概要
名前はそのまま「天」を意味する。日本語では長音が略されウラノスとも呼ばれる。
後述の『神統記』の神話から、星々が輝く空をイメージされた天空神と考えられる。
『神統記』では彼の前に夜の女神ニュクスが生まれており、矛盾しているようにも見えるが、これは古代ギリシャ人が、暗い状態が天空の平常時の有様とみなしていたためらしい。
ニュクスの娘ヘーメラーが日ごと母と交代して世を覆うとき、空は青空となる。
語源をたどり、インド・ヨーロッパ語族の諸古代語に類似する単語を探していくと、「雨」「霧」「露」「降雨」を意味する語が浮かび上がってくる。
天空と雨の神となるとヴァルナが連想されるが、ウーラノスと結びつくと見られるサンスクリット語は雨を意味する「ヴァルサ」であり、ウーラノスとヴァルナとの繋がりは定かではない。
神話
大地なる母神ガイアの息子にして夫。ヘシオドスの『神統記』によると、ガイアが独力で産んだ子。
星々を内包する大神であり、生みの親であるガイアと同等の存在である。
彼はガイアとの間にティーターンたち、キュクロプス(サイクロプス)たち、ヘカトンケイルたちをもうけた。
しかしキュクロプスとヘカトンケイルは醜く、ウーラノスは彼らを嫌って冥界タルタロスに閉じ込めてしまう。
これに怒った母ガイアはティーターンの一人クロノスに鎌を与え、クロノスはこれをもってウーラノスの男根を切除した。
その時飛び散った血がガイアに降り注いだ際に、エリーニュス(復讐の女神)たち、メリアス(トネリコの木のニュンペー)たちが生まれた。
切り落とされた男根は海に落ち、そこに出来た泡から美の女神アフロディーテが誕生した。
オルフェウス教の讃歌ではニュクスの息子とされる。
もともとローマ神話に対応する神が居らずラテン語形のウラヌスがローマ神話に取り入れられた。これは後に天王星の名の由来となった。