「ならば、意味を問わざるを得まい」
「何ゆえに戦い何ゆえに殺すのか、先ずは己の行いについて弁えよ」
「そこに揺るがぬ道理があるといずれ答えられた暁には、この命、喜んでお主に差し出そう」
CV:石田彰
人物
流浪の苦行僧。殤不患と同じく、氣功の心得がある。
蠍瓔珞と出会ってからは彼女とたびたび問答し、影響を与えてゆく。
「出会う者に求められたものを差し出す」という誓いを立てており、自らの命を危険に晒すような行動も厭わない。
ただし、その際には必ず理由を問い質し、相手がそれに答えなければ要求に応じることはない。
答えがどういったものであっても、自身が納得できれば良いらしく、蠍瓔珞の毒を受けた伯陽候の命を救う理由を問うた際には、高圧的な口調での返答にもかかわらず、納得して治療を行った。
対して、蠍瓔珞の隠れ家で彼女と遭遇し、口封じに命を求められた際には、自分が口外することはないとして(実際、後に殤不患から彼女を見なかったか尋ねられた際には、彼女の行方を捜すことの意味を問いこそしたが、最終的には居場所を教えなかった)応じなかった。
その真意は、自他の命を含め、万象の意味を理解できぬ虚無感に由来するものであり、理由を問い質すのも、何かに意味を見出さんがためである。
この考えは、浪巫謠からは世に禍を成すと危険視されている(後述)。
一方で、命を賭すほどの思いを持って生きる人生を鮮烈で希悦に満ちたものとさえ語り、理解できぬながらも羨望の念を抱いている。
各話での動向
第3話にて初登場。
氣功で毒を取り去り、老夫婦を救ったところが伯陽候の従者祐清の目に留まり、蠍瓔珞の毒を受けた伯陽候を救うため仙鎮城に招かれる。
病床に伏す伯陽候に対し(殤不患の応急処置が迅速であったことも有って)「回復までは時間がかかるが、養生していれば快癒する」と容体を見立てた。しかし「すぐに解毒してもらえないか」との要請に「それは荒療治になる」と答え、ならばと彼を治療する理由を問い質す。従者の碧樞が「仙鎮城の主にして護印師を束ねる御方であり、賤しい坊主が命の価値を問うなど言語道断」との高圧的な口調で答えるも、それに納得して伯陽候の受けた毒を自らの陽の氣と入れ替えて治療する。
これは毒を身代わりとなって引き受けるということでもあり、伯陽候の治療後に諦空自身が喀血している。
第4話では雨を凌ぐべく小屋へ入るが、そこには蠍瓔珞が先に潜んでおり、口封じのため命を狙われる。
蠍瓔珞の猛攻を躱しつつ、彼女の居場所を誰にも口外しないとした上で、改めて自身の命を奪うことの意味を問い、その道理を答えられるのなら命を差し出すと言い残して小屋から離脱する。
第5話には直接の登場はせず、蠍瓔珞が嘯狂狷と手を組んだ際、諦空との問答を回想するという形での登場となった。
第6話では負傷した蠍瓔珞を隠れ家で治療し、その行方を捜す殤不患・浪巫謠と遭遇。
彼女を見なかったか殤不患から尋ねられ、彼にその理由を問うも、その問答から直感的に諦空の危険性を見抜いた浪巫謠から襲撃される。殤不患が助けに入ってその場を凌ぐも、答えと定義したものによっては、他の一切合切より優先して凶事を行いかねないと諦空の危険性を指摘されている。
後、隠れ家で蠍瓔珞から殤不患・浪巫謠・嘯狂狷といった腕利きの面々を敵に回してまで自分を助けた理由を尋ねられる。
蠍瓔珞から問いへの答えを得ていないと返答し、また、自他の命を含め万象の意味を理解できぬ虚無感と、自身には理解できぬながらも命を賭すほどの思いを持って生きる人々への羨望の念を彼女に語った。
第7話では蠍瓔珞と忠義について問答し、「忠義は功名心とは無縁の献身である」、「自身の力量で確実に果たせることの積み重ねが忠義となる」、「従者の命も主の財のひとつであり、命を懸けて勝負に臨むのは主の銭で博打を打つと同じ事」と語り、その上で忠義を見つめなおすよう彼女に促す。
第8話では絶体絶命の危機に魔剣・七殺天凌を抜刀し、剣に血を吸わせるために蠍瓔珞が手にかけた人々を供養しているところを殤不患と遭遇する。
彼から蠍瓔珞の命を助けたことが彼女の凶行を招いた(殤不患は知らないものの、諦空との問答も彼女を追い詰める遠因となった)ことを咎められ、何か思うところはないか問われた際には、彼女の手にかかったものの中に3話で救った老夫婦がいたことを語り、彼女を救ったことが以前救った老夫婦が命を落とすことにつながったことで、自らが命を救うことへの空しさを感じるのみで、それ以上の情動を持ちはしなかった。
流石の殤不患も苛立ちを隠せず、殺意こそ見せなかったものの、彼からの問いかけには答えず立ち去った。
第9話では七殺天凌を手放し、殤不患との一騎打ちにて敗れた蠍瓔珞と出会い、忠義や誇りを砕かれながらもどこか晴れやかな彼女から行脚への同行を申し出られる。
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以下、第9話以降のネタバレ有りにつき注意!
畫煙花,碧血情,殘軀仗劍殺不悔。
(青い血の如き冷酷な感情で花火を描き、死の床についた体は剣を持つ。殺戮に一切の後悔はない。)
※「花火」は血飛沫の比喩。
七殺天凌に魅入られ、その意思を答えと定義した彼は手にした「媛」の意思のもと蠍瓔珞を一刀のもとに葬る。
螺髪はほどけて長髪となり、かつての俗名である婁震戒を名乗るようになった。
螺髪は、本場の布袋劇では霊力が宿るものとされており、螺髪がほどけるという表現は闇堕ちを表すものである。
一頁書の項目も参照されたし。
「諦空」というキャラクターは、「婁震戒から七殺天凌を引く」という引き算から生まれたキャラクターであるといい、この二者の声優の配役については虚淵玄氏直々の指名がなされている。
この婁震戒という名前も妖姫・七殺天凌と同じくレッドドラゴンから設定の根幹を踏襲するに留まるもので、虚淵玄氏なりのスターシステムである。
これより先の動向は俗名である婁震戒(東離劍遊紀)を参照のこと。