風待八舞
かざまちやまい
「高揚。貴公の力、聢と見させていただいた。―——その剣のことも、今は問うまい。先の無礼は我が奥義の開帳にて雪ぎたい」
八舞耶倶矢、八舞夕弦の本来の姿。より正確に言えばその元になった少女。
今までその存在は示唆されていたが、本編最終巻となる第22巻において遂に登場した。
ただし、劇中に登場した八舞は厳密には人間だったころの本人ではなく、一時的に耶倶矢と夕弦の2人が合体した姿。背もそこまで高くなく、六喰や夕弦よりも大きい胸もそれほどではなかったらしい(本人談)。
回想録から本来の彼女は、耶倶矢と夕弦の思考や好みが合わさったような人物だったことが断片的に窺い知る事ができる。
元々「風待八舞」という一人の人間は、順風満帆な人生を歩む普通の女学生だった。だがそんな平穏な日々は、道路に飛び出した子供を助けて車に撥ねられてしまう形で終わりを迎える。
そして他の面子共々、崇宮澪に霊結晶を与えられて精霊になったが、彼女はバニシングツイン(双子を妊娠するが片方の胎児が上手く育たず、母胎かもう片方の胎児に吸収されてしまう現象)という本人も知らない生い立ちを持っていた模様。
当然、それ自体は珍しくも特別なものではなかったが、ここで『名もなき妹」の意志が霊結晶によって芽生え、八舞を死から救う為に、自らの心と八舞の心を身体の中で同化させる現象が発生。
結果、出生時一つになっていた心と体は再び二つに分化して、『八舞耶俱矢』と『八舞夕弦』という双子姉妹の精霊が誕生した。
このような出自ゆえ、二人が双子の姉妹なのもあながち間違いではなかった事になるが、どちらが姉でどちらが妹と識別することも実質不可能になっている(ちょうど同一人物である筈の士道と真士が全く異なる存在になった事と同じ様なもの)。
22巻にて、士道を助ける為に〈ビースト〉から〈世界樹の枝〉で〈颶風騎士〉の剣を引き剥がした仲間達。それは皆が精霊の力を取り戻すことを意味するが、上記ルーツを知って間もなかった耶俱矢と夕弦は、互いの絆を再認識しながら戻った結果、一つの精霊・風待八舞となった。
姿は耶倶矢と夕弦の面影を混ぜて色濃く成長させた顔立ちで、霊装の布面積も一人分相応。
2人の口調が合わさった様な喋り方だが、性格はよりキザっぽくなっており、その様子は威風堂々とした王者の風格を思わせるものへと変貌している。
能力
単騎性能も向上し、士道たちの前に現れて名乗りを上げると〈ビースト〉と交戦し圧倒した。
巨大な弓矢【天を駆ける者(エル・カナフ)】は、巨大な弩弓の形をした【蒼穹を喰らう者(エル・イェヴルン)】へと変化し、ビーストに収束させた烈風を射出した。
また、【穿つ者(エル・レエム)】は槍の柄に鎖のついた投擲槍【貫く者(エル・ツオフエル)】に進化し、新たに、翼を畳み鎖をつけた【護る者(エル・ベゲツ)】という盾が使用された。
また、天使<颱風騎士(ラファエル)>も本来の姿と思われる弩弓へと変化。天使の最強必殺技と推測される【蒼穹を喰らう者(エル・イェヴルン)】を行使することが可能なほか【護る者(エル・ペゲ)】という盾を展開することが可能。