「くそう、オレはお前らが大嫌いだ。
なのになぜ……負けちまえって気にならないんだ。
それは、お前らが心底勝ちたがってることは知ってるからだ。」
人物・劇中での活躍
『SLAMDUNK』の登場人物。
大阪の強豪校に位置付けられる豊玉だが、北野監督の「ラン&ガン」スタイルでは全国8強止まりのため、理事長は北野を解任し、新たに金平を2年契約で就任させた。
しかし金平は監督就任時、北野が提唱した「ラン&ガン」スタイルを否定し、ディフェンスを強化して攻守のバランスの取れたチームを作ると宣言したため、「奴の言うことは聞くな」と北野を信奉する現3年生レギュラー(当時の南や岸本達)の反感を買うことになり、指導も指示も無視され、結果を残せないまま、刻一刻と期限が近付いていた。
そして、ラストチャンスとなる夏のIH。湘北との1回戦。
大阪大会で敗れた大栄学園戦と同様に前半をスローペースに持ち込まれたものの、持ち前のオフェンス力でリードは保っていた。
ハーフタイム時、控室で後半も同じようにディフェンスを重視してリードを保とうと指示を出すが、レギュラー達は全く聞く耳を持たず、「ラン&ガン」スタイルに固執する。
それを金平は「寝言はよせ」と一蹴し、「それでは優勝できないと北野先生の時に証明済み…」と言おうとした次の瞬間、南に首を絞められ、「殺すぞお前」と恫喝され、これには流石に岸本達も「やり過ぎや」と慌てて止めに入った。
後半戦に入ると湘北はチームの結束を発揮し、スコアを重ねていく。
一方豊玉は、南が負傷させた流川の活躍を目の当たりにして精神を乱され不調となってシュートが全く決まらなくなり、残り5分で遂に同点に追いつかれ、タイムアウトを取る。
そして、このタイムアウト中に、豊玉を覆っていた不穏な空気が遂に爆発した。
南の不調に苛立った岸本が暴力に近い形で南に詰め寄り、豊玉ベンチは一触即発の雰囲気になる。
金平は慌てて仲裁に入るが、感情的になっている南と岸本が耳を貸すはずもなく、それどころか南に「すっこんどれやおっさん」とまるで監督扱いしていない発言をされ、「何!?」と怒りの表情を見せる。
そして続けざまに岸本から「お前に言われたないんじゃ黙っとれ!!」とあんまりな追い打ちを受けたことで、遂に金平の今まで溜め込み続けたフラストレーションが爆発し、公衆の面前で岸本を殴ってしまったのである。
「お前ら、オレの半分しか生きてないお前らのその態度はなんだ。
オレはお前らが憎くてしょうがないんだよ!!」
しかし殴られた岸本は逆に冷静になり、「今はまだベンチにいてもらわないと困る。名前だけでも監督や。あんたも北野さんの半分しか生きてへん」と返した。
タイムアウト終了時、金平は我に返り、「なぜあんなことを…」と頭を抱え後悔の念を抱く。
そして試合時間残り3分、南が流川に無理矢理突っ込んで頭から血を流してしまう。
そこに北野が現れ、南の応急処置をした。
ここで金平は北野と対面する事となったが、南と北野のやり取りを前に、居た堪れない様子で俯くように会釈するしかなかった。
豊玉は10点ビハインドの状態から、北野との再会で我に返った南の檄で息を吹き返し、南が連続で3Pを決めて追い縋るが、反撃もここまで。
結局87-91で1回戦敗退となり、更に公衆の面前で選手を殴るシーンも観客に見られていたため、どちらにしても金平の解任は免れなかったようである。
しかし、この間に彼は冒頭の台詞を涙を堪えながら独白し、更には南の追い上げを目の当たりにした際にはついに大量の涙を流しながら「うおーーっ いいぞ南!!」と人目も憚らずに一心不乱に声援を送る等、選手たちの態度に憎しみを募らせながらも心の底では彼らを憎みきれない、情の深い一面も見せた。
また、豊玉のレギュラー格の選手たちとのファーストコンタクトを致命的に誤ってしまった点についても、そもそも彼らが盲目的なまでに北野前監督を慕いラン&ガンスタイルに頑なに拘っていたことなど前もって知るわけがなく、そこで不運にも彼らの地雷を的確に踏み抜いてしまったことは概ね事故と言うほか無い、豊玉高校理事長の不理解や怠慢が要因の貧乏くじに近い状況だったと言える。
新監督就任時の回想シーンではまだ肌のハリもよく皺もない実年齢相応の若々しい顔立ちだったにもかかわらず、2年が経過した本編登場時には別人のように老け込んでしまっていたことからも、彼の心労の深刻さは相当なものだったことが窺い知れる。