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「僕の意思と責任において、獣闘士蜜獾に戦闘を続行させます!」

「逃げることに責任を負うか 逃げないことに責任を負うか、そういう選択です」

「瞳さんを信じると決めたことだけは、僕の意思です! それだけは絶対に曲げない!!」

CV:羽多野渉

人物

面長で、前髪を上にあげた髪型をしている。気弱で流されやすい性格であり、進学先やバイトのシフト、サークルなど人生の様々な場面で周囲に流されて生きてきた。そのためか常におどおどした態度で、不幸体質なこともあってか、何かあればたとえどんなに理不尽な目に会おうともすぐに謝ってばかりいる。

高校の担任に成績だけ見て進学させられた大学のためか、出席は気にしつつも講義中は居眠りをしている。このように本来の自分の意思と関係の無い居場所にいることが多く、やる気がある方ではない。

そのため周囲にはよく怒られている。ただし自身が危機的状況に陥っても他人の心配ばかりしていたり、たとえ殺されかけても相手の命を優先したりと、かなりのお人好しである。

始まり

ある日、かつての同級生にメールで誘われ、ナンパをするからと車の運転を頼まれる。上記の性格から断れずに参加するが、それはナンパではなく強姦であった。

自分も既に共犯者だと脅されるも、後部座席の女子高生の泣き声に耐えきれず車を止めるが、直後、後部座席の同級生たちを惨殺した、捕まっていたはずの女子高生宇崎瞳に、そのまま走り続けるよう指示される。

その後粗大ごみ廃棄場で獣闘士獅子(レオ)と瞳の牙闘(キリングバイツ)に巻き込まれ、「獣闘士(プルート)蜜獾(ラーテル)」の瞳の強さを目の当たりにする。翌日瞳の保護者であり「牙闘」管理局の局長、祠堂零一と接触。日本社会を裏で操る四大財閥同士の賭博試合である「牙闘」の存在を教えられる。

そして同級生たちが事故死として処理されたこと、獣闘士蜜獾の出資者になってもらうことを告げられ、半ば強引に現金一億円を渡されてしまう。

同時に高校を休学扱いになった瞳と共同生活を送ることになる。瞳からの理不尽な扱いに辟易しながらも、時折見せる彼女の女の子らしい一面や優しさに次第に興味を抱いていく。ある夜、瞳を危険視した財閥の刺客からの襲撃を受け右足を負傷するも、石田財閥に所属する獣闘士「河馬(ヒポ)」岡島壱之助に助けられる。

そして岡島の懇願と祠堂の指示により、瞳とともに各財閥の3名、合計12名の獣闘士が殺し合う「獣獄刹(デストロイヤル)」に石田の獣闘士とその出資者兼プレイヤーとして参加することになる。

獣獄刹への参加

獣獄刹において、プレイヤーは自分の順番にダイスを振り、その数だけ広大なフィールドを100m四方に分割したマスのエリア移動を獣闘士に指示し、3分以内に移動完了しなければ首輪が爆発して獣闘士は死ぬというもの。

最後の1人以外が死亡または戦闘不能になるまで続けられる。そのような状況で、笑いながらゲームを楽しむプレイヤーに野本は愕然とする。また野本は全くの素人のため、どのような指示を出すべきかも全くわからなかった。それにより他のプレイヤーからは警戒を微塵もされていなかった。また三門財閥の三門陽湖にはその素人丸出しの挙動から敵意を剥き出しにされていた。

思考停止作戦(オペレーションアンシンク)

「説明しよう!野本はモニターに写し出される瞳の指示に従い、野生の勘による最善の判断を下したのである!」

つまりプレイヤーの野本は一切何も考えず、駒である瞳に逆に指示を仰ぐというもの。これにより地形的に不利になることはなくなったが、三門陽湖には心の中で「どこまで依存体質なのよ!」と全力で呆れられた。

選択と決断

終盤になると、度重なる激戦により瞳にも疲労が見え始めてきた。更なる強敵が集まるなか、野本は敵でありながら瞳の友人でもある「狩猟豹(チータ)」中西獲座を助けるために瞳を移動させたことが、瞳を窮地に追いやったと三門陽湖に指摘される。そして瞳を移動させ、責任から逃れるよう三門陽湖に囁かれ動揺する。

しかしこれまでの自分の人生を振り返り、逃げてばかりいた自分を見つめ直す。そして尊聖羅の「自分の獣闘士を信じなさい」という言葉通り瞳を最後まで信じることを決める。この際尊夫人からは「己の全てを他人に任せるのは並大抵の精神力ではない。命懸けの他力本願、それが野本裕也の真骨頂」と興味を持たれている。

獣獄刹その後(ネタバレ注意)

獣闘士「兎(ラビ)」稲葉初の偶然の一撃により石田財閥の勝利後、野本の部屋の片隅に置かれた優勝の取り分3億円以外は、全く何もなかったかのように2週間が経過した。しかし瞳との関わりを通し成長した野本は、不良に絡まれても逃げずに殴り合うなど確かな変化を見せていた。

そんなある日、瞳からメールで初めて会ったひの粗大ごみ廃棄場に呼び出される。瞳に開口一番お礼をいい、野本は瞳の口癖である「牙の鋭い方が勝つ」とは、「戦う意思」であると気づいたと語る。久しぶりに会った瞳に野本は自分の成長の実感も相まって、嬉しそうに話し続ける。

次の瞬間野本は瞳の鉤爪に心臓を切り裂かれる。瞳は祠堂零一の指示により、用済みの野本を始末しに来たのだった。最後に野本に自身の正直な気持ちを口にしようとする瞳だったが、既に野本に声は届いていなかった。迎えの祠堂の部下に「泣いてない」と言い張る瞳は確かに涙を流していた。

2年後の世界において(ネタバレ)

「牙の鋭い方が勝つ それがキリングバイツ そうですよね 瞳さん。」

祠堂零一の暗躍により獣化手術は特定遺伝子組み換え関連法案として合法化され、キリングバイツもスポーツとして公表。東京の人工島には獣人特区が設けられた。

そんな中キリングバイツのオーディションに参加する「媚戌(ビーグル)」戌井純と「牙魔猫(タスマニアデビル)」・黒居佑。純は佑の威圧に動きが止まるもその恐怖に打ち勝ち戦闘を続行。その姿を見て1人の若者が純に指示を出し始め、純は善戦するも若者が立ち入り禁止ラインを越えてしまい試合は無効、失格となってしまう。

警備員に連れていかれそうな若者を「身内」と称し引き止めたのは、石田財閥会長夫人尊聖羅。そしてフードが外れ顔が明らかとなった若者は

殺されたはずの野本裕也だった

2年前に致命傷を負った後、尊夫人により救われていたことが判明。ラーテルを越える獣闘士として「媚戌(ビーグル)」を見出だした野本は、黒居佑と接触して純を見つけ、二人の出資者となると告げる以降は彼女らと行動をともにするようになる。

髪は上げていたのを下ろし、パーカーを着て時折フードで顔を隠す。以前の気弱な性格は見る影もなく、常に飄々とした態度で不敵な笑みを浮かべている。常に相手と正面から話し、笑いながら人脈と資金により脅すなど、掴みどころがなく堂々とした主人公然とした人物となっている。

獣人特区番外地におけるベテラン「狼(ウルフ)」との戦いで、犬笛の訓練をした純との連携により、純に的確な指示を笛で行い勝利をおさめている。この場面を遠くから瞳は見ており、最初は野本が生きてきたことに驚いていたが、野本と純の息の合った連携や勝利後二人が抱き合って喜ぶ姿をみて、本人にもわからない激しいイラつきを覚えている。またこの試合により、財閥や祠堂零一をはじめとするキリングバイツ関係者にも野本の生存が知れ渡り、目をつけられている。

「お久しぶりです 瞳さん」

純と特訓をしているある夜、野本の前に突如瞳が現れる。野本を守ろうと飛び掛かる純を片手で押さえつけ、瞳は「なぜ生きているのか」と野本を睨み付ける。それに対し野本は

「瞳さんこそ 何で僕を殺したんですか」

と瞳を睨み返す。「生きているならいいじゃないか」と開き直る瞳に対し、世間的に野本裕也という人間は死人であるということ、身分管理の規制が緩い獣人特区に隠れるしかないこと、家族や友人に二度と会えないことを漏らし、

「どうして「生きてる」だなんて言えるんですか!?」

と瞳を怯ませるほどの怒気を放つ。そのまま怒り出した瞳により一触即発の状態になるが、純の唐突な一言でその場はうやむやとなり、二人は今期のキリングバイツで再戦することを約束して別れる。以降野本は純の特訓に勤しむこととなる。

人物関係

宇崎瞳

当初は理不尽な目に会いつつも、ともに過ごすうち信頼のようなものが生まれる。瞳の強さに対して野本は全幅の信頼を置いている。また瞳も、追い詰められた際に野本の顔を思い浮かべながら「あたしが帰らなきゃうるさいやつがいる」と発言している。2年後再会した際には「惹かれていたのは事実」と打ち明けており、瞳は顔を赤らめている。殺されかけた相手ではあるものの、とくに野本は瞳に復讐したりする様子はない。

戌井純

2年後のキリングバイツオーディションにて存在を知る。その戦闘センスと瞳に通ずる恐れ知らずのメンタルを見込み、彼女の出資者となる。野本によりオーディションに落ちてしまったが、結果的に獣闘士になれたことや特訓の成果が出たこともあり、純は野本に感謝している。狼に勝利した際には野本に抱きつき、瞳から野本を守ろうと飛び掛かるなど、野本に対して好意的かつ従順であり、瞳と比べると関係は極めて良好。ちなみに瞳が野本の元カノと勘違いしており、黒居佑に話したりしている。

尊聖羅

石田財閥会長夫人。「獣獄刹(デストロイヤル)」では「河馬(ヒポ)」岡島壱之助のプレイヤーとして参加していた。「獣人は命を大事に」「勝利よりだいじなことがある」として獣闘士に配慮した采配を行い、野本を気にかけ励ました。また野本の終盤での選択により彼に興味を示す。野本を2年前に救った張本人であり、野本の存在が知れたらお互いに厄介な事態になることを承知の上で彼を匿っている。

ネタバレ注意

「よかった どうにか 間に合ったみたいですね」

どうやって生存していたのか長らく不明だったが、管理局の目を盗んで獣化手術を行い、九死に一生を得ていたことが発覚。更に後の戦闘で、希少種である鳥獣人(アヴェシア)であることがわかり、の獣人であることが判明した。

獣人同士の戦闘を肉眼でとらえ、純に犬笛で的確な指示を出していたのも、獣化手術によるものであった(カラスは知能と視力が極めて高い)。

牙闘本戦への出場をかけた大会で、成長途中の純が最強の虎(ティガ)に遭遇したことを知り、彼女を助けるために潜入を決意。しかし監視していた瞳に発見され、彼女の目の前で獣化を行う。

獣化すると両腕が大きく黒い翼へと変化し、加えて肌の色も黒くなる。瞳の追跡を逃れるほどのスピードと機動力を誇り、その高い視力と飛行性能を駆使して、空中から純に的確な指示を送る。野の胸元には瞳に着けられた深い傷がはっきりと残っている。

大規模に中継されている大会に乱入したことにより、すでに管理局に知られているとはいえ、公に自身の存在を公開してしまう。そして2年前の抹殺命令は、野本の可能性を恐れた祠堂の考えによるものであることが判明した。

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