概要
正式名称は「E★エブリスタ」。
登録及び基本利用料は無料で、誰でも小説やコミックを投稿できる。
ただし、現在では二次創作に関しては原作側が許可を出しているコンテンツであっても強制非公開の対象になるなど非常に厳しい対応を取っており、ユーザーが投稿できる作品はほぼ完全にオリジナル作品(一次創作)のみとなってくる。
2010年代までは「日本最大の小説・コミック投稿コミュニティ」とも称されていた。
DeNAがガラケー最盛期である2006年からサービスを提供しているモバゲータウンの機能の一つであった小説投稿・閲覧サービス『モバゲー小説』を起源とする。
2010年代に入り携帯端末のメインがスマートフォンに移ったのを契機に、本機能を情勢に対応すること等を目的として「E★エブリスタ」として分離独立することになった。
現在では「ガラケー対応のサイト(=ケータイサイト)」(※)というかつての形態でのサービスは2020年12月15日をもって停止しており、その形態は完全にパソコン・スマホ共有の一般サイトと化している。
このため、モバゲー時代の投稿作品も基本的にはエブリスタへと移行している。
※技術的な制約から、ガラケーからはパソコン用サイトを閲覧できない、閲覧はできるが重すぎる、閲覧できても操作手順等がガラケーに対応していないという制約が多くみられ、これに対応するのに別個に「ガラケー対応のサイト(=ケータイサイト)」いう形態でパソコンとガラケーで全く別の文化圏が当時存在していた。
そのような制約を持たないスマホの登場以降は各ケータイサイトは徐々にサービスを終了させていった。
モバゲータウン/モバゲー小説時代
2006~10年のケータイサイト時代は魔法のiらんどや野いちごと共に『泣ける実話』というテンプレートで知られる当時の少女向け恋愛小説の代名詞であったケータイ小説(※)の供給源の一つとなった。
この3大ケータイ小説サイト(仮称)が、当時のケータイ小説のブーム・文化を事実上牽引したと言っても過言ではない。
※意味合いはいくつかあるが、広義での『ガラケーおよびケータイサイトのユーザーに特化したWEB小説』として使用する。
この頃の公式はヒット作品の作者と著名人との対談やモバゲー小説大賞などの企画を精力的に行うなどケータイ小説ブームの醸成に一役買っていた。
と同時に、当時としては『王様ゲーム』や『少女ペット』といったホラーものだけでなくサイコスリラー・デスゲーム系のケータイ小説の唯一の商業ベースへの供給源(※)であったことでも知られる。
そのため、『男子が普通に利用できたケータイ小説界隈』という独自の地位にあった
。
※この頃は、小説家になろうで『魔法科高校の劣等生』が、Arcadiaでは『オーバーロード』や『幼女戦記』、『自衛隊彼の地にて、斯く戦えり』が連載されていたが当初は一部以外からはガン無視されていたくらいにライトノベル・ジュブナイル・架空戦記型のWEB小説には業界からシュアが割り振られておらず、現在では無難(?)な部類であるミステリー系でさえ影形がなかった。この状況で恋愛ものやイジメ系以外の展開を行っていたのは本当にこの界隈だけである。
ただし、モバゲー内でも『できそこないの救世主』などの王道ラノベ系の人気作品があったが、その一部が商業化に至ったのはエブリスタへとリニューアルした以降のことである……つまりケータイ小説的でないものは例えモバゲー内でどんなに人気があろうと黙殺されていたのである。 そういったことから、当時のユーザーからは「運営や関係者はケータイ小説のテンプレとホラー・デスゲーム系以外は書籍化させるつもりはない」と冷ややかな目線で見られていた。
事実上、商業化までいったWEB小説がケータイ小説のテンプレのみ――――すなわち恋愛ものと山田悠介路線のホラー系だけという業界の寡占状態が崩れるのはケータイ小説の母体であるガラケーの時代が終わった2010年代以降のことになる。
「『恋空』を世に送り出した名門・魔法のiらんど」と「女の子らしいキラキラ・野いちご」とは違い、『元祖ソーシャルゲームの殿堂・モバゲータウン』が母体であった為に他2サイトよりは比較とっつきやすく感じるユーザーも多かったとされ、幅広い層から指示を集めた。
ただし、この”幅広い層”が多く流入した結果徐々に民度の低下といった諸問題が現れ始め、この時期は作品投稿の規制が現在と比して緩かったこともあり、不特定多数の作品の二次創作ないし夢小説がジャンルを問わず無秩序に林立し、既存作品から無断にコピペされた文章が散見される投稿が放置されている、といったカオス現象も多々見られた。
E★エブリスタへの移行後
このようにモバゲー時代はやや闇鍋感の強い趣きであったが、2010年でのエブリスタへのリニューアル後は雑多な雰囲気を徐々に断捨離して気持ちオシャレ路線へとイメージチェンジを行った。
……言い方を変えれば『モバゲー時代のカオス色を切り捨てた』ともいえる。各種規制が入りだしたのもこの頃。これ以降、既述にもあるように基本的には二次創作等の投稿には強い制限がかかっている。
ガラケーが携帯端末のメインから転落し『泣ける実話』系のケータイ小説ブームが過去のものとなった現在でもミステリーや伝奇系の作品を多数世に送り出し、コミック関連のサービスを拡充するなど独自色を維持し続けている。
一方的では、意図的なのかは不明だが2010年代から編集現在までの爆発的ブームとなったなろう系とは気持ち距離を置くかたちとなっている。 こうしてハードである携帯端末の互換切り(?)を契機とする『旧ケータイ小説界隈と一般パソコン&スマホユーザーによるWEB小説界隈との接触・融合』という未曾有の事態を経ながらも現在に至っている。
一部有名作家の作品も掲載されており、それらは有料のプレミアム会員になる事で読み放題になる。
また、スマホ向けの専用アプリも配信されている。
主な書籍化作品
(恋愛=恋、サイコ・ホラー=恐、ミステリー=推、伝奇=奇、異能バトル=バトル)
旧モバゲータウン(2006~2010年)
君のせい(恋)
※紀伊國屋書店週間単行本1位を獲得するなど、ベストセラーとなり、後に電子コミック、コミック単行本化もされた。また、TBSによるドラマが放送され、共にモバゲータウンでは初の快挙となる。
初体験(恋)
私!買います!(恋)
最愛の君へ。(恋)
王様ゲーム(恐)
オンライン!(恐)※2014年よりメディアミックスされているものはリメイクされたもの
少女ペット(恐)
できそこないの救世主(バトル) ※書籍化は2012年
……他多数(追記求む)
E★エブリスタ(2010年~現在)
通学電車〜君と僕の部屋〜(恋)
神様たちのお伊勢参り(奇)
京都府警あやかし課の事件簿(推・奇)
京都寺町三条のホームズ(推)
ドクムシ(恐)
カラダ探し(恐)
復讐教室(恐)
奴隷区(恐)
一見して分かる通り、モバゲー時代に存在した恋愛ものへのリソースが現在ではミステリーや伝奇ものへ転用されていることが見て取れる。
ただしサイコ・ホラー系へのリソースはむしろ増加傾向にある。
主なアニメ化作品
余談
インターネット老人会の定番ネタとして、まだ規約等が緩かったモバゲー時代にゴテゴテの二次小説や夢小説、中二色全開の私小説やらをここに投下してしまい、しかもそれが知人にバレたりその痕跡が現在まで残ってしまっているといった黒歴史が語られることが多々ある。
また、この頃は当時の小中高生の投稿ユーザーでは『作者本人を司会とした登場キャラクターへのインタビュー・座談会』という手法も頻繁に用いられていた。
………わけがわからないよ? あったんだよ、そんなふうにして作者自身が第四の壁を突破して自分のストーリーに参加・没入するやり方が。
現在では完全な内輪ネタ・悪ノリだったとして当時のユーザーを悶絶させている。
もう完全にオシャレになっている現在のエブリスタではそんなことはもうない……はず?
なお、現在では旧3大ケータイ小説サイトは時代のメインがケータイ小説から普通のWEB小説に移行してからは、その絶頂期に冷や飯を食わされ続けていたWEBサイトの小説家になろうやArcadiaに人気面や知名度で水をあけられてしまい、カクヨム等の後発サイトはこれの流れをくむかたちになっている。
やはりスマホへの移行期にケータイ小説の要素以外(ファンタジー・SF ect)をプッシュできたかが分かれ道になったようだ。
そういう意味ではエブリスタの独自色としての今後の動向が気になるところである。
pixivでは
メイン画像をはじめ、エブリスタに投稿されたイラストの仮置き場や連載作品のリンクとして活用されるケースが多い。
関連タグ
アルファポリス、マグネット!、ラノベストリート、野いちご、ピクシブ文芸:二次創作が何らかの理由で投稿不可、投稿できるのが原則一次創作に限られるサイト。ピクシブ文芸は2021年に、マグネット!は2023年にサービス終了している。