霧崎哲郎
きりさきてつろう
声:野坂尚也(アニメ版)
『逆転裁判2』第2話『再会、そして逆転』に登場。年齢35歳。身長175cm。
『霧崎外科医院』の院長。腕は確かなのだが性格に難があり、自分の思い通りに行かないと、すぐに周りに当たり散らすヒステリックな人物だった為、病院のスタッフや患者からの評判は悪い。『2』の攻略本では「一応、人とコミュニケーションを取ろうとする努力は見せている。また意外に医者としては誠実なタイプ」とも語られている。「軽い世間話」として、天気を話題にする事が多い。後述の事件の影響で、専門店に来訪しての眼鏡の新調や矯正を行うのが難しいからか、しょっちゅうズレ落ちて来る程、大きな眼鏡を着用しており、ブリッジを押さえて掛け直すのが癖。
性格の悪さが災いして只でさえ病院の評判は悪かった。だが「勤めていた看護師には高給を支払えていた事」が窺えるので、決して経営状態は悪くなかったと思われる。ところが昨年、霧崎の病院で働いていた看護師の葉中未実が、投薬ミスで入院患者を14人も死なせた直後、交通事故死を遂げた影響で、様々な情報や噂が噴出し錯綜した結果、病院の経営は一気に悪化してしまった。
事故から1年後。「病院の名誉と信頼を回復する目的で、事故死した未実の魂を霊媒を通じて呼び出し、医療ミスと交通事故に関する念書を書かせる事」を思い付き、未実の妹で超心理学を研究している葉中のどかの紹介で綾里真宵に霊媒の依頼をした所、彼女が成歩堂龍一の同行を条件に出した為、彼の元を訪ねて来た。そして成歩堂と共に真宵の故郷である『倉院の里』へと赴くのだが、霊媒の儀式が行われている最中に殺害されてしまい、密室で彼と2人きりだった真宵が容疑者として逮捕された。
ゲーム版では、真宵は普段着のままで儀式に挑み、立会人も伯母の綾里キミ子のみとなっている。アニメ版では「特別な儀式用の装束である、金細工の王冠に白装束」を身に着け、キミ子以外にも家元の補佐役として、綾里一族の女性2人のオリジナルのモブキャラが登場している。
殺害の経緯は、霊媒の儀式中に本物の真宵を眠らせて彼女と入れ替わり、未実を霊媒した真宵に成り済ました真犯人が現れる所から始まる。真犯人が霧崎の胸をナイフで刺した直後、床に倒れ伏した彼は護身用に所持していた拳銃を取り出し、真犯人を狙撃するが失敗してしまい、現場に置かれていた屏風や長持ちに弾痕を残すだけで終わった。すかさず真犯人は霧崎から拳銃を奪い取り、彼の米噛みを撃ち抜いて射殺した。この時、大沢木ナツミが撮影した現場写真には「霧崎の殺害直後、拳銃を持って立ち尽くしている真犯人の姿」が写っている。
昨年のDL6号事件の解決により、綾里一族の名誉が回復の兆しを見せる様になり、この世間の動きを更に促進させる為にも、当初の真宵は「次期家元としての初仕事となる霧崎からの依頼」に意欲的だった。しかし真犯人の仕業で「私が憑依させた霊の暴走によって、被害者は命を絶たれたのだから、曲がりなりにも本当に私が殺人を犯した事に変わりない」と誤解した上で罪悪感から思い詰めてしまった。この事件は真宵にとっては深刻なトラウマと化しており、彼女は『3』にて「この事件のトラウマで霊媒師としての自信にも傷が付いてしまい、霊媒する事が怖くなってしまった。今はなるべく控える様にしている」と語っている。
難のある性格だが、命を預かる職務に携わる以上、神経質で慎重になるのは当然ではある。とは言うものの、彼は天気予報が外れた事にもイチャモンを付けており、そもそも噂とは言え姉の仇も同然の自分から妹ののどかに接触したり、恨まれている可能性が高い相手に都合の良い念書を書かせようとしたりと「神経質を通り越した身勝手ぶり」が滲み出ている。
総じて人間性は褒められた人物ではなく、自己防衛が目的とは言え、闇ルートで拳銃まで所持している等、危険人物だったのも確かである。おまけに成歩堂に「闇ルートで購入した護身用の拳銃を持って来た」と自慢までしていた。その一方で「葉中未実が起こした事故や投薬ミスそのものは、完全に彼女自身の過失が招いた事」なのも、また事実である。
しかし作中での言動でも、攻略本でのインタビューでも「私は医者としては誠実にやって来たんだ!なのに、あの看護師が滅茶苦茶にしたんだ!」と怒りを露わにする一方であった。こういった言動が「多方面からの批判や誤解、疑惑や悪評の拡大の一因」となり、自縄自縛に陥っているのは想像に難くない。霧崎の性格からして「被害者の遺族やマスコミといった、特に言葉を選ばなければいけない相手」に対しても、前述の自己主張を行って不興を買っていたとしても違和感は無い。
「投薬ミスを発端とした一連の事故を霧崎が仕組んだという噂」もあったが、あくまで噂でしかなかった為「少なくとも殺されてしまう程の非が霧崎にあったのか?」と言われれば正直、微妙な所である。