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ダークナイトライジング

だーくないとらいじんぐ

2012年に公開されたアメリカ・イギリス共作映画。クリストファー・ノーラン監督の『バットマン』実写化映画シリーズ『ダークナイト・トリロジー』の第三作にして完結編。原題は『The Dark Knight Rises』。

伝説が、壮絶に、終わる。 

解説

2012年に公開されたDCコミックスの出版するアメリカン・コミック『バットマン』の実写映画化作品。配給はワーナー・ブラザース

2008年公開の『ダークナイト』の続編であり、クリストファー・ノーラン監督&クリスチャン・ベール主演によるリブートシリーズ『ダークナイト・トリロジー』の完結編である。

脚本はクリストファー・ノーランと弟のクリストファー・ノーランが担当。

原作コミックの『Batman: Knightfall』・『Batman: The Dark Knight Returns』・『Batman: No man's Land』から題材を採っており、引退状態にあったブルース・ウェイン=バットマンがゴッサム・シティの危機を前に再び立ち上がり、最後の戦いに挑むまでを描く。

また、ノーラン兄弟は脚本の執筆にあたり、1859年に出版されたチャールズ・ディケンズの長編小説『二都物語』もモチーフの一つになっていることを明かしている。

前作『ダークナイト』の続編ではあるが、「ヒーローとは何か?」を問いかける物語の精神的なテーマとしては前々作『バットマンビギンズ』の続編としての性格が強い作品である。

リアル志向のクリストファー・ノーラン監督らしく、極力CGを使わない方針は健在であり、クライマックスのゴッサム市民軍と警官隊による数千人の乱闘シーンではすべて本物の役者を使って撮影が行われた他、冒頭の飛行機落下シーンやスタジアム崩落シーンでも本物が使われて撮影された。

アメリカとカナダでの公開後3日間で興行収入1億6,090万ドルを記録して初登場1位となり、2D映画としては歴代最高を記録。

アメリカ・カナダ国内での最終興行成績は前作には及ばなかったものの、海外での成績が好調だったため、全世界興行成績は前作の10億400万ドルを超える10億8000万ドルとなった。

あらすじ

ゴッサム・シティの光の騎士」と謳われた地方検事ハービー・デントの死から8年。デント法成立により、ゴッサム・シティからはほぼ全ての組織犯罪活動が根絶された。

しかし、街から犯罪が消えてもなお経済格差は残り続け、貧困を強いられる人々の間では閉塞感と富裕層への不満が蓄積されつつあった。

一方、ジェームズ・ゴードン市警本部長とともに目指した大義とハービーの名誉を守るべく全てを犠牲にし、ハービーの死の責任を一身に背負ってヒーローから逃亡者となったブルース・ウェイン=バットマンは、幼馴染のレイチェル・ドーズの死と長きに渡る戦いによって傷付き、疲れ果て、バットマンとしての活動から引退。屋敷に引きこもって、ウェイン産業の職務からも遠退いていた。

そんな中、自らをかつてバットマンが倒したラーズ・アル・グールの後継を自称し、ゴッサム・シティの滅亡を目論む謎の男ベインの出現によって状況は一変する。

ベインは配下の傭兵団を率いてウェイン産業の役員で会社の乗っ取りを企むジョン・ダゲットを利用し、彼を通じて女怪盗セリーナ・カイルにウェイン邸からブルースの指紋を盗み出すことを命じる。

未曾有の危機の前にベインの野望を阻止するべく、ブルースは再びバットマンとして立ち上がることを決意する。

主な登場人物

演:クリスチャン・ベール(吹替:檀臣幸

ゴッサム・シティ随一の大富豪にして、闇の中で街の治安を脅かす犯罪者達と戦ってきたクライムファイターだったが、ハービーの罪をかぶって逃亡してからは一度もバットマンとして活動しておらず、新しく完成したウェイン邸で8年間引きこもっている。

前作にて幼馴染で想い人であったレイチェルを喪った上、無茶な戦いの後遺症から足の関節の軟骨が完全に磨り減りきっている等、肉体的にも精神的にも疲弊した状態にある。

ベインを止められるのは自分以外にいないと考え、限界寸前の肉体に鞭打ってバットマンとして復帰する。

演:アン・ハサウェイ(吹替:園崎未恵

謎の女怪盗。

バットマンにも勝るとも劣らない運動能力を駆使して宝石などの金品を盗む。

金を持っている人間からしか盗まない主義で一般市民からは盗まない。

ある人物の依頼で自身の犯罪履歴を全て消すことが可能な究極のソフト「クリーン・スレート」をもらうことを条件にウェイン邸に忍び込みブルースの指紋を採取する。

ちなみに作中では「キャットウーマン」という呼称は一度も使われていない。

演:トム・ハーディ(吹替:山路和弘

本作のメイン・ヴィランである謎の傭兵。

かつてバットマンによって崩壊させられた秘密結社「影の同盟」の盟主ラーズ・アル・グールの意思を継ぐ者を自称し、配下の傭兵団を率いてゴッサム・シティ滅亡のために暗躍する。

素手のパンチでコンクリートの柱に穴を開け、片手で人間の首を掴み折るほどの怪力の持ち主であると同時に、カリスマ性に溢れ、深い理性と優れた知性を兼ね備える切れ者の知能犯でもある。

常に奇妙なマスクを身につけているが、これは過去に患った疫病の後遺症による激痛を抑えるためのガスを吸引するためのもの。

演じているトム・ハーディはベインの役作りのためにウェイトトレーニングに励み、まさに筋肉ダルマそのものの肉体を作り上げてから撮影に臨んだ。

演:ゲイリー・オールドマン(吹替:納谷六朗

バットマンに協力し続けてきたゴッサム市警本部長。

バットマンと結託して前作でのハービーの犯した罪を隠すことでデント法を成立させた。結果としてゴッサムは平和になったが、バットマンに冤罪を強いてしまったことと、市民に事実を隠蔽し続けていることへの罪悪感に苛まれている。

また、ゴッサムを平和に導いた英雄の一人ではあるものの、街から大きな組織犯罪が無くなってしまったことから、上層部からは厄介者扱いされ、更迭または左遷を検討されていた。前作の事件の影響からか妻子は家を出て実家に帰っている。

演:ジョゼフ・ゴードン=レヴィット(吹替:土田大

ゴッサム市警の新人巡査。

強い正義感の持ち主であり、ゴードンからも期待されている。

幼い頃に両親を失った孤児であり、警官になってからも育った孤児院に行っては子供たちと交流している。

演:マイケル・ケイン(吹替:小川真司

ウェイン家執事。

長きに渡ってブルースのバットマンとしての活動をサポートしてきたが、バットマンに戻ることなく「普通の幸福」を追ってほしいと願っている。

毎年、休暇にはフィレンツェに行く。

バットマンに入れ込み続けるブルースをついに見限り、レイチェルの真意をぶちまけて、屋敷を出て行ってしまうが…。

演:マリオン・コティヤール(吹替:五十嵐麗

ウェイン産業の進める新エネルギー開発の資金を投資している若き資産家の女性。

新エネルギー開発にたいして真面目で熱心な捉え方をしているため、ブルースやフォックスからも信頼されている。ジョン・ダゲットの会社乗っ取りによる新エネルギー悪用を防ぐべく、ブルースからウェイン産業会長職を託される。

事件の中でブルースと惹かれ合っていくが…。

演:モーガン・フリーマン(吹替:池田勝

ウェイン産業社長にして、ブルースがバットマンとして活動するための装備や乗り物を開発して提供している。

新エネルギー開発のために私財の半分を投資してまで進めていた計画をブルースが途中で中止させたことで会社の経営が傾いたことに頭を悩ませており、会社を守るために奔走する。

  • ジョン・ダゲット

演:ベン・メンデルソーン(吹替:清水明彦

ダゲット建設社長。ウェイン産業乗っ取りを企んでおり、ベインと結託する。

演:キリアン・マーフィー(吹替:遊佐浩二

アーカム精神病院の医師で、幻覚ドラッグを悪用するヴィラン。地味にシリーズ皆勤賞。

前作冒頭で逮捕されていたが、ベイン一団がゴッサム・シティを封鎖する際に刑務所を開放したことで脱出に成功。その後、ベイン達に支配されて無政府状態になったゴッサム・シティの人民法廷の裁判長の座にちゃっかり収まっていた。

新登場ガジェット

  • E.M.Pブラスター

指向性の電磁パルスを撃ち出す銃。照射した対象の電子機器類の機能を強制的に停止させる。

  • カモフラージュ・タンブラー

バットマンがバットモービルとして使用している特殊装甲車両「タンブラー」の迷彩仕様。

車体右上部に引き込み式のキャノン砲を搭載したタイプ、車体後部に誘導ミサイルポッドを格納したタイプなどが存在する。

悪用されることを防ぐためにウェイン産業の地下倉庫に隠されていたが、バットマンがベインに敗れたことでベイン一団によって全て奪取されてしまい、ゴッサム市民軍の戦闘車両として用いられた。

  • ザ・バット

国防省の要請でフォックスが開発・試作していた市街戦用戦闘機。原作のバットウィングに相当。

機体の下部に搭載されたローターにより飛び、ビルが密集した都市での飛行が可能で、錐揉み旋回などヘリコプターには不可能な機動もできる。

E.M.Pキャノンや、ロケットランチャー、マシンガンを武装として備える。タンブラーとは違い、ゴッサムシティの市内に隠されていたため、ベインに奪われなかった。

作中用語

  • デント法

ハービー・デントの死後に制定された法案。

この法案によってゴッサム・シティでの大規模な犯罪(主に組織犯罪)が激減した。

劇中で全体の具体的な内容には特に触れられることはなかったが、些細な悪事や通報でも問答無用で厳しく取締りに乗り出し弾圧まがいの重罰を与える等、いわゆる共謀罪合衆国憲法違反ギリギリにまで拡大解釈したものと思われる。

また、囚人同士の強姦被害等の危険性があるにも関わらず男女共同で収監したり、本来認められるはずの仮釈放さえ許さない等、犯罪者の人権を完全に無視しており、生前のハービーの厳格な正義感に基づく思想が悪い方向で反映された法律と言える。

ゴッサムから組織犯罪を一掃したきっかけとなったことは確かだが、不満の声も少なくなく、多くの市民から廃止を求める声が上がっていた模様である。

関連動画

予告

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