CV:内田雄馬
概要
辺境出身からスターカー騎士団に成り上がった過去に対し、強烈なまでにコンプレックスを抱いており、産まれながら全てを備えているデューク・フリードに並々ならぬ敵意と執着を抱いている。
それもあってか、デュークの不在を狙ってフリード星の王宮に潜入し、デュークの両親である国王夫妻と王宮を守護する兵士達を虐殺するに飽き足らず、テロンナ・アクア・ベガに「その犯行をデュークがやった」と告げてデュークに濡れ衣を着せ、惑星大罪人に貶めた張本人。
人物像
性格は極めて好戦的で、初登場の時点でも以下の通りである。
- 登場と同時に出撃を志願するカサドを嗜めるため、ブラッキーが銃を向けるも一瞬のスキを突き、銃を嚙みつくと同時にナイフを取り出しブラッキーの喉元に向ける。
- 侍女であるナイーダをナイフ投げの的を持たされた挙句、(恐らくワザと)外れたナイフが大腿部に刺さっても投擲を続けて弄ぶと、その扱いは侍女よりむしろ奴隷扱い。
その上「自分はゼオラダイザーに搭乗できるスターカー=自分は優遇されるに足る存在」 との思い上がりの強さから、格下には傲慢そのものに、上層部には形式の上では敬語を用いる等々、極めて自己中心的な振る舞いが目立つ。
上記の言動は戦闘の際でも変わらず、寧ろ(敵なので気遣う必要がないのもあり)相手の精神を揺さぶる意図で普段以上に饒舌になる。
一方で、極端に高い自己評価が災いし、大局的な戦略眼とリスク管理能力の双方が欠けている節が強く、劣勢に陥った際の対応力が0に等しい。
更に、普段の言動から周囲に嫌悪されているにもかかわらず、
- ナイーダの本心(=カサドを利用してデュークとの再会を目論む)をほぼ気付いていない
- ナイーダがガンダル司令の横槍を受けている状態を察するも、それ以上の事態をまるで読めていない
……等々、〈自己評価(=理想)〉と〈第三者による評定(=現実)〉が大きく乖離している実態にすら気付いていないと、自惚れの強い甘ちゃんである本性も露見している。
後に第5話や第7話にて「コンプレックスを払拭すべく、今の地位を得るためにその手を血で汚して生きていた(要約)」らしく、現在の言動の根幹は「ここまで悪行を重ねた以上、今更善人を気取っても仕方がない」とする諦念と開き直りかもしれない。
ベガ星連合軍内での立場
単独でフリード星の王宮の虐殺を完遂した事態から、事実上フリード星を壊滅に追いやった元凶の一翼であるものの、上記の出自の低さに加えて、誰彼構わず噛み付き嘗め腐った態度に終始する狂犬ぶりが災いしてか、仮にもゼオラダイザーに搭乗できるスターカーでありながら身内からの人望が薄く、ガンダル司令はカサド諸共グレンダイザーを葬るベガ砲の発射に加え、ナイーダに持たせた陽子爆弾や円盤獣ダリダリによる、光子力研究所への波状攻勢にまるで躊躇してはいなかった。
更に同じ〈スターカー騎士団〉のテロンナからも、カサドの普段の言動から嫌悪感を抱かれていたなど、産まれなど関係なく人望が皆無に等しい状態だった模様。
また、上記の所業から相応の手練れと思わせる一方で、因縁深いデュークとの戦いでは散々煽り彼の集中力を散漫にさせて漸く互角であると、本人の強い自負と裏腹に実力は伴っていない実態が散見されている。
カサド本人としては、実在すら疑われていたベガ大王が直々に姿を見せた事実もあって、自己評価の高さに繋がっていると思われるが、そのベガ大王から受けた『グレンダイザー強奪』の命令すら強奪直前まで行き、いつでも乗れる状態だったのに舐めプして(あるいはグレンダイザーに搭乗したデュークを抹殺後に奪取する意図か)、わざとグレンダイザーにデュークを乗せるような真似をした結果、ゼオラダイザーを失った末に捕虜になる大失態を犯している。
一連の醜態を並べてみると、第3話以降のベガ星連合軍の地球侵略は、ある意味全軍が総出で1人の士官(=カサド)の尻拭いをするため との解釈も出来る以上、ガンダル司令達から好印象になるはずもなく、上記の見限りに繋がったのは必然と思われる。
劇中での活躍
ゼオラダイザーを駆ってパリを火の海に変え、デュークを散々に煽るも、あまりにデュークを愚弄に集中したのが裏目に出て、ゼオラダイザーをバラバラに破壊されて生け捕りにされる。しかし、光子力研究所内の独房に搬送された後は、右目の義眼を通信機として使い、ナイーダに密かに救援要請を行う。
……が、肝心のナイーダはガンダル達に洗脳されてしまったため「デューク暗殺後に救助する」として、そのまま放置される羽目に。
尚、現在の所毎回失敗しているものの、ガンダル司令達が自分を諸共始末しようとしている真実には気づいていない(さすがにナイーダの態度には、ガンダル司令の横槍が入っていると気付いていたが)。
その後、今度はコマンダー・シュラが収容所に来訪するが、やはり後回しにされたカサドは遂に自力で脱獄した。
だが、その現場を牧葉ヒカルに目撃され、彼女から「貴方は良い人?……それとも悪い人?」の問い掛けに対し、カサドは「悪い人さ!……本当は良い人になりたかったけどさ……」 と珍しく自嘲と自虐に満ちた吐露をしたが……
第7話にて(恐らく脱獄を通報しない条件に)ヒカルと共に逢神島で雑務をこなしていた最中、カサドはヒカリの下から逃げようとするが、彼女がある物を介して放った『反重力ストーム』にてそれを阻止される。
その後、キングバニバニに苦戦するデュークを助けるべく、ヒカルはマリアに内緒でドリルスペイザーにカサドを搭乗させ、当のカサドも彼女が放った「グレンダイザーに乗りたいならば、良い人になるしかない(要約)」に触発されて協力。
無事にキングバニバニを撃破したカサドは「これで僕もグレンダイザーに乗れる」と調子づくも、即座にヒカルから叱責を受けるも、直後に彼女からの「ありがとう」の言葉に柔らかい微笑を浮かべた。
続く第8話ではヒカルが用意した外套とルー状の覆面の着用かつ、彼女の監視付きの状態ならば、島内のある程度の自由行動ができるようになった模様。
そこでカサドはヒカル共に、ダブルスペイザーとドリルスペイザーの試運転を観察しながら、再び彼女に対し『グレンダイザーに搭乗できる条件』を問答していた。
その後第9話ではベガ星連合軍の光子力研究所への攻撃に際、ヒカルからの頼みで研究所の防衛に協力するも、グレンダイザーとアクアダイザーが共に墜落する様子を見たカサドは「デュークを殺せる」と判断した途端、ヒカルへの協力をやめて2人が落ちた逢神島に向かう。
尚、裏切る直前にカサドはヒカルに対し「(自分が求めたものを)全てを持つデュークに僕が唯一負けないものは孤独と絶望だ(要約)」と吐露したが……。
そして、第10話で覆面を外して自らの正体を明かしグレンダイザーを奪ったカサドは、そのままデュークとテロンナを煽るように攻撃を繰り返しながら、逃げるしかない2人を嘲笑っていた。
だが、そんな状況下でもデュークとテロンナは息を合わせたコンビネーションで反撃し、その光景で精神を酷く逆撫でられたカサドの憎悪は遂に臨界に達し、それに呼応するようにグレンダイザーが暴走を開始、より2人を追い詰めていくもヒカルに見限られ、強制的にグレンダイザーから降ろされる。
一連の悪行を糾弾しつつもデュークは「カサドとの和解」を提案するが、当のカサドは「そんなお前の姿が……大好きで大っ嫌いなんだよぉおぉぉぉっ!!」と逆上するままに拒絶。
隠し持ったナイフでデュークの頬にかすり傷を負わせると、カサドは更に追撃せんとするも、遂にヒカルの逆鱗に触れてしまい「貴方に本当の孤独と絶望を教えて上げる……!」 と告げられた瞬間、逢神島の力を使った彼女によって何処へと放逐された。
余談
元ネタは『UFOロボグレンダイザー』第24話「危うしデュークフリード!」のゲスト敵キャラのホワイター少尉。フリード王夫妻殺害の実行犯であるエピソードからの抜擢と思われる。
担当声優の内田雄馬氏は、ダイナミック系作品では『ゲッターロボアーク』で主人公の流拓馬を演じている。カサドと拓馬は反対の要素が備わっている。
- 母親を殺され復讐を誓う拓馬
- デュークの両親を殺し復讐者にしたカサド
- 言動こそ荒いものの素直に他者の気持ちを汲み取れる拓馬
- 言動も行動も酷く他者を弄ぶカサド
- 街が火の海になりながらも「地球は俺が守る」と誓う拓馬
- デュークを誘き寄せるエサとしてパリの街を燃やしたカサド
フリード星におけるデュークの暴走の直接的な原因である上に、やっていない悪行まで吹聴して汚名を着せたのもあって、視聴者の怒りを買ったカサドだが、第2話でその事実が明かされてラストでデュークと対峙したのをピークに、
- 3話:ガンダル達にグレンダイザー諸共始末されそうになり(カサド本人は気づいていない)、ゼオラダイザーもグレンダイザーにあっさり破壊されて頭部だけになって命乞いをする羽目になり、デュークに捕獲されて光子力研究所に到着してからしばらくの間、カサド本人は全く画面に映らなくなってしまう。
- 4話:3話の後半でナイーダに救助を求めたはいいものの、上記の通りナイーダが洗脳されて掌を返された末に放置されてしまい、またもガンダル達に光子力研究所諸共始末されそうになる(やっぱり気付いていない)。
- 5話:コマンダー・シュラが独房に来訪するも、「鍵は開けておきますが動き出すのは2時間以上後でお願いします」と結局スルー。
- 6話:前5話で意味深長な演出を見せ、同6話終盤でマリンスペイザーに搭乗し一定の成果を見せるも、顔も見せず発言もなかった上にカサドの登場により、デュークを信頼し掛けたテロンナの思考を一気に悪化させた
- 7話:キングバニバニ撃破の一因になるも、現状もあってヒカル以外その事実を知らない
等々、作中での扱いがどんどん雑になっていき、しかも本人の知らない間に命を狙われて、本人の知らない内に助かると、どうにも締まらない状況に陥っており、視聴者からも余りにも雑な扱いからネタキャラとして見られるようになってしまった。
ただし、ヒカルと接触して以降「グレンダイザーを自分の所有物にしたい」野心こそ残っているものの、ヒカルの「良い人になれ」発言に従いデュークのサポートをするようになったのもあり、運が良ければ光落ちする(悪いとデュークの危機を自らの命で償う)可能性が浮上したが、結局は改善が見られないままに何処へと追放される末路を迎えた。
関連項目
ウルトラマントレギア:中の人が同じ、コンプレックス持ち、主人公達に対する並々ならぬ執着、元は善人寄りだったが拗らせに拗らせて悪人になってしまったなど、実に共通点が多い。