藤田和日郎とは
人物
『週刊少年サンデー』にて活動している日本の漫画家。代表作は『うしおととら』、『からくりサーカス』、『月光条例』など。
迫力のある作画と非常に綿密に練られたストーリーに定評がある。
日本一の熱血漫画家、島本和彦と親交があり、島本著『吼えろペン』に登場する主人公のライバル、富士鷹ジュビロは藤田をモチーフにしたキャラクターである。
島本の作品『逆境ナイン』が映画化した際、『月刊サンデーGX』にて彼との合作を制作したこともある。
その他ほぼ同時期に『サンデー』で活躍を始めた椎名高志や久米田康治などとも親交がある。
妖怪や人形のデザインセンスの高さや本人の人柄から、妖怪と呼ばれることもしばしば。
作風
敵味方問わず登場人物たちの深い心理描写を徹底し、脇役たちにもスポットライトを当てたサイドストーリーを多く挿入することで、キャラクター同士の絆や、彼らが抱える過去、葛藤を鮮明に描き上げるのが特徴である。
登場人物がやたら死ぬのも有名だが、その場合も同時にそのキャラが抱える問題に決着をつけたり、答えを見出すので死に際を見せ場として盛り上げる。
表情の描きわけも徹底している。笑顔といった明るい表情はもちろん狂気に満ちた顔にも定評があり、女であろうと美形キャラであろうと必要であれば容赦なく顔を歪ませる。
特に彼が描く狂気の表情は他の漫画家にも影響を与える程で、例えば楕円の黒目などは彼の発案である。
また「目」の描写を重要視する作家で同じ表情でも心理状態に合わせて描き分ける。明確に意志を示したときは大きい黒目、意志が薄弱だったら小さい黒目などといったように「目」そのものにも表情をつけている。
激情したキャラクターを表現するためにあえて筆や指だけで描くこともある。例えば『からくりサーカス』の主人公の一人加藤鳴海が自らの無力さに苛まれた末に悪魔になると誓った後の戦闘シーンでは彼を筆で書き殴ったように描いたり、同じく彼が多くの仲間が犠牲になった戦いが無意味だったと知って慟哭するシーンでは指だけで描いたりしている。
ストーリーは非常に濃いのだが、やたら描き込むので原稿が黒くなりがちな上に、彼の描く人物は特徴的なので絵だけを見て敬遠する人も多い。
作品群
『うしおととら』
藤田和日郎の出世作。
『からくりの君』
短編作品ながらOVA化された珍しい作品。後の『からくりサーカス』の雛形になる。
『からくりサーカス』
複雑に絡み合うストーリーと人間模様はまさに”からくり”。
『月光条例』
「月打」されて凶暴化したおとぎ話のキャラクターと戦う「月光条例執行者」。
『黒博物館スプリンガルド』
ロンドンを騒がせた怪人・バネ足ジャックの正体とは……。
『邪眼は月輪に飛ぶ』
見たものを即死させる邪眼の梟とそれを追う老マタギの死闘と葛藤を描く。
『黒博物館ゴーストアンドレディ』
黒博物館第二弾。幽霊「灰色の服の男」に憑り付かれた看護婦「フロレンス・ナイチンゲール>フローレンス・ナイチンゲール」の壮絶な戦いに満ちた半生を描く。
『双亡亭壊すべし』
怪異の巣窟・古屋敷「双亡亭」へ挑む者たちの戦い。