青娥とは清朝前期に描かれた怪奇短編小説集『聊斎志異』の中の一遍。
pixivでは概ねそれをモデルにした東方Projectのキャラクター霍青娥を指す。
一遍の内容
晋(現在の山西省)に評事(裁判官)を勤めていた武(ぶ)姓の男がいて、彼は道教に凝り、山に入って籠ってしまった。
彼には娘、青娥がいた。
青娥は十四の娘で、その美しさは類がなく村では評判であった。しかし彼女は、終世誰にも嫁がないと心に決めていた。彼女は幼いときから父親の書物を盗み読んでおり、仙人である何仙姑のことを慕っていた。そして自分も仙人になる決意をしていた。父親が山中に籠ってしまったこともあり、その決意は非常に硬く彼女の母親ですらも変えさせることが出来ずにいた。
霍桓(かくかん)という、同じ村に住む少年が青娥に一目惚れし、是非とも妻にしたいと望むようになる。
彼は、とある道士から譲り受けた「硬い石でも腐ったものを斬るかのように簡単に穴を空けられる、一尺ほどの不思議な鑿(のみ)」で、青娥の家の壁に穴を空けて忍び込む。
それから紆余曲折はあったものの翌年二人は夫婦となる。二人の間には息子を1人を授かる。
ところが結婚から八年後。
突然、青娥が家族に別れの言葉を告げ、自分の寝床で死んでしまう。
家族は彼女の遺体を埋葬して弔った。
その一年後。
山中で遭難した霍桓は、偶然青娥と再会する。
なんと青娥は仙人となって、彼女の父親の元に来ていた。一年前青娥は、仙術を用いて竹の棒を自分の遺体に見せ、家族に死んだように思わせて家を抜けた後、おなじく仙人となっていた父親が暮らす仙界の洞窟で隠棲していたのだ。
此処で霍桓が青娥に対して不埒な所行に及ぼうとすると「わしの洞府を汚すとはけしからん」と洞窟から追い出され、洞窟の入口は岩の壁で閉ざされてしまう。
逆上した霍桓は、持っていた不思議な鑿を使い、岩の壁を壊して、中にいた青娥を引っ張り出す。
結局、霍桓と青娥は二人で元の村に戻ることになる。
二人はそれからさらに娘1人(後に嫁入りさせた)、そして息子1人をもうけた。
その後。霍桓もまた仙人となり、成人した子らを家に残して夫婦二人、何処とも知れずに姿を消す。