謎の彼女X
なぞのかのじょえっくす
2004年10月号に、主人公の卜部と椿が出会い、交際を始めるに至る経緯が描かれた読切版(第0話)が掲載され、同誌2006年5月号から2014年11月号まで連載された。既刊12巻完結。
キャッチコピーは「正体不明の恋愛漫画」。「居眠りしながらよだれ垂らしてる女の子ってかわいいと思いませんか? まあ、そんな女の子が主人公のマンガです」。
よだれを相手に舐めさせることで自身の感情を伝える、逆に、相手のよだれを舐めることでその人物の気持ちや考えていることを理解する能力(よだれの絆)を持った少女・卜部美琴と椿明の交際模様を描いた“正体不明”の恋愛漫画。
構想段階では、『古事記』に登場する不思議な一族の血筋を継ぐ少女を主人公とした伝奇的要素を持った恋愛漫画であったが、編集部との会議の結果、「思春期の少年にとって、少女とは、少女であるというだけで神秘的で謎めいた存在なのではないか?」という結論となり、現在のような設定に落ち着いた。
作品舞台の具体的な時代設定は明かされていないが、作者が青春時代を過ごした1980年代がモデルとなっている。そのため、携帯電話や家庭用パソコンは作中に登場しない。
しかし、DVDは存在しており、「20XX年夏」と書かれたチケットがあることから、80年代が舞台というわけでもない。
これに関しては単行本第4巻の後書きに「高校生のトキメキというものはいつの時代も変わりないのだから、舞台が現代か過去かなんて曖昧でもいいと思った」という風な記述が載っている。
2012年4月、テレビアニメが放送された。全13話。
高校2年生の椿明のクラスに転校してきた少女・卜部美琴。クラスメートとの交流を拒んで休み時間は机で突っ伏して寝ている、かと思えば、授業中には突然大声を出し笑い転げる、といった理解しがたい行動ばかりをとる卜部を、他の多くの人と同様に不審な目で見ていた椿。
しかし、ある日の放課後、彼女が寝入っているときに机に垂らしたよだれを無意識に指ですくって口に含んだことが切っ掛けとなり、原因不明の高熱を出し寝込む。見舞いに来た卜部に、高熱の原因は“恋の病”であると診断され、彼女のよだれを再び舐めたことで病状は回復するが、「わたしのこと好きになったんじゃない?」と指摘されてしまう。
それ以降、一緒に下校し、その途中で卜部が卜部自身の人差し指に付着させたよだれを口に含むことが日課となった椿。そうした行為を続けるうち、だんたんと指摘通りに卜部への恋心を自覚するようになり、ある日の下校時、遂に彼女に告白をする。そのとき、過去に自分が授業中に笑い出したのは、頭の中で「椿が生まれて初めてのSEXの相手となる男の子だ」という天の声がしたからであり、その時点からずっと椿に想いを告げられるのを待っていたと打ち明けられる。こうして、椿は謎の彼女・卜部美琴と交際をスタートさせた。
本作の主人公。卜部美琴の項を参照。
風見台高校2年A組在籍。17歳。運動神経も成績も並な普通の少年。映画研究部に所属(幽霊部員)。
ふとしたことから、転校生である卜部との間に“よだれの絆”があることが発覚し、交際することになる。
キスや胸を触ることに憧れる一般的な男子高校生だが、卜部の不思議な行動や迫力に振り回され実現には至っていない。
アイドルの今井百夏のグラビア写真集をこっそり所有するなど思春期の少年らしい一面もあるが、基本的には卜部に一途で真摯であり、時たま他の女の子に誘惑されたり良い空気になることがあっても、卜部を悲しませまいと全て断っている。
なお、卜部と付き合っていることはクラスメートたちには内緒にしている。
椿のクラスメートの少女。
人付き合いがほとんどない卜部と“よだれの絆”で繋がった唯一の友人であり、椿と卜部の付き合いを知る数少ない人物でもある。
椿の親友である上野と交際しており、ノロケ話や愚痴をよく卜部に語っている(逆に、卜部の恋愛事情を聞くこともある)。
仲があまり進展しない椿と卜部のカップルとは違い、上野とはキスまで進んでいる。
背丈は小学生のように小さいが、胸は大きい。眼鏡をかけている。
成績は学年で上位。料理は得意であり、手作り弁当を毎日卜部に用意し一緒に昼食を取っている。
椿のクラスメートであり中学時代からの親友。
交際中である丘とのノロケ話や愚痴をよく椿に語っている。
椿と卜部が交際していることは知らない。
椿の姉。24歳。椿たちの通う風見台高校の卒業生。
物心付く前に母を亡くした椿に対し、その代わりとして接し育ててきた。
そのため、椿が成人し、大学卒業して社会人になるまで嫁がないで面倒をみると決めている。
卜部と面識はあるが、彼女と弟が交際していることは知らない。
一見まともに見える彼女だが学生時代のセーラー服を時々着用するブルセラといった癖がある?(原作にて)
椿の中学時代のクラスメートであり、3年間ずっと片思いしていた初恋の少女。中学では一番の美少女だった。椿が自分に想いを寄せていたことには気が付いていたらしい。
付き合っていた彼氏と別れたことが発端となり、椿と卜部を自身の通う星ノ瞳女学院の文化祭に招待して騒動となる(単行本4~5巻)。
なお、きれいな長い黒髪の持ち主だったが、失恋を機にばっさりと短く切った。
今井百夏(いまい ももか)
人気アイドル。愛称はヒャッキー。
卜部と瓜二つの容姿をしているが、卜部が巨乳なのに対して彼女は控えめ、卜部が黒髪なのに対して栗色の毛、という違いがある。また、無愛想な卜部と正反対に元気で明るい性格。
得意技は頭部へのハイキックだが、普段はスカートの下にスプリングの拘束具を付けて発動しないようにしている。
“ある計画”を遂行するため変装して卜部を訪ね、そのことが切っ掛けで大騒動へと発展していく(単行本6~7巻)。
卜部・椿のクラスメート。吊り目の卜部とは対照的な垂れ目の持ち主。椿とともにクラスのアンケート係をしている。一度、椿を映画に誘い、以降気があるのかないのか、彼の心を乱すような言動を繰り返している。テニス部の幽霊部員。
オープニングテーマ
「恋のオーケストラ」
作詞 - 山田稔明 / 作曲・編曲 - 北川勝利 / 歌 - 吉谷彩子
エンディングテーマ
「放課後の約束」
作詞 - 山田稔明 / 作曲・編曲 - 北川勝利 / 歌 - 吉谷彩子
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コメント
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好評のうちにアニメも終了した「謎の彼女X」ですが、小説版を読んでみたら、これがまた残念な出来でして。椿が高額グッズのためにバイトしたり、唐突にスキーに行って雪山遭難するとか、突飛な設定。よだれの描写とかもこれはないだろうと。 余りに欲求不満が募ったので、自分で書きました。自給自足。 実際書いてみると、特になんということのない日常を、漫画ならともかく文章で表現するのはなかなか大変だと感じましたが、なんとか書き上げました。 短編3編からなる構成です。24,547文字pixiv小説作品