宙(そら)と大地よ、思い出せというのか?ーーー
解説
『UFOロボグレンダイザー』のリメイク作品。2024年7月5日から9月28日までテレビ東京、BSテレ東にて放送。
総監督には『機動戦士ガンダムSEED』シリーズの福田己津央、キャラクターデザインは『新世紀エヴァンゲリオン』の貞本義行、シリーズ構成と脚本には『コードギアス反逆のルルーシュ』の大河内一楼と『少女☆歌劇レヴュースタァライト』の樋口達人、音楽は『ONE PIECE』などの田中公平、アニメーション制作はGAINAこと福島ガイナックスが担当する。
本作は『Devilman_Crybaby』以来に作られた永井豪作品のリメイクアニメでもある。
コミプレにて前日談を含めたコミカライズ『グレンダイザーUジ:インセプション』が連載中。
原作者の永井豪によると、グレンダイザーのリブート企画自体は数年以上前から存在し、何本かパイロットフィルムが作られ、最終的に福田が提案したプロットを見て本格的にリブート企画を始動させたとのこと。
作風
全体的に、旧作におけるルビーナとの恋愛劇と、そのプロトタイプである『宇宙円盤大戦争』をブラッシュアップしており、自分の犯した大罪から心に影を落とすデューク・フリードと、その大罪が元で離れ離れになった婚約者ルビーナ、ロミオとジュリエット的な恋愛劇を主軸としている。
2話のデュークの大罪が下地に置かれ、4話のナイーダの悲劇に続き、6話から始まっていくルビーナの姉テロンナの暴走の上に、デュークへのコンプレックスから状況をかき回していくカサドが原因で、それぞれのエゴは加速していき11話で爆発。続く12話では、最終決戦の最中で三角関係による昼ドラ的ドロドロ愛憎劇を展開。
地球側では友人としてデュークを信頼する兜甲児と、デュークを含む宇宙人を危険視する弓教授の対立が描かれ、エゴに溢れた重々しい人間模様は『ガンダムSEED』や『コードギアス』シリーズを彷彿とさせる。
尚、グレース・マリア・フリードの初登場回である5話は、ゲスト敵シュラの動向や末路も含めて、今作きっての清涼剤。
ロボットの戦闘シーンは、主役ロボのグレンダイザーを守護神という設定に合わせて作中最強に置いているため、基本的にあっさりとしており、ドラマ重視な作風と最強設定故にグレンダイザー自身の活躍もそう多くない。
総監督が『ガンダムSEED』を経たためか、スーパーロボットの原点であるマジンガーZすら技名を叫ぶのが少ないものの、3話での地球のフランスから月軌道上へ数秒で到達するスクリュークラッシャーパンチなど、ダイナミックな演出が目覚ましく、ロボットCGも迫力がある。
このように旧作の全体テーマだった「宇宙から来たヒーローと、地球人との友情」よりも、サブ要素だった「宇宙王族の恋愛劇」を色濃くフィーチャーしたことに加え、同時期のアニメより少しクオリティの低い人物作画もあって、古くからのファンや純粋なロボットアニメを楽しみにしていた層から大きく賛否を招いた。
特に11話のラストや二期を匂わせる終わり方をしたことはSNS上で物議を醸したが、その一方で上記のロボット戦闘や、旧作からの世界観の再構築具合を評価する声も少なくない。
スタッフ
登場人物
- デューク・フリード/宇門大介(CV:入野自由/藤原夏海(幼少期))
- 兜甲児(CV:下野紘)
- テロンナ・アクア・ベガ(CV:戸松遥)
- ルビーナ・ベリル・ベガ(CV:戸松遥)
- 弓さやか(CV:上坂すみれ)
- 牧葉ヒカル(CV:東山奈央)
- グレース・マリア・フリード(CV:田中美海)
- ナイーダ・バロン(CV:佐倉綾音)
- カサド・ゼオラ・ホワイター(CV:内田雄馬)
- 弓弦之助(CV:速水奨)
- 宇門源蔵(CV:桐本拓哉)
- ガンダル司令(CV:子安武人)
- レディガンダル(CV:渡辺明乃)
- ブラッキー隊長(CV:高木渉)
- コマンダー・シュラ(CV:村瀬歩)
- シリウス・バロン(CV:梶原岳人)
- コマンダー・マリーネ(CV:椎名へきる)
- ズリル(CV:関智一)
- アインス(CV:小市眞琴)
- 林(CV:高橋伸也)
- 山田(CV:杉山里穂)
- 佐伯(CV:近藤浩徳)
- 大井(CV:徳井青空)
- ベガ大王(CV:佐々木望)
登場メカニック
フリード星の守護神とされてきた巨大ロボット。
GN因子を持つ「スターカー」と呼ばれる有資格者のみがその操縦を許される。
グレンダイザーと合体する円盤型のサポートユニット。
グレンダイザーをサポートする支援メカで逢神島の遺跡にあった『星を護る力"スペイザー"』として登場する。
ダブルスペイザー、ドリルスペイザー、マリンスペイザーが合体したもの。
兜十蔵博士により開発されたスーパーロボット。
光子力を動力とし、サポートユニット「ジェットスクランダー」との合体により飛行能力を得る。
マジンガーZの操縦席も兼ねる小型航空機。
10話より登場。マジンガーZが修復を受けた際、グレンダイザーからの技術供与で強化改造された。
操縦席となる「ジェットパイルダー」が頭部に合体。更に背中に「ジェットスクランダー改」と合体し、飛行能力を獲る。
マジンガーXの操縦席を兼ねる小型航空機。ホバーパイルダーの後継機。
水を司るスターカー騎士団乗騎。
アクアダイザーと合体する円盤型サポートユニット。
風を司るスターカー騎士団乗騎。
ゼオラダイザーと合体する円盤型サポートユニット。『宇宙円盤大戦争』に登場したガッタイガーに形状が似ている。
偵察型円盤獣で本機のみ完全オリジナル設定。
揚陸指揮型の円盤獣で本機のみ完全オリジナルの機体その2
主題歌
オープニング
「会心ノ一撃」
作詞・作曲:HISASHI、 編曲:GLAYとYOW-ROW、歌:GLAY
エンディング
「Protect You」
作詞:小鳩ミク、作曲・編曲・歌:BAND-MAID
「愛のうた」(第4話)
作詞:マイクスギヤマ、作・編曲:田中公平、歌:ナイーダ・バロン(佐倉綾音)
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
1 | 砂漠に出会う二つの星 |
2 | 星の伝説 |
3 | 紅蓮の怒り |
4 | 大空に輝く愛の花 |
5 | マリアが来た! |
6 | 二人の王女 |
7 | 彼方より来たる |
8 | 浅草の邂逅 |
9 | 光を覆う闇 |
10 | 立ち上がるエックス |
11 | テロンナ |
12 | ルビーナ |
13 | 美しきこの地球のために |
余談
マジンガーZの扱い
本作において最も話題を呼び、同時に物議を醸した要素とも言えるのがマジンガーZの登場である。
原典となるTVアニメUFOロボ グレンダイザー劇中ではマジンガーZはロボット博物館に展示されていることになっているため登場しておらず、アニメ作品においては本作がマジンガーZとグレンダイザーの初共演作なのである。
ただし本作ではマジンガーZは序盤から円盤獣相手に苦戦を強いられる事になっている他、第一弾PVにおいてマジンガーZの破壊された頭部を握り締め佇むグレンダイザーというショッキングなビジュアルが公開された事も相まって、早々に物議を醸した。
一応マジンガーZには「1番複雑な頭部さえ無事なら幾らでも修理が可能」という公式設定があるとは言え、この扱いには「(グレートやOVAマジンカイザー※と同じく)またZが噛ませ犬になるのか」と落胆する声は根強く、アニメーターのことぶきつかさ氏も(本作のことは明言を避けつつも)「みんなもっとマジンガーZを大事に扱って欲しい」と溢している。
※なお、今作のZのデザインはOVA版と同じく、漫画版のものが踏襲されている。
一方で「本来いない筈のマジンガーZを長期離脱させるためには致し方なし」、「マジンガーZが最初から活躍してしまうとグレンダイザーが要らなくなってしまう」と理解を示す声も少なくなく、グレートマジンガー終盤のようなカムバックからの大活躍を期待するファンも多いこともまた事実である。
第1話では最終的には敗れてしまったものの、圧倒的戦力差がある円盤獣1体を撃退する活躍も見せた(そもそも第1話冒頭でマジンガーZが戦っていたのは機械獣であるため、旧作における『グレートマジンガー』での出力強化を経過していないと思われる)。また、原作「マジンガーZ」最終話ではミケーネ帝国の戦闘獸相手にボロボロにされてしまった超合金Zのボディーは円盤獸の攻撃を受けてもほぼ無傷であり、円盤獸2体がかりでZの動きを止め、どうしても脆弱になってしまう首の接続部分から頭部を引き抜くという方法でようやく戦闘不能に出来た状況であり、この点ではむしろ原作アニメよりも強く描写されているとも言える。
また、OPアニメではマリンスペイザーとドリルスペイザーは旧作通りヒカルとマリアの乗機として扱われていたのに対し、ダブルスペイザーは甲児ではなくさやかの乗機として扱われており、最終カットではデューク、甲児、さやか、ヒカル、マリアと共にダイザー&スペイザーと3大スペイザー、そしてマジンガーZが映っている。第5話以降のOP以降では第1話の流用ではなく新規あるいはそれ以降のカットに変わっている。更にはグレンダイザーと共に戦っている様子があるため、強化修復され前線に戦うのかもしれない。
そして、2024年8月21日、公式サイト並びにXにて第8話のあらすじ・場面写真で強化されたマジンガーZの姿が公開された。
デザインは、東映アニメ版に近いものへと変更され、腕の形状がグレンダイザーのものに近い形状になっている。
第8話冒頭ではデュークによるフリード星の技術提供もあり10倍の出力アップに成功、強化完了間近である様子が描かれた。ボディーについては触れられていないため、超合金ニューZではなく従来の超合金Zのままである可能性が高いが、前述のように本作では超合金Zのボディーは円盤獣の攻撃にも無傷のため問題はないと思われる。
そして、第10話にて、修復を受けたマジンガーは、「マジンガーX」として登場し起動。まだ通常の30パーセント程度の出力であるが、円盤獣コアコアと交戦し、撃破している。
グレートマジンガーは?
Zの登場が明かされたものの、兄弟機であるグレートについては現在(設定・ストーリー含め)影も形も触れられていない。このため今作はグレート自体が存在していない世界線の可能性がある。
その一方で、原作では親衛隊の1隊員であったホワイター少尉がネーム設定されて大物化したため、『親衛隊が全員大物化し映画「UFOロボグレンダイザー対グレートマジンガー」の再現も行うのでは?』という意見もある(ただし、ホワイター少尉は原作においてもフリード王と王妃を殺害した実行犯なので本作で抜擢されるのに十分な理由がある事には留意)。
グレートに加え鉄也さんとジュンも参戦するとなれば、まさかのトリプルマジンガー結成という事になるが果たして…?
大魔神ラーガ登場か?
キャラクター発表時に原点の「グレンダイザー」には登場しなかったさやかが登場すると発表されたことから、一部ファンの間では桜多吾作版に登場した地球製グレンダイザーである大魔神ラーガが出るのでは?とささやかれている。
しかも公式サイトやPVのキャラクター紹介やキャストではデューク⇒甲児⇒さやかの順になっており、原作「グレンダイザー」にいなかったにもかかわらず原作ヒロインのヒカルやマリアよりも上にいる。
また、第2弾PVでは最後にデュークが「必ず僕を殺してくれよ」と甲児に告げるという衝撃的な場面が挟まれており、グレンダイザーが暴走するのでは?と推測する声もあった他、ダイザーを模した彫刻のある謎の遺跡も登場しており、ラーガが眠っているのでは?と推測する声も出た。
上記のPVの場面は第2話で描かれており、結論から言えば暴走したのはダイザーではなくデュークだったのだが、ダイザーが何らかの働きかけをデュークに行って暴走させた可能性も考えられる。
桜多吾作版はグレンダイザーとラーガが地球人を見限り、全人類を滅ぼしてしまう衝撃のエンディングを迎えたが果たして……。
宇宙円盤大戦争の要素も
今作では何とルビーナだけでなくテロンナも登場しておりダブルを通り越してトリプルヒロイン(ひかる、ルビーナ、テロンナ)となっている。
その上テロンナに至ってはロボに乗る可能性大というファンが予想もしていなかった事態となっている
しかしこの為か『2人とも出したという事はどちらかが死ぬのでは…?』と不安視されている。
ただ一応、福田監督は今の時代・状況に合わせて東映アニメ版のようなキャラクターが次々と死ぬ展開は避けていく旨も語っているため、どちらも今後の展開次第と言える。
ちなみに今作ではルビーナとテロンナのキャラデザが原典と逆になっている。
ボスボロットは?
マジンガーZやグレートマジンガーと違い旧アニメ版にはちゃんと登場したがボスボロット及び、そのパイロットのボスは登場するかは不明。
なお、『マジンガーZ/INFINITY』でボスを演じた高木渉氏は本作ではブラッキー隊長を演じている。
ボス本人かどうかは不明だが、12話劇中にて、ネット上に「BOSS」のハンドルネームの者が書き込んでいるのが確認された。ベガ星の脅しに屈し、多くの人間が「グレンダイザーを引き渡せ」と非難の書き込みが為されている中。この「BOSS」のみがグレンダイザーおよび光子力研究所に対し、その行動を賞賛し、応援する書き込みを行っている(あと、書き込みは「~だわよ」と、ボスの口調を彷彿とさせる語尾だったりする)。
第2クールや2期はあるのか?
最終回を迎えて数多くの伏線や要素を残したまま、最後のシーンでベガ大王らしき人物がグレンダイザーに執着している様子で終わっているため、今後展開があるのかは不明ではあるが回収される時は果たして来るのか。
【残された要素・伏線】
- ベガ星連合軍に技術供与を求めた相手が「ヘル」と名乗る(アイコンらしきデザインが地獄大元帥のようである)。
- ヒカルが言っていた地球より大きな存在の正体やヒカルが持つ能力、逢神島の秘密。
- ベガ大王がここまでしてグレンダイザーに執着するのか。
公式動画
TVアニメ「グレンダイザーU」ティザーPV/2024年放送開始!
第一弾PV
第二弾PV
第三弾PV
関連項目
闘将ダイモス:ロボットアニメ版ロミオとジュリエットという類似点がある
アスラクライン:主人公とヒロイン、主人公の友人の声優が同じ
真マジンガー衝撃!Z編:同じく、多くの伏線や続編がありそうな雰囲気を匂わせたまま最終回を迎えたマジンガーシリーズのリメイク作品