概要
元々の意味はゲーム、競技、勝負をすることだが、「ゲーム用の」という意味で形容詞的にも用いられる。
たとえば「ゲーミングPC」「ゲーミングスマホ」、「ゲーミングデバイス」といった、主にコンピューターゲームのプレイに特化した機器や用具を指す時に「ゲーミング」と頭につける形で使われている。
最初からゲーム用に製作されているゲーム機や専用の周辺機器についてはそう呼ばれることはなく、あくまで本来はゲーム以外の用途が基本である機器のことを指す。
前史・ゲーミングデバイス
おおむね1990年代後半からパソコンが普及するようになり、パソコンでゲームをするのも当たり前になっているが、一般向けのキーボードやマウス、またモニタは、原価や製造工程などの関係で、ゲームプレイにおいて様々な制約がある製品がほとんどである。
例えば
- 入力の読み取り間隔が長く、細かい動きが読み取れない
- 読み取りの感度が安定せず予期せぬ動作をする
- 同時押しに反応するキーが少ない
- キーボード側でキーボードマクロ(予め決められた動作を実行するショートカットキー)の設定ができない、もしくは設定が煩雑である
- 連打や大きな動きの読み取りが苦手
- 全体的に耐久性が低く、激しい長時間のプレイに絶えられない
- モニターの画面表示速度、切替速度が低く残像が大きい、画質設定の幅が狭い
等が挙げられる。
これらは一般的なビジネスやカジュアルな趣味の用途では問題にならないが、ゲーム、特にFPSや格闘ゲームのネット対戦など、ミリ秒を争うゲームの場合にはスペック不足を招くことがある。
ネット対戦で少しでも優位に立つため、高スペックを備えた周辺機器の需要が生まれた。
当初は普通の市販品の中からゲームプレイに適したデザインや性能を備えたものが「ゲーム向け」として口コミで広がったり宣伝されたりした(インテリマウスやRealForceなど)が、2000年あたりから明確にゲーム向けを謳う「ゲーミングデバイス」が登場しはじめた。
特殊な素材や構造などが使われることから、一般的なデバイスより高価だが、そのぶんゲーム以外でも役に立つことが多く「ゲームはあまりやらないがゲーミングデバイスを愛用する」というユーザーも一定層いる。
たとえば先述のRealForce(東プレ)は、高度な事務作業に適した業務用ハイグレードキーボードをコンシューマ向けに展開しているブランドであり、ゲーマーはもちろんエンジニアやライターなどにも広く支持されている。
もちろんパソコンやスマートフォンのような本体についても「ゲーミング」という表現は用いられている。
パソコンの場合重い動作も楽に処理できる高性能のCPUや容量の多いメモリ、映像表現に特化した専用のグラフィックボード、優れた排熱機構、それらのパーツに安定した電力供給を行える電源ユニットなどが搭載されたものを「ゲーミング」とする事が多く、同じように映像や処理速度が重要視されるクリエイティブ系やFX・デイトレードなどの現場でも用いられている。
ゲーミング〇〇
eスポーツ、プロゲーマーといったものの知名度が高まってくるにつれ、上記のようなPC・スマートフォンや、キーボード・マウス、高速通信を可能とするLANインタフェースやネットワークルーターといったゲームに直接関わるものだけでなく、快適なゲームプレイのためのゲーミングチェアや座布団、ゲーム内の効果音などに特化したチューニングを施されたゲーミングヘッドホン(ヘッドセット)、眩しい光の調節やヘッドセットとの併用に対応したゲーミングメガネなどといった、様々なアイテムが生産されるようになっていった。
中には箸やらクレジットカードやら「ゲーム専用である必要があるのか?」と疑問を持ってしまうようなアイテムまで「ゲーミング化」しており、SNSにも架空のゲーミングアイテムの画像がネタとして数多く投稿されている。
恐らくブームの火付け役になったのはTwitterに投稿されたゲーミングトイレ(外部リンク)だろう。
実際に発売されている「ゲーミング」を謳うアイテムは、以下の特徴を持つことが多い。
- 無駄に発光する(虹色に発光するとよりゲーミング感が高まる。中には「意味もなく虹色に光る」ことそのものを「ゲーミング」と呼ぶ人すらいる)
- 本体は黒を主体としたカラー
- 丸みが少なく、ゴテゴテと角張った形状
- ぱっと見たとき用途不明なボタンを多数搭載(実際にはユーザーが任意の機能を割り当てられたりする)
ちなみに光っているのにも一応歴史的経緯があり、1990年後半あたりから始まった「LANパーティ」と言う、PCを持ち寄ってネットワーク対戦ゲームをやるイベントの会場における自己主張が起源と言われている。
LANパーティの会場はディスプレイが見やすいように全体的に暗くされており、キーボードやマウスを見やすくすると同時に、大量のPCが並ぶ会場の中で自分のPCを主張するために光るようになったらしい。
当初は単色で明滅するぐらいがせいぜいだったが、RGB LEDが安価に調達できるようになるとゲーミングデバイスもフルカラー化が進み、虹色に輝くデバイスが現れるようになったという。
2020年代のeスポーツイベントでも同じく薄暗い会場に光り輝くPCをプレイヤーが持ち込む、という形式が取られており、メーカーによってはPC本体と周辺機器の光り方や色を一括で管理できるシステムが導入されている(DELLなど)。