビでは今回が初となる。


オープニングには、その放送回の独占禁止法違反が何かを視聴者に解説するアバンタイトルが設けられており、「公正で自由な競争を目指して」と題した公取委が国民に独禁法を教育する教材動画の体裁で、ダイロクのメンバーが解説を行う寸劇が導入されている。


制作背景編集

作者の新川には以前から「女性向けの経済小説」を執筆する構想があり、メインとなる読者も、登場人物もほとんど男性の既存の経済小説の雰囲気、世界観では女性読者へのハードルが高くなると考え、独自性を出すために経済小説寄りのお仕事小説を執筆することを決め、様々な業界を扱うことができる公正取引委員会の女性審査官を主人公とした。また、公取委を舞台とすることで、現代社会に蔓延っている様々な問題も題材にできる、とも考えた。


「競争」をテーマとしていることから、競争に敗れた、弱い立場の人に寄り添える「共感力」を持つ、感情的なところがあったり、同情で動いてしまう主人公・白熊楓のキャラクターが造形された。


新川には『競争の番人』シリーズの根底には、『男はつらいよ』の女版にしたいという思いがあり、仕事を頑張っている反面、恋愛が下手な白熊を寅さん、そんな白熊を傍で見守る小勝負勉を妹・さくらの役割に当てはめて執筆している。


あらすじ編集

公取委の審査局 第六審査(通称:ダイロク)へ異動となったノンキャリアの女性審査官・白熊楓はキャリア組のエリート審査官・小勝負勉とバディを組み、北関東のホテル3社が関わるウェディング費用の価格カルテルや採算の合わない取引を強いる納入業者いじめの調査に乗り出し、数々の妨害を受けながらも公正で自由な市場競争を守る「競争の番人」として、独禁法違反の取り締まりに奔走する。


登場人物編集

第六審査

白熊と小勝負が配属される公正取引委員会審査局の部局。通称:ダイロク。


  • 白熊楓(演:)

公取委の女性審査官。原作では、警察学校をある事情から中退し、一般職採用で公取委に入ったものの聴取対象者が自殺した責任を問われ、ダイロクへの異動を命じられるが、ドラマ版では元警視庁捜査一課に所属していたものの、とある事件の犯人取り逃がしを問題視され、ダイロクへ異動を命じられている。

性格は真面目で熱血漢だが空回りすることも多く、慣れない公取委で失敗を重ねながらも捜査一課への復帰を目指し奮闘する。

一方、交際相手の徹也に遠回しに結婚して退職するよう言われており、時に思い悩む。小勝負にお人よしと揶揄されるほど、弱者に寄り添うことが出来る性格。空手大会では万年2位で、今一歩のところで優勝を逃し続けている。

古賀殺害と関係していると思われた柴野の顔を目撃したことで、談合を探られることを危惧した藤堂の警察上層部への圧力で公取委へ飛ばされていた。


公取委のキャリア審査官。原作では、東大首席のエリートで政策立案を経済取引局で5年ほど経験した後、ハーバード大留学を経てダイロクに異動となっているが、ドラマ版では20歳で司法試験に合格、東大法学部を首席で卒業したエリートとなっている。楓の教育係。

「弱くても戦わなきゃいけない」を信条に、鋭い観察眼と驚異的な記憶力を武器に、調査対象の不審な点を掌握する。

率直な言動で、周囲を翻弄することもあるが、行く先々で独禁法違反の証拠を掴もうと奔走している。

15年前、建設会社を経営していた父が談合に手を染めるも、公取委の本庄に正直に証言したことをきっかけに業界から嫌がらせを受け自殺してしまい、父の葬儀での藤堂と建設業者との会話から、藤堂が裏で談合を取り仕切っていたことを知り、談合の証拠を掴み、父の敵討ちを果たそうと公取委に入局している。

藤堂を談合で検挙すると四国支所への異動が決まる。


主査。はきはきとした負けん気の強い性格。時に上司である風見にも食い掛り、楓にはビシバシ指導する。7年前、私的独占の疑いで赤羽千尋を聴取するものの立証できなかったという苦い過去を持つ。


キャップ。大人しくて気が弱く、公取委を自虐的に「弱小官庁」と卑下するが、新人の楓をフォローする優しい性格。

軟式野球部に所属する中学生の息子がいて、県大会の応援に行くため案件処理を早く終わらせようと躍起になる。


審査官。お坊ちゃま育ちで、基本的に明るい。新人の楓を優しくサポートする。

父・敦夫は検察庁幹部であり自身も検事志望であったが、司法試験に落ちたことから公取委に入局している。


審査長。ダイロクの発起人。小勝負の過去を知る唯一の人物。

かつて公取委・四国支所での勤務時に「ラクター建設」と小勝負の実家の家業「小勝負建設」が絡む談合疑惑の調査を行っていた。

東京湾岸地区再開発プロジェクトでの談合についてのタレコミを聞きに現れた小勝負が何者かに刃物で襲われそうになったのを庇い、瀕死の重傷を負う。

小勝負たちから藤堂との癒着を疑われたが、藤堂の懐に入ることで談合の証拠を掴もうとしていた。

小勝負が藤堂の談合を暴こうと公取委に入局したことをきっかけに力量を認めた桃園、六角、風見を引き抜きダイロクを発起している(風見に関しては当初力量を期待せず、サイコロを振って引き抜きを決めたが、事後に力量を認めている)。


その他

国土交通省・事務次官。15年前、四国地方整備局長時代、「ラクター建設」の木下に指示を出し、談合を裏で取り仕切っていた。

東京湾岸地区再開発プロジェクトでも事務次官の立場で「ビッグ4」と呼ばれる「ラクター建設」「千住建設」「清澄工務店」「大鐘組」の4社をとりまとめ、官製談合を裏で取り仕切る。

かつては談合を許さない真面目な男であったが、行き過ぎた価格競争で入札を勝ち取ったゼネコンが落札価格に収まるよう手抜き工事をしたマンションが阪神淡路大震災で倒壊し、当時そのマンションに住んでいた妻を倒壊事故で亡くしたことをきっかけに、安定した工事ができる大手業者が談合で入札することを良しとする考えに変節していた。

東京湾岸地区再開発プロジェクトの談合にはリモートを通じて参加していたが、談合が行われた高級レストラン・パンテールダルジャンを事前に特定され、談合の一部始終が記録されていたことで本庄の要請で動いた検察に官製談合防止法違反で検挙される。


刑事。白熊の彼氏であり、警視庁捜査一課時代の同僚。近々、警部へ昇進する予定。

楓には優しく振舞うものの、遠回しに退職して家庭に入ることを求めている。


関連タグ編集

小説 フジテレビ 月9

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