victoria3とは、1836年から1936年までの帝国主義全盛の世を舞台とした、paradox interactive社が提供する戦略ストラテジー/経済シミュレーションゲームである。(現在PC及びsteam deckなどの類似の機器でのみプレイ可能)
今作は同社が2003年にリリースした「victoria」の第三作であり、また第二作から12年の時を経てリリースされた待望作でもある。
特徴
本作は同じくparadox社(以後はパラドと省略する)が提供する歴史ストラテジーゲームのうちの1つで、同じくパラドが提供するEuropa Universalisシリーズ(通称EU4)とHearts of ironシリーズ(通称hoi4)との間の時代、1836年から1935年の晩年までの間を舞台としている。
Crusader Kingsシリーズ(通称CK3)が人物、EU4が外交と征服、hoi4が総力戦の再現に重きをおいているゲームとするならば、ここに挙げたすべてのゲームよりも経済に対する重きが非常に大きい。
つまるところ、victoria3とは内政ゲーなのである。
しかし他のパラドゲーと同じく戦争や外交などの要素もいい感じの塩梅で盛り込まれている……のだが、大規模な戦争をしたいのならばまずはその戦争に耐えられる経済をプレイヤー自身が構築しなければならないのが本作の醍醐味である。
このゲームには一応列強ランキングというものが存在しているが、プレイヤーは必ずしもこのランキングの上位に入らなければならないというわけではない。
プレイヤーのプレイスタイルとしては、順当にランキング上位を目指したり、戦争をせずに平和な経済大国を築いたり、国民の生活を保護して地球上の楽園を目指すのも乙だ。
ナポレオン3世や明治天皇、ビスマルクなどのこの時代独自の史実人物と共にロールプレイに没頭するのも良いだろう。
このようにvictoriaの時代という箱庭の中で自由に遊べるのがこのゲームの面白いところなのだが、時は帝国主義最盛の世。
イギリスやフランス、ロシアなどの帝国主義者たちがプレイヤーの領土を掠め取るのを今か今かとタイミングをうかがっているかもしれない。
そこの駆け引きやスリル、防衛、外交を楽しむのもこのゲームの醍醐味のうちの1つだ。
さあ、画面の前のあなたもvictoria3の世界へのめりこもう!
基本的なゲームの流れ
とは言っても、ここの章ではそうだらだらと述べるつもりはない。
あくまで軽く、だ。
ゲームを起動したら、まずはプレイする国家を決めよう。
どこの国で遊ぶか、というのも面白いが、何をして遊ぶかはもっと重要だ。
軍事国家を樹立するのか、はたまた自由で平等な国家を建設するのか。利益がすべての金権主義で金にがめつい国家も面白そうだ。
そうやってプレイする前に、自分の国の将来を思い描くのもまた一興だ。
この時にやりたいことに迷ったなら、パラドが用意してくれた目標に沿ってプレイするのも良いだろう。初期だと覇権主義、平等主義、経済覇権の3つに加え、「ゲームを学ぶ」を選択すればパラドゲーにしては珍しくかなり懇切丁寧にチュートリアルをしてくれる。
おっと、もしあなたがDLC「sphere of influence」を購入しているのなら「グレート・ゲーム」の目標は選ばないことをおすすめする。
こちらはかなり難易度が高いので、ゲームに慣れてからの方が楽しく遊べるだろう。
プレイする国家を決めたら、まずは初期内政だ。
建築、研究、外交、できるなら制定したい法案の審議もしておいたほうがいいだろう。この4つはゲームを進めるうえでもずっと行い続けることとなる。
初期の内政が済んだらゲーム開始だ。
建築が終わったら追加の建築を発注し、研究が終わったら次の研究を指示する。
もし制定している法案やイベントが原因で、利益集団の機嫌を損ねてしまったのなら、それを宥めてやるのもプレイヤーの役目だ。
外交の進展具合によっては経済的結束を強化する貿易協定、軍事的互恵関係を得ることのできる防衛協定や同盟も選択肢に入るだろう。
そして、いつの時代も人口は国力の源泉だ。
現代社会で中国やインドが強力だと言われている理由も、日本の高度経済成長期を支えたのも豊富な人口が源だ。
出生政策や国民皆保険を整備し、将来に備えて人口成長を伸ばそう。
移民を入れるというのも手かもしれないが、彼らのことをよく思わない差別主義者たちから反感を買うかもしれない。
もし研究の中に有用そうなものがあったのなら、どんどん国家へ取り入れていこう。
富裕層への課税を強化する比例課税法や、鉱石の採掘効率を上げる復水機関ポンプ、物資や人員の輸送可能量を増やす産業革命時代の申し子である鉄道など、多彩な研究成果を用いて国を近代化させていこう。
なんだって?
あなたが制定したい法律に反対する勢力が革命を画策しているだって?
一番簡単な方法はその法律制定をやめることだが、それでは面白くない。
あの手この手で懐柔して無理やり法案を通過させたり、あえて革命を起こさせて軍事力で叩き潰すのも手だろう。
強力な同盟国がいるならその選択もありだが、代わりに国土は荒れ果て、国の経済は調子を崩す。
反対勢力を潰すための諸刃の剣であるが、どちらが良いと思うかはあなた次第だろう。
研究が進んでくると、ゴムや硫黄、石油などの封建社会では名前すら聞かないような物資を要求されるだろう。
あなたの国の中にそれがあるのならそれを開発すればいいが、無いならば苦肉の策で他国から輸入しよう。
しかし、それでは他国ばかりが儲かって面白くない……おや、海の向こうの弱小国がその物資を持っているだって?
なら、軍事力に物を言わせて強奪しよう!
安心してくれ、現代なら国際社会はこんな蛮行を許さないが、この時代ではむしろ国際社会がそれを奨励するほどだ。何も案ずることはない。
あなたの国家に直接編入するか、現地国家を隷属させて間接統治にするかはあなた次第だ。
しかし、各国がそれを許すかは別だ。
もしかしたら、他国がその土地を狙っていたのにもかかわらずあなたが先に手をつけてしまったのなら。その国は不服に思い、もしかしたらあなたに対して軍事力を行使しようとしてくるかもしれない。
そんな時は今までの外交成果を発揮するときだ。
同盟国を呼んでみたり、それでも足りないのなら強力な国家にそれなりの代償を出してこちらについてもらうのも手だろう。
そんなこんなで100年が経過する頃には、あなたの国はどうなっているだろうか?
ゲーム開始前に思い描いた姿と比べてどうだろうか?
思い描いた通りの軍事国家となって周辺国を席巻しているかもしれない。
自由で平等、平和な国を作るつもりが、度重なる侵略者を撃退するために抑圧的で超軍事偏重な国家になっているかもしれない。
お金がすべての国をゲーム終了直前まで維持していたけれど、ゲーム終了直前になって不満を爆発させた労働者たちに革命ですべてをひっくり返されたかもしれない。
思い通りの国を作れたのなら成功だ。
次はもっと他のプレイをしてみるのもいいかもしれないし、そのプレイスタイルを研鑽するのも手だ。
思い描いた国を作れなかったとしても、結果として楽しかったのならOKだ。
しかし、楽しくなかったのなら話は別だ。
今回の反省点を洗い出したり、素直にネット上の情報を読み漁ったり、discordなどのコミュニティで改善点を聞き出したりして自分が楽しいと思えるまでプレイするといいだろう。
さて、こんなことをやっているうちに次のプレイスタイルが思い浮かんできただろう。
そうしたらまた1836年、ゲームを開始したあの日に巻き戻って再スタートだ。
victoriaは、そう簡単にあなたのことを逃がしてはくれない。
ゲームシステム
さて、ここからはゲームの具体的な内容について話していこう。
とはいっても具体的な数値のあれこれに関して話しても疲れるだけなので、初心者の人でもある程度理解できるように話していくつもりだ。
では参ろう!
POP
POPはこのゲームの根幹を成す要素のうちの1つだ。
今後解説する要素全てに(冗談抜きで)このPOPが関わってくる。
POPとは、populationの略称。つまり、国民だ。
victoria的に言うなら、我々日本人は日本という国のPOPということになる。
当たり前だが、国家元首一人に国家の運営は務まらない。
物をつくる人、物を運ぶ人、物や人を管理する人、国や人を守る人、サービスや芸術を提供する人など、国家とは多種多様な人々で成り立っている。
であるなら、ここから解説していくのが一番手っ取り早いだろう。
職業
POPにはまずいくつかの職業というのが割り当てられており、さらにその職業たちも下層階級、中産階級、上流階級の3つに分割することができる。
ざっと書き記すとこうだ。
・上流階級
資本家 貴族
・中産階級
商店主 学者 聖職者 公務員 技師 学者 農家 士官
・下層階級
労働者 百姓 機械工 事務員 奴隷 兵士
ややこしい部分を説明しよう。
まずは百姓と農家の違いだ。
こいつらの最大の違いは、「物を売って生計を建てているか」という違いだ。
百姓もごく少数の物を売っているが、農家の足元にも及ばない。
また、農家は自分の土地を持っているため、自分の土地の畑で利益が上がれば畑の拡大のために資金を投じることもしばしばである。
次に労働者、機械工、技師だ。
労働者は文字すら読めない単純労働者が大半だ。俗に言うお刺身たんぽぽはここにあたる。
対して機械工は文字が読めてある程度の専門知識は理解しているものの、それでも収入的には下層階級の域を出ない者たちだ。
そして技師は現代的な感覚で言うなら高等な国家試験を修めた専門家で、それ相応の収入を受け取る専門家だ。
この三者はそれぞれ雇われの身ということには違いないが、労働者や機械工は労働環境の改善を求めて労働組合に入るのに対して、技師はすでに経済的に満たされているのでそういったことに興味を示さずに民族主義運動などに身を投じることがしばしばである。
生活水準
これは職業に通ずる話がある分野だ。
いろいろな要因が重なって決まるのだが、それを決定するほとんどの要素は収入だ。
資本家は潤沢な収入で贅沢な服や料理を毎日湯水のように消費しているのに対して、労働者はその日食べる食事にありつくのも精一杯で、中には労働者にすらなれずに道端で失業者になってしまい、そのまま野垂れ死んでいる貧民がいることもしばしばである。
ならば雇用を生み出して失業を解決し、更には富める者から徴税して貧なる者に再分配してやろう。労働者を保護して最低賃金を制定してやるのも手かもしれない。
そうすれば自然と国の生活水準は上がっていくのだが、労働力そのものが枯渇してこれば資本家そのものが労働力の確保のために賃金を上げるという手段に及ぶだろう。
収入を増やすのも大切だが、商品の価格を下げるのも適切だろう。
穀物や食料の価格を下げてやり、服の値段も工場をいっぱい建てて下げよう。
肉や果物などの高級食品を激安価格に下げてやれば更に生活水準はあがるかもしれない。
経済
経済はこのゲームの根幹だ。
軍を組織するにも、福祉を充実させるにも、はたまた法律を制定したり学校教育を充実させる、とにかく何をするにもこのゲームでは金が要る。
経済をうまく回せればそれだけプレイヤーが自由に使える金が増えるが、逆にそれができないのならプレイヤーは相当な不自由を強いられるだろう。
そんな経済をいくつかの項目に分けるなら、「国庫収入」「再投資」「施設」
一旦切り上げ。また更新します。