概要
中国の怪異譚『聊斎志異』に記載されている物語に登場する妖魔。
中国語ではホァーピーもしくはホヮーピー(Hua Pi)と呼ぶ。
本来の姿は蒼い顔に鋸のような歯を持った姿をしており、美女に化けて男を誑かして餌食とする。最大の特徴は化ける際には人間の皮に絵を描き、その絵が描かれた皮を被る事で人へと変化するという、結構グロイ方法を取る(物語の中では16歳の美少女や老婆に化けている)。
朝鮮半島には画皮に似た性質の「ヘゴルグィシン(해골귀신)」という妖怪が伝わっている。ヘゴルというのは骸骨を意味する単語であり、こちらは骸骨が皮を被って美女に変身する。
なお、画皮の物語に登場する導師は画皮の素性を知っているような素振りを見せていたが、詳細につては不明。
また、画皮の物語を原作とした『画皮 あやかしの恋』という題名の映画も作成されている。これも、本格的なホラー映画としては中国において画期的な作品になった。
また、画皮の名を有名にしたドラマでは、画皮と妖狐の関連性がクローズアップされていた。
- ゲゲゲの鬼太郎シリーズにおいても九尾の狐に使役されてきたし、紙や絵に関する能力も似ている。
ゲゲゲの鬼太郎
(イラストは第3期版)
原典とは違った意味でみんなのトラウマ。
原作に登場しないためか、これまでの三回のアニメ化にて各々の見た目やキャラクターがかなり異なる。
本来の画皮伝承に近い中国妖怪は原作に登場している鬼妖怪である(参照)。
- しかもその回はかなりのスカトロ回であり、鬼太郎の妹の雪姫が糞仙人にあんなことやこんなことまでさせられてしまった…。その内容は、妖怪図鑑の画皮の説明文の内容の通りである。
第3期の劇場版及び第5期の第6期に登場。当シリーズでは「鬼瓦のような顔をした巨大な空飛ぶ頭」というインパクト抜群の姿をしており、伝承とは程遠い(どうしてこうなった?)。そのインパクトは絶大で、第3期では初陣を飾った際には日本妖怪の空中戦力の先陣を切っていた一反もめんが怖じ気づいて戦意喪失し(画皮が横を通っただけで墜落した)、残りの空中戦力も一瞬で蹴散らされた。第5期にては、ミンメイの姿で骨抜きにした南方妖怪達が一瞬で目が覚めた。
3期と5期ではカラーリングが全く異なる。また、5期ではムック本の姿と実際の姿に違いがある。
第5・6期にて、チー同様「絵」に関連する特徴を持つ。第3期においても「紙の精」が絵に宿って実体化した妖神との共闘が印象的だった。なお、第4期には妖神は登場するものの画皮はおらず、第5期は妖神が登場する前に打ち切り、第6期にてはチーとの関連性があるのかすら不明である。
第3期
(画像は歴代の個体を混ぜたような見た目)
チー率いる中国妖怪軍団の一員である。ジャック・O・ランタンのような目と、掃除機やエアコンのような音と共に発射される黒風が特徴。ちなみに、この風はリンゴのような舌の裏側のようなよくわからない部分の脇から発射されている模様。
歴代で唯一、口を閉じたり黒風を吐く。言葉を話すシーンは存在せず、人間の姿にも化けていないが、主人であるチーの命令には従順に従う。なお、黒怪物と比較すると目立たないが、ある程度自身のサイズを変更できる節がある。
かなりの実力者で、最も重宝された部下の一名だった。口から吐き出す黒い風やスピード、その巨体を使った攻撃で日本の妖怪たちを苦戦させる。実質、空中戦に関してはワンマンアーミーが成り立ってしまう。その黒風は強力で、なんとひでり神の仇を討ちに来た野槌に張り合うほど(結局は野槌も反物にされてしまった)。また、黒風は指向性を持つタイプと渦を伴う広範囲タイプを使い分けられる模様。
巨大化した黒怪物には顔面から衝突しても平気であるほど頑丈であり、黒怪物は実質画皮との衝突でフェードアウトした。また、合体さえしなければ火の妖怪たちも体当たりで追い払える。だが、鬼太郎がオカリナロープと怪力でハンマー投げの要領で岩にぶつけた際には気絶した。
最終決戦においては、火を弱点とする妖神竜の援護に回るため、気絶していたところをチーに起こされた。鬼太郎に召喚された(なぜか化け火を除いた)「炎の妖怪五人衆」(釣瓶火、姥ヶ火、天火、海月の火の玉)は大変苦戦したが、鬼太郎のちゃんちゃんこに全員で宿り、黒風をも吸収して火力を上げる松明になった。そして鬼太郎達は画皮を誘い込み、画皮が避けられない距離でこの強力な炎を妖神に引火させた。悶える妖神に画皮が突っ込んで妖神が画皮に絡み付いてしまい、共に炎に包まれながらチーの居城へと突っ込むという心中的な顛末を迎えた (妖怪なので真の意味で死んではいないだろうが)。おそらくは、妖神は弱ってなすがままになり、そのまま画皮と妖神の妖力をも媒体にして火力が強くなったと思われる (ちなみに、この時に画皮も目を閉じている)。
なお、なぜか城は物理的には破壊されなかった事もあり、人質となっていた人間達も無事だった。
第5期
CV/松井菜桜子
第5期では伝承通り、チャイナドレスを着たミンメイという名の美女に化けて登場。案の定(おそらく原作の次に美女に弱い)5期鬼太郎も頬を赤らめていた。虎男たちに続く第2のチーの刺客。
本来の姿では口から吐き出す突風や絵を実体化させる術を行使する。また、色気だけではなく眼力で相手を洗脳する事もできるようだ。
ちなみに、人間の皮を被って化けたのかどうかは定かではない。ニチアサ的には恐らく妖力を使って化けたものと思われる。
チーの命を受けてその姿でねずみ男やアカマタを除く南方妖怪の4おばか軍団……もとい4人衆に近付いて誘惑し、鬼太郎を倒すように唆す作戦を実行する(なお、表向きは南方妖怪たちをおだてて持ち上げる等の行動をしていたが、内心では彼らの余りにもの頭の悪さ故に馬鹿にしていた模様)。
ただし、あくまでも自身の色気を使って術にかけているらしく、猫娘に化けの皮を剥がされて醜い正体を白日の下へと曝け出されるのと同時にその姿に幻滅して南方妖怪たちの洗脳が解けてしまっていた(彼ら曰く「ミンメイちゃん」の方が良かったという誰しもが思っていたことを口走っている)。ちなみに本人はその事に気付いていないのか、本来の姿のままで彼ら南方妖怪たちを誘惑しようとしていたが……。
最後は本性に戻って戦うが、鬼太郎のチャンチャンコ旋風の前に敗れ去る。
その直後に、戦いを傍観していたチーによって反物へと変えられてしまった。その後の動向は番組が打ち切りとなってしまったため詳細は不明。チーの登場も、「日本爆裂」とOPを除けばこれが最後だった。
第6期
CV/緑川光
今期初の外国妖怪。
初の男性化が見られる (第3期の性別も厳密には不明だが)。砂かけ婆が所持していた巻物に封じられていたようだが、ひょんなことから封印が解かれ復活した。魔絵から復活するという点は、3期の妖神にも似ている。
普段はイケメンの美青年の姿に化身している。甘い言葉で人間を誑かして意のままに操り、人間の魂を吸い盗って養分にしたり、巻物を使った攻撃を行う。
本性はこれまでの姿と似ているが、がしゃどくろのように目からビーム (原作や過去のアニメの妖力放射や熱線 (鬼太郎や傘化け等)やさら小僧の光輪などに値するものかもしれない)や舌を伸ばす。つまり、画皮の口の謎が一つ解けたことになる。ちなみに、歴代でも目が大きいだけでなくこれまでよりも寄り目がちで豚鼻で出っ歯のシーンもある(参照)。これと似ているという声も。
一方、歴代で初めてチーと無関係となり、風も吐かなかった。また、子泣き爺が画皮の絵巻を手に入れた経緯も不明である。
CV:緑川光ということで、5期の黒鴉と同じ。今期のたんたん坊の中の人(4期の子泣き爺を務めた)に続き、かつての味方の声が敵に回ることになる。もっとも、今期の子泣き爺も4期のブエルを務めたりしていたが。
劇中では、ゆうなという名のある女子高生が子泣き爺が落として回収し忘れた巻物を拾い、何気なく巻物を開いた事で封印が解けたのか実体化。後で子泣き爺は砂かけ婆に殴り飛ばされた。
ゆうなの身の上話を聞き彼女の唯一の理解者となるが、所詮それは上辺だけであり、実際には体よく彼女を利用していたに過ぎない事が示唆されているが、詳細は不明。
ゆうなと出会ってから暫くすると長い間人間の魂を喰らっていなかった為、力が保てず姿が薄れて来た為、ゆうなに人間の魂を食さないと力が保てないと助けを求め、初めて自分の気持ちを理解してくれるものを失いたくない彼女は罪悪感を抱きつつも画皮に協力し次々に人間をたちの魂を画皮に与え続けてしまう。
その後、魂が奪われ昏睡状態に陥った事件を追いかけていた鬼太郎に居場所を特定され逃走。追いかけて来た鬼太郎を巻物で締め上げるも自身も霊毛ちゃんちゃんこで首を絞め上げられ自分を追ってやって来たゆうなに助けを求めるが、ゆうなを追いかけて来た彼女の母親を邪魔だと言わんばかりに崖へと投げ飛ばしゆうなを裏切った母親よりも自分を助ける様にゆうなに命令するも、今まで母親に大切にされてきたことを思い出したゆうなは画皮ではなく母親を選び助けに向かってしまう。
自分よりも母親を選んだことに激高した画皮はその醜い本性と本来の姿を曝け出し、ゆうな親子の魂を喰らおうと襲い掛かるが、駆けつけた砂かけ婆の毒砂を喰らい怯んだことで術の力が弱まったのか、鬼太郎も巻物から脱出。目からのビームや舌をもばして応戦するものの、最後は鬼太郎の指鉄砲で眉間を打ち抜かれ倒された。なお、画皮の消滅により魂を奪われた人たちも無事に回復した………。
ちなみに、6期の画皮が活躍するお話、実際には画皮の悪行よりもどちらかというとゆうなの母親の方がよっぽど怖いと思った視聴者は多いような気がしないでもない(どちらかというと彼(?)とゆうなが母親の被害者に見えなくもない状態になっちゃっていたりする)。
余談
第3期の予告編にて、画皮は見られないが、大型の飛頭蛮のような妖怪たちが見られた。
とにかくインパクトの強い画皮だが、言葉を話さないがペットの如く従順な姿から、なんと第3期の折に萌えに近いものを抱く視聴者もいたとか。
また、聊斎志異に原点があるかもしれないという意味では鬼太郎も同じである。墓場鬼太郎を参照。
第三期の倒され方は、墓場鬼太郎でのねずみ男のかつての主人の四代目ドラキュラと夜叉が互いにもつれあって玉のように丸くなって死んだ場面と似ているかもしれない。
関連動画
関連項目
飛頭蛮・大首・畑怨霊・ランスブイル…水木しげる版における、似たような見た目の妖怪の例。