其の想ひ、神に奉れ!
概要
物語の舞台は現代日本によく似た世界。
とある町に突然出現した、
とてつもないご利益があると噂の「狼欒神社」で
「絵馬」に願いを託す人々の様々な物語が繰り広げられます。
(Sound Horizon Around15周年公式サイトより引用)
これまでCDで物語音楽を世に送り出してきたSound Horizon初の「Story BD」。
ナンバリングは「7.5th or 8.5th」。
Sound Horizon Around15周年記念作品である。
媒体がBDになったことで、容量が増えただけでなく色々な仕掛けを施せるようになり、物語表現の幅が広がった。
具体的には、曲の終わりに選択肢が表示され、それをリスナー自ら選択することで物語が進行するという、ゲームブックやADVの音楽版と言うべき作品となっている。
その性質上1周だけで収録曲の全てを再生することはできず、ランダム要素も仕込まれているため、全ての音源を聴くには周回必須。
この選択システムはコンサート「Sound Horizon Around 15周年記念祭」でも再現されており、プレミアムシートに配られたリモコンで投票を行いその場で演目を決定した。
同コンサートは後日に配信も行い、そちらでもプレミアム配信では視聴者投票によって内容が切り替わる仕掛けがある。他にも本公演と異なる要素が挿入されることがあり、出演者ですら驚きを隠せない内容の時もあった。
歌詞ブックレットは付属していないが、楽曲の進行に合わせて歌詞が表示される。
ただしそこは非常に凝った歌詞表記に定評のあるSound Horizon。
歌詞が転がり落ちたり祝詞が本殿に吸い込まれたり……などなど、目にも賑やかな仕上がりとなっている。
ゑ? 何を宣ひ奉つてんのか解らなゐ?
そういう時は公式のトレーラーをご覧いただければ何となく雰囲気を掴めるだろう。
2021年1月に発売した「Prologue Edition」では、全体の物語は完結しておらず途中でスタッフロールが流れる。
Full Editionは2023年6月14日に発売した。
収録曲※ネタバレ注意
以下、内容に関する重大なネタバレが含まれます。
【Prologue Edition】
- 星空へと続く坂道
Around15周年公式サイトのロゴをクリックすると聴ける楽曲。初公開は2019年。発売により初出から1年以上を経てようやく曲名が判明した
- 狼欒神社
読みは「ろうらんじんじゃ」。樂(楽の旧字体)との書き間違えに注意
- 夜の因果が見せた夢
- 贖罪と《焔》の息吹
- 暗闇を照らすヒカリ
- 私が生まれた《地平線》
正確な表記では「私」が箒を持った巫女のシルエット。「平」は鳥居の絵文字となっている
- 生きているのはボクだけなんだろ?
- 私が見つけた《地平線》(アプリ版のみ)
- 恋は果てまで止まらない
- 西風のように駆け抜けろッ!
※「狼欒神社」はナレーション・楽器ソロパート違いで複数バージョン存在。出現はランダム。この楽曲はサブスク配信のみを行っているが、配信プラットフォームによってバージョンが異なる
※「私が生まれた《地平線》」「生きているのはボクだけなんだろ?」はそれぞれ冒頭ナレーション違いで複数バージョン存在(ダウンロード配信音源には含まれないため正確にはその部分は別楽曲扱いと思われる)。またこの2曲は選択に関わらずどちらかがランダムに流れる(後者の方が低確率)。アプリバージョンではさらに低確率で「私が見つけた《地平線》」が流れる
※「星空へと続く坂道」「夜の因果が見せた夢」「恋は果てまで止まらない」「西風のように駆け抜けろッ!」にはそれぞれ、曲の主人公が途中で突然死するバージョンが超低確率で出現
【Full Edition】
<参詣す(左)>
- 星空へと続く坂道
- 狼欒神社
- 夜の因業が見せた夢
- 贖罪と《焔》の息吹
- 暗闇を照らすヒカリ
- 恋は果てまで止まらない
- 夜を駆ける二人
- 夜を滑る二人
- 西風のように駆け抜けろッ!
- 生という名の罪過
- 死を巡る刻の記憶
<参詣す(右)>
- 星空へと繋ぐ坂道
- 狼欒大社
- 夜の罪咎が見せた夢
- 希望の詩
- 13文字の伝言
- 太陽を目指して飛べばいい
- 身を焦がす不屈の競技者
- 太陽を盗んだ女
- 死はいつも水の貌で…
- 神と私の生きる道
- 未来の主人公達へ
<手水舎の記憶>
- 私が生まれた《地平線》(左すのみ)
- 恋では花を散らせない(左すのみ)
- ある父親の記憶(左すのみ)
- ある少年の記憶(鹿島健)(左すのみ)
- ある少女の告白(宗像狭依)(左すのみ)
- ある獣医の記憶(左すのみ)
- 私が見つけた《地平線》(右すのみ)
- 恋は岩をも動かして(右すのみ)
- ある祖母の記憶(右すのみ)
- ある少年の記憶(天野力)(右すのみ)
- ある少女の告白(須藤勢理)(右すのみ)
- あるジャーナリストの記憶(右すのみ)
- 生きているのはボクだけなんだろ?
- 生と死の遊戯盤
- ある母親の記録
- ある少年の記憶(杵瀬命)
- ある霊能少女の告白
- タイトル不明(須久奈月人)
- タイトル不明(少年月人)
<共通曲>
- 紫青の参道
<参詣せり>
- 弥生の大海原
- 神無月の大鳥居
- 私の友達
- 秋季例大祭
- 太陽と魔法の店
- 月影と秘密の園
- 月が廻る夜
- 君の心に…
- 私/君の心に一番近い指
- 我が繋ぐは…
- 私/我が繋ぐは新しき神話
- ≪祝い酒に隠し味を足してあげる理解者?≫な男
- 生まれちゃいけない命…
- 生みたかった命…
- 生まれちゃいけない命など在りはしない!
※手水舎の記憶の楽曲は参詣者の2曲目(分岐後の曲)の後にランダムで再生される。尚、稀にキャラクターの語りのみのパートが流れる時がある
※「星空へと続く坂道」「夜の因果が見せた夢」「恋は果てまで止まらない」「西風のように駆け抜けろッ!」「夜の罪咎が見せた夢」「太陽を目指して飛べばいい」「死はいつも水の貌で…」にはそれぞれ、曲の主人公が途中で突然死するバージョンが超低確率で出現
※「弥生の大海原」には完遂ver.と未遂ver.が、「神無月の大鳥居」には失敗ver.と未遂ver.が、「生まれちゃいけない命…」には佐久夜姫子ver.と石長姫子ver.が存在する
※紫青の参道は登場した参詣者によって歌詞が変わる
上記の楽曲以外にも、分岐画面、スタッフロール等でも音楽が流れるが、それらの曲名は不明。
JASRACにはそれらしい曲名の登録があるが、具体的にどれがどの音源を指すのかは公式には明かされていない。
余談
リスナーが物語に直接干渉できる仕掛けそのものは過去にも登場している。
2011年のライブツアー「第一次領土復興遠征」では、MC中に「王様君と領復君の冒険」という物語の朗読が行われた。公演毎に選択肢を多数決で観客に選ばせ、その結果を反映した続きが次の公演で披露された。
2013年のライブ「Revo's Halloween Party」では、「おやすみレニー」最後の台詞が途切れ、続きを言うかどうかが観客に委ねられた。具体的に選択肢が示された訳ではないが、開演前アナウンスでリストバンドが白く光った際に分岐が発生する旨の説明があり、また事前にCDを聴き込んでいれば何が求められているかはある程度察することが可能だった。
どちらも1回きりの選択であり、選ばれなかった分岐の先を知る術は現状無い。
また、「Roman」の隠しURLで入力する伝言によって異なるボーナストラックが得られるという仕掛けも、リスナーによる物語への介入と呼べるだろう。
ランダム再生要素も、エレクトリカル箪笥で有名な「Nein」コンサートBD超デラックス盤で既出。一部曲の日替わり演出が再生する毎にランダムで変わるようになっている。
観測するまで内容が確定しない仕掛けは、「Nein」のモチーフのひとつ「シュレーディンガーの猫」を意識したものと思われる。
ちなみに「エレクトリカル箪笥」はファンの感想から生まれた言葉だが、「絵馬に願ひを!」にはそれをネタにしたと思しき台詞「エレクトリカル神社」が登場する。