背丈は9センチ。森の奥で暮らす彼女たちは、とっても小さいのです。
ハクメイとミコチ。緑深き森で暮らしている、小さなふたりの女の子。木の洞(うろ)に家を造ったり、葉っぱを傘にしたり、昆虫や鳥の背に乗ったり……身長9センチメートルなら、そんな事も出来るのです。
そーっと覗いてみませんか? 穏やかで愉快で、とびきり愛らしいその生活を。
概要
樫木祐人(pixivアカウント)による漫画作品。
本人のデビュー作。
2011年4月、エンターブレインの「Fellows!」volume16Dに読み切り作品『きのうの茜』が初掲載。その後、2012年4月の同誌Volume22より『こびと日和』のタイトルで連載がスタートした。
2012年12月の同誌Volume26より『ハクメイとミコチ』に改題。その後、本誌が名称を変えた「ハルタ」誌へもそのまま移行し、現在連載中。
2018年冬アニメという形で、TOKYOMX、KBS京都、サンテレビ、AT-XおよびBS11、ついでに六本木3丁目のお友達約2局にて放送。アニメーション制作はスタジオ雲雀(Lerche名義)。なお、六本木3丁目のお友達の片割れ(ちなみに月曜深夜に垂れ流されるそうである)以外は金曜日に放送曜日を合わせているほか、TOKYOMXでは土曜35:30-36:00に再放送をやらかしている。
ストーリー
自然の中に住まう身長9cmのこびと達が様々な物事を繰り広げながら日々を暮らす物語。
主人公の女の子ハクメイとミコチを中心に、日常生活が描かれる。
世界観
登場する世界の住人はこびとのみに限らず動物や虫も登場し、彼らもこびと達と同じ言葉を話し、一緒に料理を作ったり店を経営したり働いたりなど、人間的なコミュニケーション能力を備え、共に社会生活を営んでいる描写がある。(会話できない一部の鳥類や魚類にはそういった描写は無く、現実世界の野生動物のように描かれる)
こびとたちの種族等は不明だが、大体みんな妖精のように耳は尖っており、抜きんでた体格の持ち主は今のところ見られない。
文明レベルは風車や石炭が主な動力源。電気やガスの認識は不明だが、舞台が基本的に自然の中であるため、たとえあったとしても行き渡っているとは言えない。しかし街があったり新聞や郵便の配達が整っていたりと、それなりに発展した世界観である。こびと達だけでは非力な部分も、より大きく力持ちな動物達との意思疎通が可能な為、彼らが荷物の牽引を引き受けたり大型の仕事を担ったりしている点も生活に大きく関わっている。現実世界に比べると不便に思える点も、こびとならではの知恵と技術で難なく乗り切られている。
その他、付喪神が普通に認識されている等、ファンタジーな箇所もあるが魔法の存在は明示されていない。科学者のような技術開発を行う者もいるが、その内容は現実の技術とはまた異なったものである。
そして、人間は登場せず、人間が存在する世界かの明示も無い。
単行本では、漫画本編以外に「足元の歩き方」と言うタイトルのコラムで世界設定が語られている。
その他、本人インタビューなどで収録されていない設定も存在する。以下はそのうちの一つ。
帽子
作中に登場するこびとたちの多くは、特徴的な形状や飾りのついた帽子をかぶっている。
これは「種帽子」と呼ばれるもので、故郷を出る際に長老の帽子に似たものを長老から与えられ、定住して自身が長老になったら、定住先を出る若者にその帽子を模したものを与える事で受け継いできたものとされている。
登場人物
ハクメイとミコチ
主人公であるこびとの女の子のコンビ。
ボーイッシュで栗色の髪を編んでいるのがハクメイ、黒髪ロングなのがミコチ。
同居しているが親戚でもなく他人同士。マナキタの街の森の大楠の根本に作った家に住んでいたミコチのところに、ハクメイが引っ越し先を間違えて来た事が縁である。
ボーイッシュな性格のハクメイは修理屋を営んでおり、風車の修理や包丁研ぎに出向いたり大工仕事を手伝ったりしている。腕は良いようだが繁盛はしていない模様。過去に方々を旅していた経験もあるらしく、サバイバル能力にも長ける。物怖じしない性格で興味のあることには前向きに進んでいく。ただしカナヅチである。
一方、ミコチは店こそ営んでいないが布が趣味であり料理が大得意。服の仕立て屋で修業した後に独立後、仕立ての他に保存食や日用品を作ってジャガ谷の麓の夢品商店(むじなしょうてん)に卸して生計を立てている。穏やかで真面目な性格だが、布を前にすると夢中になってしまう。布については裁縫だけでなく染めまでこなす。また、巷で人気があるらしく仕入れにでかける港町アラビでは結婚してほしいという人々(動物)がいるほど。料理屋の面々からは味見や助言を求められることも。
ミコチはどちらかといえばインドア派だが、ハクメイに引っ張られるかたちで遠出や冒険に付き合わされることが多い。疲弊することもあるが、結果としてなかなか楽しんでいるようである。
二人とも食いしん坊かつなかなか飲兵衛だが、ミコチが稼いでいるので食費・生活費には困っていないらしい。
作者によれば、ハクメイは「薄明」、ミコチは「美東風」。それぞれ空と風の名前から。
コンジュ
CV:悠木碧
マキナタ在住の吟遊詩人のこびとの女の子。派手な容姿をしており、ブローチ状の竪琴を演奏する。
収穫祭の歌姫に選ばれたものの、立候補していなかったミコチが同票で選ばれた事にライバル心を燃やす。その後、自らの失態で本番前にのどを痛めた事でミコチと共演することとなり、それを経て仲良くなった。
プライドが高く気が強いが根は真面目な性格。女子力が高いのが自慢らしいが料理は不得意。ただしラッピングと石鹸作りについてはミコチも一目置く女子力を発揮した。眠る時は全裸。
作者によれば、コンジュの由来は「胡飲酒」、古い舞の名前から。
セン
CV:安済知佳
マキナタの東にある沼に住んでいる研究者のこびとの女の子。
口元が服で隠れているが、猫目でとがった耳ははっきりわかる。学者肌のクールな性格だが、素直で義理堅い一面も。また研究への熱意は並々ならぬものがある。
生命の研究の結果、開発したアイテムを骨にとりつけて心臓と同じリズムで音を伝える事で操る技術を会得している。実際、彼女がすんでいる場所も亀のジョージの骨の甲羅部分である。
ハクメイに火薬を与えた事が原因でミコチの家が爆発した際は、大型の骨をひきつれて家の再建を行った。木の根元の空洞をいかした心地よい住環境の家ではあったが、入口に骨がおいてある等、彼女の骨に対するこだわりが悪い意味で発揮されているところもある。
鰯谷親方(イワシ)
CV:松風雅也
こびとよりもはるかに大きな体をした二足歩行するイタチの大工。大工組合「石貫會(いわぬきかい)」所属。
頭にタオルを巻き、たばこをくわえ、後ろ足には草履を履き、前足で器用に大工道具を扱う。
大工仕事におけるハクメイの同僚であり兄貴分。当人はハクメイに対して「親方」と呼ぶよう言っているが、普段は「イワシ」という通称で呼ばれている。職人気質な性格で仕事にこだわりを持つ一方、それ以外の事にはあまり頓着しない。ぶっきらぼうだが面倒見は良く、ハクメイとは馬が合い、親しくなっている。
ジャダ
ダチョウの卵の殻で作られた美容室「翡翠の卵」を経営している美容師のこびと。
黒髪のくせっ毛をベリーショートにセットし、けだるげな雰囲気を漂わせている。
マイペースな気分屋で、飄々と立ち振るまう、掴み所のないこびと。気分が乗った日しか店を開けてくれない。美容師としてのプロ意識と腕は確かなもので、ハクメイたちも美容室を利用している。なぜかモヒカンがお気に入りで、客にはとりあえずモヒカンを勧める。
シナトとミマリ
田楽・炉端焼きの店「呑戸屋(どんどや)」を経営するこびとの姉妹。
姉のシナトは、姉御肌でハクメイとは博打仲間。博打の負けを理由にハクメイをこきつかう事も。お酒が大好きだが強くはない。
妹のミマリは、姉と比べるまでもなく礼儀正しい良い子だが、語尾に「ッス」とつける。大雪の日に家に帰れなくなったハクメイとミコチを泊めた際に、箸をつかった博打でハクメイがイカサマをしている事を知るが、すでに姉が酒を呑み過ぎて前後不覚になっていたので、見なかった事にした。
ナライ
石貫會の会長の男性。愛用のキセルが似合うナイスミドル。相方はデカいハクビシン(と思われるが、まだ明記されてない)のカテン(♂)。形骸化していた大工組合をふたりで再興させた。
大工としての腕前と自信は確かな物で、会員たちからの信頼も厚く、またハクメイの家のリフォームも暇潰しで手伝う部下思いのひと。
ハクメイが女の子であることに、本人に指摘されるまで気付かず、嫁さんまでいると思っていた。(間違いではないとか言ってはいけない)
ゴボウが苦手でカテンに食べさせている。
妻のハクヨは石貫會最恐のひととして有名。ナライですら頭が上がらない。