ここでは艦隊これくしょんに登場する扶桑型について取り扱う。
史実での扶桑型については「扶桑型戦艦」を参照のこと。
概要
大日本帝国海軍の戦艦の艦級「扶桑型」をモチーフとする戦艦娘。
自他ともに認める欠陥戦艦だが、幸か不幸かゲーム内ではそこまで忠実に再現できないため、特に火力面では戦艦として遺憾無い性能を発揮してくれる。しかも戦艦の中でもっともレアリティーが低くドロップ海域も広いため、扶桑型が初めての戦艦という提督も少なくないはず。
だが残念ながらその性能は同じ戦艦娘の中ではお世辞にも高いとは言えない。
扶桑型の欠点を改良し再設計された伊勢型には、全てのステータスにおいて同等以下と完敗を喫している上、改造レベルでもこちらがLv20なのに対し、伊勢型はLv10である。さらに燃費に関しても戦艦の中でもっとも弾薬消費量が少ないというのも、伊勢型と同じである。
つまり、愛着が無い限りは伊勢型でいい。
せめて改造レベルが扶桑型Lv10・伊勢型Lv20であれば改二追加前の五十鈴同様即戦力としてのポジションを確立できたと思うのだが…。
しかし大事なことなのでもう一度言うが、扶桑型は現在のところ戦艦で唯一の銀レアであるため、入手難易度は他の戦艦に比べ低い。
また改装も実は伊勢型よりは遅く大和型・長門型・金剛型よりは早い(これらはLv25)というのが実はミソだったりする。
現状のバランスでは最初にぶち当たる2-4まででそれほど苦労することなく上げられるのがLv20前後となる。ここから先はとくに資材をガンガン消費する戦艦や正規空母にとっては結構なイバラの道だったりする。
ところが航空戦艦組は改装によって火力が一時的に落ちるため、下手にLv10でとっとと改装してしまうと火力が確保できずデイリー消化に使う2-2や2-3で苦しくなりこれまた辛いことになったりする。
もちろん伊勢型をLv20まで改装しないという手段もあるにはあるのだが……。
とは言え、米帝プレイに手を出していない限りは扶桑型も伊勢型も入手次第育てておくのが吉。
というのも、単純な戦闘回数の多い2-4突破には艦隊の継戦能力も問われるため戦艦が3隻程度はないと厳しいからだ。
金剛型は4隻とも金レアの上に前述のとおり改装レベルが扶桑型よりさらに上のため、3隻以上をLv25まで上げるとなると結構厳しいものがある。
一方でレベリングを考えると赤城・加賀・翔鶴型をお供につけるとこれまた消費が著しい。経済的な運用を考えると飛鷹型や鳳翔の活用は必須になる。飛鷹型と鳳翔は、空母でありながら低速であるため扶桑型伊勢型が足を引っ張ってしまうことにならないのである。
余談だが、南洋諸島以降の殆どのマップで道中・ボス問わずに入手が可能で、近代化改修で上げられる能力も戦艦相応に高い(解体で得る資材も前半海域では破格)ため、2-4の下準備の改造・改修のためにはどれだけ重複しても困らないという低レアリティであるが故の強みも持っている。
航空戦艦として
改造することによって史実では実現されなかった航空戦艦に改装することができる。
これによって売りだった火力は下がるが、それ以外のステータスが上昇し、水上機運用能力を得る。初期装備の零式水上偵察機では軽い索敵くらいしかできないが、瑞雲に載せ替えることによって今までの戦艦にできなかった開幕爆撃・制空権確保の補助・対潜攻撃が可能になるなど、圧倒的汎用性を得るのが魅力。
史実の伊勢型航空戦艦は搭載機の配備遅れもあって結果的に失敗したが、艦これではそういった問題もなく、それどころか「汎用性と生産性に優れた瑞雲」や「爆撃特化の試製晴嵐」や「対潜特化のカ号観測機」や「索敵・命中特化の零式水上観測機」など、艦載機バリエーションによって装備さえちゃんと整えればあらゆる戦局に対応可能となった。
逆に言えばちゃんと運用するにはマップに対して装備を吟味する必要があるなど、運用難易度が上がっている。
更に制空権の確保だけは単艦では難しいため、上記のように水上機を運用する場合は出来るだけ制空権確保を可能とする空母とのセット運用が理想的である。戦艦特有の砲撃戦が2回になる特性も空母と相性が良い。
また瑞雲・試製晴嵐・カ号観測機装備時は軽巡や駆逐艦同様に潜水艦を優先的に狙う特性が発生してしまうため、潜水艦オンリーの艦隊を相手取る場合は問題ないが、潜水艦を含む艦隊を相手取る場合は肝心の戦艦の高い砲撃能力を活かせなくなるため、水上機を零偵や零観などの攻撃を行わない機種に差し替えたり、電探や砲弾や対空砲を積んだほうが活躍できるなど、注意が必要である。
ちなみに、扶桑型は航空戦艦に改装することで運がなんと2倍になる。
とはいえ、5→10なので人並みの運になるだけだが。
まるゆを近代化改修の素材に使うことで運を上げることも可能だが、それでも平均値の59止まりである。
(航空戦艦に改造する前はもっと酷く、39が最大値。これは大鳳も同じ)
しかし、2014年4月23日の大型アップデートでついに不遇不幸の汚名は返上された。
このアップデートから水上機を搭載している巡洋艦以上の戦闘艦は昼間戦でもカットイン攻撃・連撃が出せるようになったのである。
発動は水上機の数と偵察値に依存するようで(まだ要検証)、地の偵察値の高い大和型以外のほとんどの戦艦に優位に立てるほどのダメージソースになった。特に他の艦は最高でも水上観測機であるため、装備欄が実質一つ犠牲になっているのに対し、扶桑型は水上爆撃機を搭載できるために無駄と隙が少ないのである。また瑞雲系搭載ならば敵空母が居ない場合、単艦で制空権確保も難しくないのも大きな特徴の一つだといえる。
伊勢型が完全上位互換なのは相変わらずだが、長門型とは別の大きな価値を見いだせたのは大出世と言っていいだろう。
ただ制空権の奪取が必須なので、敵に空母がいる場合はこちらも空母の支援が必要だが、空母の支援がないと逆に敵に着弾観測攻撃を仕掛けられてしまう。そのため、扶桑型・伊勢型はもちろん、他の戦艦たちも空母の手助けが必須となる。
航空戦艦の時代が来た…と思われた矢先、夏イベ直前の7月28日におけるアップデートで一種の不安要素とも言えるシステム改変がなされた。
戦艦において、各艦級にフィットする主砲とそうでない主砲が差別化されるようになったのである。具体的に言うと、フィットする主砲は戦闘での命中率が上がり、フィットしない主砲は戦闘での命中率が下がるというものである。
どの戦艦にとってどの主砲が最適であるか運営はあえて明言しておらず、現在検証が進められている。ただ、言えるのは、「最適の主砲は史実で実際に搭載していた主砲に限られるのでは?」という説が上がっている点だ。扶桑型は史実では36.5cm連装砲しか積んでいない、すなわち、それよりサイズの大きい主砲(41cm、46cm)を積むと命中率が下がるかもしれないという疑念が湧いて出てきたのだ。
元々火力が戦艦の中では低めとは言え、41cmや46cmを積むことでそれをカバーできていた今までと違い、火力の底上げのためには命中率を犠牲にしなければならない可能性が出てきた。一方、命中率を確保するためには火力の低下は避けられないというジレンマである。
…ただ、運営の公式アナウンスによれば、主砲一つ一つの命中率補正はあまり大きな変化ではないとのことである。が、その一方、過大過重量な砲を大量に積載すると一定の差が生じてくるとも言っている。どの主砲をどれだけ積んだら過積載になるかはこれまた運営は明言を避けているため、ユーザー間で様々な憶測が飛び交っている。
もちろん、扶桑型だけでなく、高速戦艦の金剛型や同じ航空戦艦の伊勢型も同様の不安要素を抱えることとなった。ただし、金剛型は、同時に「高速戦艦に徹甲弾装備可能」という、かつて低速戦艦だけに許されていた特権を獲得したし、今回の要素を含めても依然として伊勢型が扶桑型の上位互換であることに変わりはない。扶桑型の明日はどっちだ。
…と、今までは戦艦勢の中にあってかなり微妙な立場に立たされていたのだが…
改二実装
2014年10月11日、後の10月14日、「戦艦姉妹のネームシップより順次」という言葉で姉妹両方の改二が実装される事が明かされる。先に扶桑改二が実装されると判明。
その翌日、10月24日に実装されることが予告された。
70年前のこの日、シブヤン海海戦があり(武蔵が沈んでおり、若葉も別海戦にて沈没)、翌日25日にはエンガノ岬沖(瑞鶴、瑞鳳、千歳、千代田、多摩沈没)、サマール島沖(鈴谷、筑摩、鳥海轟沈)、そして、彼女にとって運命のスリガオ海峡海戦があった。
そして10月24日、扶桑改二が実装。長門型に匹敵する火力を引っ提げて生まれ変わった。
今まで微妙だった諸所の問題点が改良され、非常に使い勝手のいい艦に仕上がっている。
山城の方も11月20日に山城改二が実装された。性能は姉と若干の差異はあるもののほぼ同じで噴進砲の代わりに探照灯(低速戦艦では初、なお実装と同時に大和型などの他の低速戦艦も探照灯の装備が可能に)を持ってくるのが大きな違いである。
扶桑、山城の双方に改二実装で戦艦娘では2番目となる姉妹艦全艦改二となった。
外見
外見での共通点としては巫女のような服装と艦橋を模したような髪飾り、黒髪で巨乳。
詳しく言うと上は赤装飾の入った巫女のようなノースリーブの和服。腹部には見えにくいが赤いラインの入った黒い帯を巻いている。振り袖は二の腕で艤装で固定されており、脇と肩が完全に露出している。
下は紅色のミニスカート。和服をスカートの外に出しているので、上部がどうなっているかは不明。
また脹脛の片方だけ、腹巻きのような赤い布が巻かれている。
最大の特徴としては背中に背負った4基のとにかく巨大な艤装であろう。純国産の超弩級戦艦であり、またどこからどう見ても違法建築にしか見えないような艦橋になってしまった彼女たちの特徴をよく表していると言える。
これは背中を覆い隠すほどの幅広の基部から階段状の台座が左右に伸び、その上に乗っている形となる。ちなみに姉妹で微妙に砲塔の位置が違うため、これが艤装のデザインの違いなのか、またはアジックアームのようなものでフレキシブルに動くのかは不明。どちらにしろ重心がヤバイ。
ほかには両膝と両二の腕と腹部に巻くようなゴテゴテしたデザインの艤装が取り付けられている。両膝はプロテクター、二の腕は振り袖固定用、腹部は艤装固定用であり、武装などは施されていない。
また頭部には「違法建築」として親しまれる艦橋を意識した髪飾りが塔のようにそそり立っている。この髪飾りと膝の艤装には金色のビラ状の飾りが付いている。
足には黒塗りに赤紐の草履型の主機を装備している。
航空戦艦に改装すると手持ち式の盾のような航空甲板が追加され、逆に背中の主砲が一基撤去されている。
改二では、砲塔の配置が伊勢型のように扇状に変更され、砲塔も41cm連装・三連装砲へとパワーアップしている(これは、1922年に艦政本部が提出した、扶桑型戦艦の改装案が元になっているため)。ちなみに三連装砲の天蓋には、単装及び三連装の対空機銃が装備されている。加えて飛行甲板は最上型と同型のものになっている。
姉妹で同じようなデザインだが、実は髪飾りや脹脛の巻物の位置が左右対称になっているのも、一つの特徴である。
性格
扶桑は憂いを帯びた前向き。山城はハキハキとした後ろ向き。服装と同じく対になっている。
(勘違いされがちだが、山城のイメージに引っ張られているだけで扶桑は一言も不幸を嘆いていない。)
扶桑の第三砲塔が前向き、山城のが後ろ向きなのが関係しているかもしれない。
…爆発したり性格を決めたり、第三砲塔とはいったいなんなのか。
姉の物憂さと妹の不幸嘆訴から付けられたあだ名は不幸姉妹。
散々な評価をされている彼女たちではあるが、誤報で雷撃処分やら謎の爆発やらと、実は他の戦艦娘も不幸を抱えていたりする。
そもそもWWⅡ時には戦艦が大活躍する時代が終わっていたので、割とみんな不幸かも。
派生作品における扶桑型
金剛型や長門型に比べると印象が薄いようなイメージがあるが、数少ない戦艦娘の一員なので、それなりに登場数は多い。
「艦これRPG」では、リプレイ「空はあんなに青いのに」で姉妹揃って登場。姉妹と満潮の3隻で艦隊を組む。旗艦が山城なのは、こっそりと仕込まれた史実ネタなのだろうか。
そして、鎮守府「栄光なき極楽泊地」は所属艦娘が3隻だけでワカメ加工が主な任務だったり、幸宮チノ演じるチノ提督が女性なのに憲兵さんこっちです系だったり、第1話で山城が轟沈したり(「艦これRPG」では轟沈直後に回収のラストチャンスがあり、成功して事なきを得たが)、第2話ラストで鎮守府が解散されたり、色々と不幸が待ち受けていた。
アニメでは、登場していないだけならまだしも、吹雪の憧れの対象を赤城に奪われている。こちらでも不幸。
艦娘
扶桑
憂いを帯びた一番艦。なにかと自虐ネタが多く、他の戦艦娘を羨んでいる一方、対抗意識を燃やしている。さり気なく艤装ネタを用意しては、周囲の反応を楽しむお茶目な面もある。
山城
シスコンな二番艦。どこぞの主人公のように「不幸だ」が口癖。実は姉より活躍の機会が多かったのは内緒。反骨心旺盛だが、浮き沈みが激しい。