一頁書
いっこうしょ
「世事如棋,乾坤莫測,笑盡英雄啊!」
日本語訳:
「世の事は将棋の如く、乾坤(相反するもの。天地、陰陽など)は測りがたし、英雄たちを笑い尽くさん!」
「霹靂布袋戲」シリーズにおいて、素還真と並んで二大支柱ともいえる重要人物。またの名は「梵天」。
大般若経と武学を修得した高僧。荘厳なる形相で、無私の心を持ち、剛直凛然な性格。登場してから幾度も素還真に協力して武林の戦乱を平定し、危機を防げてきた。仏門の高僧でありながら、やり方は果断かつ明快で、悪党の排除に情けはかけない。
素還真と並び、中原武林の精神的支柱となる人物。「梵天」という別名の通り、圧倒的な力で仏敵を打ち倒す護法神のような存在。文武ともに優れた人物で人望も高いが、出家身分のため俗世に干渉することを好まず、普段は素還真の助言者に落ち着いている。
僧侶ゆえに近寄りがたい雰囲気だがよく見ると眉目秀麗で、払子を手に甲高い声で話す。口調は温和で軽妙、懐が深く周囲の戯言を聞き流す余裕が見られる。象棋が好き。
武学に詳しく、傷の状態からだれのどんな技が使われたか見抜くことができる。また、治療者としても有能だが、自分自身の怪我などは治せない(これは「霹靂布袋戲」全体の約束であるらしい)。
慈悲と献身の精神ゆえに自らを省みないところがあり、素還真同様よく死に、よく生き返る。また、死んでまもなく化身が現れる、という素還真にもよくあるパターンを初めに行ったのは彼である。
左:偽問天敵、右:步懷真
邪心魔佛
一頁書は「百世經綸」以外にも「邪心魔佛」という称号を持っている、ということは初登場時に崎路人が言っており、それは解脱のために少なくない人命を犠牲にしたため、と説明されている。
その詳細が物語に関わったのが「霹靂風暴」から「霹靂雷霆」冒頭までの期間で、亂世狂刀に魔魁を倒す力を与えるためにこれまで積み上げた功徳の全てを失った一頁書は、前身である「創世狂人」の姿になってしまう。
創世狂人は過激な狂信者であり、自らの教えの正しさを主張するため殺戮も厭わなかった。そのために昔、九大奇人たちが彼の悪念を抑え、後の梵天一頁書が誕生したのだが、それが元に戻ってしまった。
「霹靂風暴」で、花爵百鍊生(素還真の化身)が「邪心魔佛」について以下のように語っている。
かつて九大奇人たちが自身の善意を使い、作り出した聖珠を創世狂人の頭部に嵌めた。聖珠は創世狂人の邪心を抑えるが、最初は彼の本性と拮抗していた。時に善行、時に悪事を働く彼はやむを得ず滅境に入り修行を励んだ。
修行の間は時々思考が極端に走ることがあり、殺生を行うこともたびたびあった。それゆえ当時は「邪心魔佛」の渾名がつけられた。聖珠の効果が強まったところで、彼の性格はようやく改善され、現在の梵天一頁書となった。
以降の作品は魔化した一頁書のことを「邪心魔佛」として扱うことが多い。
- 公式人物資料(一頁書)※中国語