女神転生シリーズのケツアルカトル
初登場作品のFC「女神転生」から一貫してケツアルカトルの表記である。
“魔獣”、“聖獣”、“龍王”、“飛龍”などに割り振られたこともあったが、基本的に“龍神”種族の上位悪魔として扱われている。名の語源がナワトル語の“羽毛ある蛇”であることからデザインも羽が生えた白い大蛇(龍)というもので、「真・女神転生デビルサマナー」以降は頭飾りと神官服を身に着けた翼状の両手を持つ男性の姿で登場している。
女神転生・ペルソナシリーズの別なく、主だったナンバリング作品にはだいたい顔を出している常連悪魔の一体で、この高い登場率とアステカ神話における神性の多様さも相まって作品ごとに、火炎属性(ペルソナ2、ストレンジジャーニー等)、衝撃・疾風属性(真・女神転生if...、女神異聞録ペルソナ等)、氷結属性(真・女神転生Ⅲ、デビルサバイバー2)、電撃属性(真・女神転生、真・女神転生Ⅱ等)という具合に所持スキル及び防御相性にかなりの振れ幅があるのも特徴の一つである。
その反面、ゲーム本編に絡む目立った活躍があまり無い悪魔でもあり、下記の「真・女神転生ⅣFINAL」でのみ本編中に交戦するボス悪魔としての役割を与えられている。
「真・女神転生ⅣFINAL」のケツアルカトル
ケツアルカトルは多神連合に与する悪魔の一体で、クリシュナが起動した“徳川曼荼羅”によって人外ハンター商会の戦力が大幅に削がれた隙を突いて、錦糸町地下街に攻め寄せた多神連合所属悪魔の筆頭として登場する。
作中、主人公一行が錦糸町に駆け付けた頃には地下街に乗り込んで住人を多数殺戮しており、なおも抵抗を試みる人外ハンターたちが籠るハンター商会に攻め入っていた。ケツアルカトルはアサヒを庇ったマスターに致命傷を与え、遅れてハンター商会に踏み込んだ主人公たちと交戦する。
今作のケツアルカトルはエルナン・コルテスのアステカ征服後に強調された『人身供犠を嫌う神』とは真逆、生贄の心臓を捧げることで太陽の維持や祭儀の成就を信奉者に求め、またそれらの儀式を発明・執行した厳然たる神々の神官、数多の犠牲によって成立する原初の太陽神というアステカ神話本来の姿に近い。また、メソアメリカの神話には神々を崇拝する存在として人類が作られる話があるように、ケツアルカトルは主人公たちを「王座に戻るための人身御供」、人間を「私(神々)の糧となるために生まれた」存在程度にしか認識しておらず、神の王座より己を引きずり落したYHVHに対して激しい怒りを抱いている。
ある意味、自己の目的の為に人間を翻弄、支配、操作することしか考えていない「真・女神転生ⅣFINAL」及び女神転生シリーズの神や悪魔の在り方を如実に物語っている存在とも言える。