概要
『逆転裁判2』第2話『再会、そして逆転』に登場。作中では既に故人。具体的な年齢は、作中でも関連書籍でも「故人」と表記されているので不明。外見からして妹とは年が近いと思われる。身長159cm。姉妹揃って同じ身長である。3サイズ・B83・W62・H86。
葉中のどかの姉で、生前は霧崎哲郎が経営する『霧崎外科医院』で看護師として勤務していた。『2』の攻略本では「テキパキと働くタイプで、有能な看護師であった」と語られている。院長の性格に難がある労働環境で働き続け、ある程度の贅沢も許される位、高給取りだった事からも、優秀な看護師だったと示唆されている。そもそも有能な部下となり得る人物でなければ、仕事人間の霧崎も雇用しないだろう。
1年前に「投与する薬を間違えて、14人もの患者を死なせてしまう、重大な医療ミス」を犯してしまい、その数日後に交通事故を起こして死亡した。医療ミスから死去するまでの数日間は、マスコミの取材攻勢や世間からの痛烈な非難にも、深く苦悩し疲弊していた為「交通事故は事故に見せかけた自殺」という噂も流れた。一連の事件に関する報道や噂は情報が錯綜して、世間では大いに騒がれる事となった。成歩堂も報道を耳にしており、霧崎との初対面では「そう言えば昨年、そんな事件もあった」と思い出していた。
未実の死後、世間では「院長の霧崎が自分の医療ミスを部下の未実に押し付け、事故に見せかけて殺す事で口封じをしたのではないか」という噂が流れる様になり、それを主因として霧崎の病院は目に見えて経営が悪化して行った。妹ののどかは、この「全ては霧崎の陰謀説は、姉の死の真相」として有力視しており、霧崎に対しては明確な嫌悪感を示している。
のどかによれば車が大好きで、アメリカから取り寄せた高級スポーツカーを乗り回しており「看護師界のレースクイーンを目指す」とも豪語していたそうだ。一応、説明すると「レースクイーンは、モータースポーツで各スポンサーが手配した、コンパニオン」であり、好成績を収めた女性レーサーの事ではない。
名前の由来は「鼻か、耳」。妹ののどかは「鼻か、喉か」なので、姉妹揃って『耳鼻咽喉科』が由来である。名前の由来に反して未実の所属先は外科だったが、もしも由来に沿って耳鼻咽喉科に所属していたら、多くの人命を奪う大規模な医療ミスを起こして、転落人生を歩む事にはならなかっただろう。
この先ネタバレ注意
あの看護師は今
実は1年前の事故では死んでおらず、死んだと思われる原因となった死体は、同乗していた妹の葉中のどかであった。
自らの起こした、2つの事故を背負って生きて行くのは、重荷だと感じていた彼女は、交通事故で顔に負った重度の火傷を利用して、妹に成り済まして生きて行く事を決めた。事故当時も姉妹で行動を共にしたり、姉が完璧に妹に成り済ます事が出来た辺り、姉妹仲は良好だった模様。
事故から約1年は妹のどかに成り済まし、平穏に大学生活を送っていたが、霧崎が「真宵に未実を霊媒させて、自分の責任を認めさせる念書を書かせる」と言い出した為、これを妨害して彼の口封じをする為、霧崎の殺害に踏み切った。犯行は利害関係の一致から、綾里家の事情に精通している人物の協力を得て実行された。霊媒の儀式中の真宵と入れ替わり、霧崎の胸を刃物で刺した後、護身用の拳銃を取り出した彼に発泡されるが回避し、霧崎から拳銃を奪い取って彼の米噛みを狙撃して殺害した。
だが「霧崎は医療ミスから交通事故に至るまで無関与」であり「一連の事件は未実個人による過失」でしかない。世間に蔓延る「全ては霧崎の陰謀説」に便乗した上で強く支持し、彼を非難して全責任を押し付けるのは、理不尽と言わざるを得ない。作中では、のどかに成り済ました状態で「姉の未実は全ての責任を押し付けられた」と語っていたが、実際に霧崎に全責任を押し付けて、現実逃避までしていたのは未実の方である。
ちなみに第三者(プレイヤー)視点だと「投薬ミス事件に関しては、霧崎と未実のどちらに非があるのか」は曖昧な状態で描写されており、「霧崎のミス」「霧崎の下でのブラック労働によって疲弊した未実のミス」「正常な状況下での未実のミス」のいずれだとしても、成歩堂にとっては重要とは言い難くストーリーの上では、どちらの過ちだろうと霧崎と葉中姉妹の因縁以上のギミックになってない。判決は出ているが、肝心の中心人物である未実が不在で続行すれば、真実の追究や弁解の意思を主張する切っ掛けは失われ、霧崎側の主張が全て通ってしまう事もあり、結局は死んだ妹と入れ替わって逃げた事は、その貴重な機会を投げ捨ててしまった未実の決断の結果でしかない。
未実本人の口振りや霧崎への異常な憎悪からは「ブラック企業の犠牲者となった結果、疲弊していた未実が誤って投薬ミスを起こした」と解釈される事も多いが、霧崎の作中で確認出来る不祥事も「ヒステリックな性格で人当たりがキツイのが原因で、病院スタッフや患者といった周囲の人々から嫌われていた」位しかない。
『2』の攻略本でのインタビューでは「のどかに成り済ますのは、ハッキリ言って苦痛だったわ。私と妹とは性格が正反対だったからね」と振り返っている。車が趣味である事にも触れ「車はある種、ブランドみたいなものよ。アメ車の良さが解らないなんて最低だわ。のどかは車には興味が無かったから、その辺も苦痛だったわね」と語った。実際アメ車への愛着は強く、車自体に無関心な成歩堂が「そんなに良い物なのか」と素朴な疑問を述べた瞬間、激怒してアメ車の魅力を熱弁する行動に出た。この場面は彼女の正体に関する、伏線の1つとして扱われている。
また、このインタビューでは「本物ののどかも姉同様の目付きなのか」との質問には「垂れ目なのは妹の素の表情で、私はそれを含めて真似しているだけ」と説明している。
『3』の攻略本では『蘇る逆転』を除く『123』のキャラ全員に対する、開発者コメントが読める。その中で脚本家は、未実を描くに当たって「彼女は出来る看護師だった。でも人間どうしても、現状を背負い切れない弱い所が出て来る。その辺を描写した」と説明している。