概要
『貞操号の遭難』は、諸星大二郎の漫画作品である。伝説の仕切り直しデビュー作『生物都市』(1974年)の翌年、1975年に、『別冊問題小説』秋季号へ掲載という形で発表された。
単行本へは、『アダムの肋骨』(創美社)、『失楽園』(集英社)、『男たちの風景』(小学館)などへ収録されている。
本作は、『失楽園』のあとがきによれば、「宇宙モノ」とでもいうようなものの1つで、諸星が「商業誌、それも青年誌を意識」して書いたもので、特別な思い入れがあるという。
あらすじ
遥かなる未来 地球の人類は、男性の機能を主な原因とする出生率の低下が100年ほど続いたため、別の種族との交配による品種改良計画に踏み切った。
Laboratory of
Acquired
Dominant
Inherited quality
頭文字をとって「LADIQ」あるいは「LADI」(優生人種開発計画)と命名された、純潔号、処女号、貞操号という宇宙船に何人かが入り、地球人型をした高等生物(の雄)を漁りに行く、という計画の遂行中、貞操号のクルーは未知の惑星で、一応知的生命体と接触、調査にかかるが。
キャラクター
貞操号乗組員(全員女性)
リサ 髪の毛は薄い色。性科学の主任で下半身に関心があるので「男漁り計画」に一応乗り気である。
ケイ 黒髪 人類の未来をかけているこの計画に積極的である。クルーの中での理性担当。
マリ 髪の毛は赤毛みたいな。合成マリファナの常用者で、計画には女性の「無節操化」「色情狂化」が見えるとして一言ある。
土着の生物。この惑星では哺乳類(夜行性のげっ歯目)がいる。大陸の大半は砂漠で、菌類と植物がまばらに生えている。
知的生命体。
細胞は動物性で、ヒトに酷似し生殖器の他、退化してはいるものの内臓器官も持つが、大地へ根を張り葉緑素で光合成をする。また夜行性で、繁殖期に雄株は哺乳類の雌へ催眠術を使って誘惑し「タネ」を入れ、雌株の群生地へ誘導する子作りを行う。