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クフィルの編集履歴

2016-05-14 23:55:44 バージョン

クフィル

くふぃる

ミラージュⅢの設計にアメリカのJ-79エンジンを組み合わせた戦闘機。元はミラージュ50が生産されるはずだったが、諸般の事情でダメになった代わりにスパイ行為で設計図を揃えた。そうして完成したのが「ネシェル」で、クフィルは改良発展型にあたる。

鷲から若獅子へ

1967年、第三次中東戦争が勃発。

この戦争は戦争への動きをくみ取ったイスラエルが開戦直前に先制攻撃したものである。


当然ながら『戦争は仕掛けた方が悪い』と決まっており、イスラエルは国際的な非難を浴びる事になった。一応、イスラエルの側では「自衛の為の予防攻撃である」と主張していたが、「戦争後は国土が4倍に広がった」とあっては、まともに聞く者は少なかった。


主だった戦闘はわずか1週間で終わったが、その後は主力を失ったアラブ連合と、イスラエルの間で2年間も戦闘が続いた。これには世界中の国が非難を注ぎ、中でも兵器の主な輸入先であったフランスの対応は痛かった。新型戦闘機の輸入を止められてしまったのだ。(ミラージュ50の禁輸)


替わってライセンス生産契約が結ばれる事になったが、これも諸般の事情でエンジンだけが生産出来ないことになってしまう。そこでイスラエルが採った方策が、『スパイ機関(モサド)によるエンジン設計図の入手』である。


かくしてスイスからエンジン設計図を手に入れ、ミラージュは生産されることになった。これが『ネシェル戦闘機』で、鷲の意味がある。実戦配備されるころにはアメリカからF-4も導入され、とくに搭載されていたJ79エンジンが高性能だったので、ネシェルにも導入する事が検討された。


これがサルボ・ラーム・バラクといった各試作機で、開発は第四次中東戦争中に行われている。

クフィルとして完成し、実戦配備されたのは終結後となった。このクフィルとは若獅子を意味するヘブライ語である。


クフィルの特徴

基本的にはミラージュⅢと同様の機体であり、主にエンジンや電子機器を換装している点が違う。


最初の型であるクフィルC1は試作機・初期生産型であり、

とくに目立つのはJ79ターボジェットエンジン搭載の為に太くされた後部胴体である。機首も電子機器を総入れ替えしてシンプルにしたので細くなっている。このような特徴は以下の各型にも共通する点で、ミラージュⅢとの相違点でもある。


のちに着脱式のカナードが追加され、離着陸性能が大きく改善された。

レーダーを装備しないので、戦闘機とは言いながらも事実上は戦闘爆撃機攻撃機といったところである。


クフィルC1

生産初期の試作機、初期生産型。

大体は以上のとおりだが、後述のクフィルC2と違ってカナードを装備できない。


F-21A「ライオン」

アメリカ海軍海兵隊に貸与された機体。

「アドバーサリー部隊の仮想敵機」として使われ、主にMiG-21を想定して空戦訓練を行なった。クフィルC1と違い、こちらは小型に切り詰めたカナード(というよりストレーキに近い)を装備している。


クフィルC2

C1に続く生産型。

機首にはレーダーを装備せず、レーザー測距装置を収めている。この型から空気取り入れ口の後ろに『着脱式カナード』を装備できるようになった。これにより離着陸性能は大きく改善され、着脱式とはいいながらも外すことは無くなった。


クフィルTC2

クフィルC2の複座練習機型。機首を延長して教官席を追加している。


クフィルC7

クフィルC2から切り替えられた型。のちにC2もC7仕様に改修され、資料によってはごっちゃになっている。

コロンビア空軍への輸出機はC2だが、中身はC7仕様である)


電子機器が新しいものに交換され、エンジンは数分間だけ5%増しの出力を出せる『コンバット・プラス』仕様になった。主翼の付け根にもパイロンが2つ追加され、コクピットにもHOTASが取り入れられた仕様になった。

(HOTAS:Hands On Throttle-And-Stick)


クフィルTC2

同じく練習機型。

TC2を近代化したもの。


クフィルC10

別名『クフィル2000』。南アフリカのミラージュⅢ改め「チーター」に似ている。

(技術的にも繋がりがあるので当然か)


本格的なレーダーが導入されたおかげでレーダー誘導ミサイルを使えるようになり、これで戦闘機としても立派に活躍できるようになった。コクピットは更に近代化され、ついにグラスコクピットを導入。エクアドルコロンビアのクフィルもこの改修を受けた。


映画出演

といっても、イスラエル空軍で活躍するクフィルを扱ったものではなく、MiG-21の代わりとして「アイアンイーグル」(1:アイアンイーグル、2:メタルブルー)シリーズに登場したもの。確かにデルタ翼なのは共通だが、それを言うならF-16のほうが・・・いや、そもそも「イーグル」のくせにF-15出てないし。


このシリーズはアメリカ映画ではあるが、実際にはイスラエルで撮影されており、登場する機材もイスラエル空軍の所属機となっている。なのでF-16も砂漠迷彩に塗装(もちろんアメリカ空軍では制式ではない)され、クフィルはパロディなんだか自虐なんだがよく分からない、なんかもう投げやりな国籍マーク(六芒星を五芒星に変えて周囲を赤くしただけ。イスラエルは悪役の自覚でもあるのだろうか)をつけている。


嫌な予感がしてきたかもしれないが、内容は確かに複座だったはずがいきなり単座になってたり、さっきまであったパイロン(&兵装)が突然消えたり、無かったはずのミサイルが発射されてたり、明らかにマスターアーム入れてないくせにミサイルが(しかも地上滑走中に)発射されたりと、映画の細部は「極めて大らか」であり、常識的に表現すればムチャクチャともいう。

ただHUDの表示そのものは本物っぽいのだが、これも何故かコクピットのCRTに表示されている。


登場するF-16は垂直尾翼の付根が短いのでA/B型(撮影は80年代だから当たり前か)、MiG-21(役)も垂直尾翼にエンジン冷却用の空気取り入れ口があるのでミラージュⅢではなく、クフィルである。そもそもミラージュはカナードなんか付けてないし。


また、メタルブルーは何気にF-4(MiG-29役だが、さすがに色々と酷いような)がしれっと登場しており、知られざるF-4映画と言えないこともない、かもしれない(?)

F-4の活躍といえばやはりベトナム戦争だが、ベトナム戦争は空軍にとっても黒歴史らしく、映画にはやはり乏しい。まあF-105MiG-17にすら撃墜されていれば当然か。強いて言うなら「フォレスト・ガンプ」でロケット弾を撃ち込まれかけたシーン位だろうか。しかしこれもどちらかというと陸軍映画で、そういえばベトナム戦争は「地獄の黙示録」といい「プラトーン」といい陸軍ばかりである。

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