概要
瑞雲とは、太平洋戦争時に旧大日本帝国海軍で運用されていた水上偵察機である。
名前の由来は大気現象の「彩雲」の別名:瑞雲から。生産は愛知航空機。
水上偵察機というが、本機は海軍によって偵察機+爆撃機をコンセプトに開発、運用されていた機体である。
太平洋戦争時、海軍は航空戦力不足に悩まされていた為、空母でなくとも巡洋艦クラスに搭載可能な水上機を攻撃機・爆撃機として運用することを求め、瑞雲の開発は企画されたという。
実際に航空戦艦に改装された「日向」「伊勢」にも搭載が企画されたが、配備された第634航空隊の転出等があり、両艦とも航空戦艦としての実戦参加は果たせなかった。
開発史
1940年(昭和15年)2月に海軍から愛知航空機に試作指示が出されたが、その要望スペックが「最大速度463km/h以上、最大航続力2,500km以上、格闘性能良好で急降下爆撃が可能」というかなりのムチャぶりであった。(零戦開発時にも海軍は当時にしてはむちゃくちゃなスペックを要求している)愛知航空機ではこの要求に答えるべく、十四試二座水上偵察機(1941年(昭和16年)に十六試水上偵察機と改称)の開発を開始。1942年(昭和17年)3月に試作1号機が完成。性能試験の結果採用が内定し、その後の実用試験を経て1943年(昭和18年)8月に瑞雲11型として晴れて制式採用された。 総生産数は約220機。
性能
海軍の要求通りに急降下爆撃機としての機能を備えており、60kg爆弾を2発または250kg爆弾を1発搭載し、投下する性能を有した。また、急降下爆撃用にダイブブレーキを付けたり、空中戦も想定してか従来の急降下爆撃機には付けられた前例のない空戦フラップを搭載するなど万能機として完成し、当時の水上機としては性能面・攻撃面共に傑作と言える性能を有していた。
ただし太平洋戦争中に建造された水上機全般に言えることだが、フロートがあることでの致命的欠陥を機体に抱えていた。瑞雲の場合はダイブブレーキを使用するとフロートがもげ機体全てが壊れるというもので、1944年8月、訓練中の瑞雲が空中分解する事故が相次いだことで発覚した。至急対策が施されることとなったが、このための改修で配備計画の遅延、稼働率の大幅な低下が終戦まで続くことになった。
活躍
1944年(昭和19年)の春から部隊配属が開始され、フィリピン方面での夜間爆撃等に使用されており、それなりの戦果を挙げている。
また、大戦末期には第634航空隊で運用され、フィリピン・沖縄方面で偵察・夜襲・襲撃任務などに従事し、大戦末期の劣勢の中では特攻によらない通常攻撃で一定の戦果を挙げた数少ない事例となっている。
『艦隊これくしょん』の瑞雲
DMM.comのブラウザゲーム『艦隊これくしょん』では、水上機母艦や航空戦艦、航空巡洋艦などに搭載可能な装備機体として登場。
搭載する事で索敵・開幕時の航空戦・爆撃・対潜攻撃が行えるようになる。
水上爆撃機としての性能は標準的なもので、上位の機種に瑞雲(六三四空)、瑞雲12型などがある。
一芸に特化した空母の艦載機には流石に敵わないが、航空戦で敵艦載機を迎撃して制空権の確保に貢献したり、弾着観測射撃を発動させたりと汎用性は高く、航空戦艦や航空巡洋艦にとってはなくてはならない存在である。また、潜水艦に対する対潜攻撃能力を得る事もできるが、それと同時に潜水艦を優先的に狙う様になるので、水上艦+潜水艦の混成編成などには注意が必要。
ザラ級重巡洋艦のザラとポーラも(どちらも改から)水上爆撃機を運用可能だが、こちらは航空巡洋艦と違い対潜攻撃は行わない。積載数は少ないが、2-5・水上反撃部隊任務の制空で大きなアドバンテージとなる。