老衰
加齢のネガティブな側面(老化)のこと。成長の果てに細胞分裂にエラーが生じて体の機能が低下する。
四苦八苦の「四苦」の二つ目であり、残りの生、病、死のすべてと関わる悩み。
やがて死を迎える生物として逃れ得ぬ宿命と思われがちだが、実際には動物の中でも海綿動物、腔腸動物や扁形動物では生理的寿命は認められていないものが多数を占め、軟体動物や節足動物、脊椎動物の一部(ニシオンデンザメなど)にも、これまで思われていたよりもずっと長寿の個体がいることが明らかになりつつある。
老衰死
死因としての老衰は「寿命が尽きた」と形容されるように、特に何らかの病気を患っていたわけでもなく平均寿命以上の加齢を積み重ねることによって身体が衰えたことによる、言わば自然死の事を指す。典型的な老衰死のプロセスでは臓器が栄養を取り込めなくなり痩せ衰え、体内の臓器が炎症を起こし、最後は呼吸と心臓が停止して死に至る。
老衰と診断された死亡患者も、実際に病理解剖を行えば心筋梗塞や脳梗塞、癌などを患っていたことが判明することが多く、何らかの病気を患って死亡したことが明らかな場合はそちらを死因として扱われることもある。
仏教では
仏教における生老病死の「老苦」では「体力、気力など全てが衰退していき自由が利かなくなる」苦しみと説かれている。
六道の中で最高の世界である天道は、それらの苦しみが殆どなく、寿命も遥かに長いとされているが、天道に住まう天人天女も寿命を迎える間際に「天人五衰」が現れるという。
その苦しみは、人間道よりも遥かに大きく、「正法念経」では、地獄道で受ける苦痛もその16分の1に満たないと例えられている。