結城真莉
ゆうきまり
白咲中学校3年3組の女子生徒。出席番号22番。
しかし本編ではあまり彩奈イジメに参加している描写がなく、中盤以降(漫画版だとクラス分裂以降)は彩奈をかばう側にまわりはじめ、彩奈と同様にイジメの対象にされるようになる。
イジメがエスカレートしすぎて親友二人が犯罪者になりかねないという危惧とクラスメイトが死人が出ているのに自重する気がカケラもない真央にうんざりしたことが心変わりの理由であって、別に今までのことを反省したわけではないらしい。
父親が事業の失敗による多額の借金を抱えたことが原因で自殺しているらしく、かなり貧乏な生活を余儀なくされている。彩奈をいじめたのも「可愛いくせに鈍くて、その上父親が社長だとかでいい家に住んでいる」という感情からきたものであったと彩奈本人に言っているが……
実は彩奈イジメの黒幕であり、真央や詩織と仲違いして味方であるかのように振舞って見せたのも、より彩奈を精神的に痛めつけるための手法にすぎなかった。
真莉の父親は小さな会社の社長であったが、彩奈の父親が経営している藤沢グループに半ば強引に優秀な人材を引き抜かれて会社が倒産してしまったのが、彼女の父親が借金まみれになり自殺した真相である。
そしてそれから月日がたち、たまたま偶然その憎い男の娘が、なにも知らぬ調子で幸せに日常を送っている光景を目の当たりにして、憎悪が抑えられなくなり、「大切な人を失う悲しみを味あわせてやる」と彩奈イジメをはじめた。
つまり彩奈イジメの動機も彩奈本人に語ったイジメの理由は全くの嘘というわけではないが、かといって真実というわけでもなく、かなり根深い理由から彩奈の父親を憎んで、彩奈イジメを主導していたわけである。
真央と詩織のことを親友として大切に思っているのは本当で、父親の「友達を大切にしなさい」という教えもあいまって、復讐が終わったら三人で幸せになると誓い合っている。
小説版では彩奈イジメがなかば八つ当たりのようなものであるとどこかで認めていたが……漫画版では少々事情が異なる。
漫画版
上記の事情は同じだが、「綺麗な心のまま幸せに」という父親の遺言を守り、藤沢家への恨みを押し殺しており、彩奈ともクラスメイトとして悪くない関係を築いていた。
しかしある時、下校中にガラの悪い連中に襲われ、「お前の父親は借金しまくった挙句、自殺して踏み倒した泥棒野郎の娘」と罵倒されながら凌辱されたことがキッカケとなり、堪えてきた恨みを爆発させて彩奈イジメをはじめることになった。
それでも父親との約束を破っているという罪悪感からか、一度リストカットして自殺未遂を起こしており、塚本美穂から彩奈イジメの詳細を羅列された時も、平静を失って激昂している。
憎悪に狂っている時の言動は常軌を逸しており、狂相を浮かべながら支離破滅なことを叫んだかと思えば、父親が大好きだった花を眺めながら「お父さんが復讐しろって囁いてくる」と真顔で語ったりするなど脈絡がない。そんな時は親友の真央や詩織でもどうしていいのかわからなくなるほどである。
そのため、「結城真莉じゃない」や「復讐に囚われて壊れてしまった」などと評されている。
真相
小説版では最初から真莉に藤沢家への恨みを抑える理由もなかったこともあり、黒幕の関与は彩奈が憎い男の娘であるとさりげなく教え、復讐を煽られる程度であった。しかし漫画版だと若干強引な手段になっている。
というのも真莉がガラの悪い連中に凌辱され、身も心もボロボロになって入院していた時に、父親が大好きだった花を再現した花束を持った黒幕が現れ、言葉巧みに惑わされて復讐鬼に変貌してしまったのである。
これをふまえて彩奈の身方の演技をしていた時の描写を振り返ると、復讐鬼に変貌する前の真莉に近いものがあり、小説版と比べて演技にしてはやりすぎな部分が散見され、内心で罪悪感を強く感じていることや、「嘘を言っているようにはみえなかった」という彩奈の印象を考えると、これも本音ではあったと推測することができ、真莉も被害者の一人であることが強調されている。