カタログスペック
頭頂高 | 19.4m |
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本体重量 | 16.7t |
全備重量 | 38.3t |
ジェネレーター出力 | 11,140kW(5,570kW×2) |
装甲材質 | ハイチタン合金ネオセラミック複合材 |
スラスター総推力 | 164,220 |
概要
ザンスカール帝国特殊機関、スーパーサイコ研究所が開発したサイコミュ搭載型試作モビルスーツ。形式番号ZMT-S29S。
パイロットは同研究所によって強化人間施術を受けたファラ・グリフォンがつとめる。
小説版Vガンダムにおいては、富野監督をして(カテジナの台詞により)最強のMSと言わしめている。
全高19.4mと、宇宙世紀150年代の標準サイズ(15m)より大型で、かつ専用の大型サブ・フライト・システム「ザンネック・ベース」と高縮退加速ビーム砲「ザンネック・キャノン」との同時運用が前提の機体であり、それらを含めると更に巨大な姿となり、実質的にはMAであるとも言える(実際に搭載艦のMSカタパルトは使えず、ランチもMA用を使用していた)。
ザンスカール帝国の宇宙要塞カイラス・ギリーの超大型メガ粒子加速器の建造で得られたノウハウを用いた、三日月状の開放型粒子加速器を両肩に搭載し、それによって大量のミノフスキー粒子を圧縮・縮退・加速させて生み出される超高エネルギーメガ粒子をザンネック・キャノンのロングバレルによって収束して撃ち出すことで、通常の戦闘空域外からの超長距離射撃を行う戦略級機動兵器である。この戦術から「ミニ・カイラスギリー」の異名を持つ。
この加速器の最大稼動時には、粒子が円を描いて光の輪(三日月状から円環状へ)が発生する。
機動力においても、本体から切り離し遠隔操作も可能であるネック・ベースる高速移動を可能とし、単独で大気圏突入・離脱さえも可能である。
長距離狙撃機という設計上、接近戦は不得手としているが、防御力も高い。
しかしながら、本機が「最強のMS」たる所以は専属パイロットに合わせて調整されたサイコミュ・センサーによる、超長距離・高精度の敵機補足能力にある。
本機能により、ザンネックは一年戦争以前からのあらゆる兵器の課題となっていたミノフスキー粒子下における超長距離狙撃を実現可能とし、戦闘機動を行いながら成層圏から地表の軍事施設、あるいは自陣後方から敵陣母艦を一方的に撃破するという、文字通り戦略兵器としての有効射程距離を獲得している。
この有効射程は当然ながらMSの移動可能距離(推進剤の積載限界)を超えており、敵機はザンネックから攻撃を受けたとしても、反撃する術を持たない。よしんば、自機が回避できたとしても、母艦を撃沈されれば積載バイタル枯渇による宇宙空間での窒息死か凍死を待つだけである(宇宙世紀における最重要戦術は、如何にして多数の敵艦を撃沈するかであり、MSはそのために有効な手段の一つでしかない)。よって、ザンネックはこのサイコミュ・センサーを稼働させるためのシステムと、専用強化人間の調整までを一パッケージとして評価するべき兵器と言える。(漫画「機動戦士クロスボーン・ガンダムゴースト」においては、センサー未対応のテストパイロットが運用したため、「静止状態での狙撃」しか行えず、バイラリナの反撃で撃破されている。)
武装
ザンネック・キャノン
ジェネレーター直結・粒子加速型ビームキャノン。両肩の加速器で大量の粒子を限界まで縮退・蓄積し、20mを越えるロングバレルで収束射出するメガ粒子の威力は、既存のあらゆるMS装備・艦載兵器を超える威力と射程を有しており、艦載ビームシールドですら防御する事は不可能である。
更に、この時代のビーム兵器の一般的な機能として、出力・収束率を調整することも可能であり、大きく拡散させてリング状のビームを発する事も可能な柔軟性をも有している。
粒子加速器内蔵ビーム砲
両肩それぞれの粒子加速器の始点と終点(上下端)を利用した小型ビーム砲。機体左右に固定されているが、射角が広く連射性も高いため、迎撃・けん制以上の戦果も上げられる。
また、この肩部粒子加速器がアクティブ状態にあると、周辺のメガ粒子をキャノンの加速ビームとして取り込むため、Iフィールド・ビームバリアのような防御兵装としても機能させることができる(ただし防御範囲が左右面を中心に限られ、常時展開できるわけではない)。
胸部ミサイルランチャー
近接防御用。敵機の接近を許した場合に一斉に射出し、再び距離を取る。
ビームサーベル
劇中未使用、
近接兵装。運用思想から使用頻度は低いが、自衛用に装備されている。
ビームシールド
運用時代における一般的な防御兵装。サーベル同様、本体サイズに合わせて通常より大型。
ザンネック・ベース
専用サブフライトシステム。単独での大気圏突入だけでなく、大気圏離脱さえ可能とする超高性能を誇る。また、超高空からの狙撃を前提として、下面に高出力のビームシールドを装備しており、下面からの敵機の射撃攻撃を完全に防ぐ。
サイコミュ・センサー
本機最大の特徴となるシステム。サイコミュを敵機補足機能に特化させている。
専属パイロット(強化人間)であるファラは、代々ギロチンを司る家系であるグリフォン家のトレードマークである鈴の形をしたサイコミュ補助具を装着し、機体外界に強化・増幅された脳波(サイコ・ウェーブ)を放出する。このサイコ・ウェーブが、通常センサーを遥かに越える距離の情報を拾うアクティブ・センサーの役目を果たし、彼女の脳裏に直接敵機の位置を伝えるのである。
なお、この『情報』は敵パイロット(敵兵)の敵意や殺意といった“負の意識”であるため、全く敵意を抱いていない存在は認知する事ができない。
小説版においては、オリファーがカルル(赤子)をコクピット内に連れ、彼の無邪気な行動だけに集中する――穏やかな想いで心を満たす事で、ザンネックのサイコミュ・センサーから逃れられるという事実を発見している。
また、発振されたサイコ・ウェーブは特殊な素養を持つパイロット達には「頭に直接響く鈴の音」として感知されるため、ザンネックの存在、あるいは狙撃のロックオン状況を認知されてしまう可能性があるが、艦艇クラスの運動性では感知後に回避行動を行っても既に遅く、MSの場合は規格外の航続距離を有しているのでなければ、反撃を受けるレンジに入る事は無い。