Noita
のいた
2019年に配信されたPCゲーム、開発発売はNolla Games。
2020年、フィンランド現地時間10月15日(木)に正式リリース。
プレイヤーは魔法使いとなり、フィンランドの民間伝承や錬金術の世界観をもとにしたダンジョンを進んでいく。
ダンジョンの階層ごとの形状、落ちている杖や魔法、ポーションなどは全てランダム生成されるため、遊び心地は不思議のダンジョンに似ている。
このゲームは全てのピクセルが物理的にシミュレートされた世界を舞台にした、魔法アクションローグライトのゲーム(Steamストアページより抜粋)であり、その表現に違わず、ゲーム中に登場するすべての個体・液体・気体が相互に影響を与え、リアルタイムに変化していく。
そして死にゲーである。
アーリーアクセス版と正式版とでダンジョンの構成や魔法の効果などに差があるものの、ダンジョンに入り、杖や魔法を手に入れ、組み合わせ、世界を攻略していく流れは同じ。
上記の通り、あらゆる物質がピクセル単位で物理演算され、ゲーム内の状況が刻一刻と変化する。
- 木材や草、石炭や油に火が付き、それぞれ違う速度で延焼していく。
- 爆弾が爆発すると、一定範囲の柔らかい物体を消し飛ばしつつ火種をまく。
- 水の蒸発で発生した蒸気は天井に溜まり、冷えると水になって落ちてくる。
- 砂や雪のような粒子が細かい物体はさらさらと下に落ちていく。
- 氷やガラスは割れると細かい破片になる。
- 酸などは周りの物体を溶かしつつ下に流れる。
- 液体や金属などの導電性の物質に電気を流すと、離れた場所まで電気が走る。
これらNoita世界の物理現象をよく理解することで危険を回避し、時には活用していくことが攻略の糸口になる。
また、ゲーム中には様々な魔法の液体が登場し、それらは極めて有用でありながら、危険な性質をもつものばかりである。
ローグライトのご多分に漏れず、よく死ぬ。
階層を下るごとに敵のステータスが跳ね上がることや、HPを回復する手段が非常に少ないゲームであることも死因となるが、それにしてもよく死ぬ。
Noitaは敵の攻撃によらない死が非常に多いのだ。
参考までに、ゲーム開始直後の第1層「鉱山」で起こりうる死の前触れを簡単に列挙する。
- 何故か体が燃えている。
- 敵に追われて逃げた先に敵がいた。
- 手に入れた杖を使ったら爆発した。
- ポーションを拾おうとしたら爆発した。
- 魔法が跳ね返ってきて自分に刺さった。
- 油まみれで足を滑らせて落ちた先が一面炎の海。
- 猛毒ヘドロを吐く敵を倒したら一面猛毒ヘドロの海。
- 飛び降りた先が溶岩の海。
とにかく燃える。とにかく爆発する。それがNoita。
これらは多種多様なNoitaの死因のごく一部でしかなく、また全てのダンジョンに共通する普遍的な死因である。
基本的な操作説明だけで鉱山に放り出され、杖の仕組みも判らないまま袋叩きにされる。初回プレイは5分もかからず屍を晒すのが関の山だろう。
どれだけ進もうとも死ねばデータは削除され、次に起動するときは最初から。引き継げるのは死に至るまでに蓄積した知識しかない。
プレイヤーは何度も死に、そこから得た学びで次のプレイでの死を回避する。その繰り返しの中で少しずつ上達していく、ローグライトらしいゲームデザインである。
このようなシビアなゲーム性から、一応のゲームクリアを表すSteam実績「勝利」の獲得率は11.1%と非常に低い(2021年5月現在。外見変更を含む何らかのMODを入れているとSteam実績を獲得できないため、実際のクリア率とは異なる可能性がある)。
それでも100回、200回の死を重ね、なおもクリアを目指して遊び続けるプレイヤーは少なくない。
苦闘の末、先述の「勝利」実績を獲得したあなたは、Noitaをすべて遊びつくした。
…はずはない。
それどころか、このゲームのほとんどを味わっていないとさえ言える。
聖なる山のポータルを使って下り続けることで踏破できるのは世界のほんの1割ほど。世界は初期位置の下方向だけにではなく、上下左右に、かつ無限に広がっている。
それらに散らばる隠し要素を解き明かしていくのも、Noitaの楽しみのひとつである。
Crayon Physics Deluxe / The Swapper / baba_is_you(いずれもNolla Gamesメンバーの過去作)